国際関係

領海と排他的経済水域では、国にどんな権限がある?

領海では沿岸国の主権が及びますが、外国船にも条件付きの無害通航権があります。排他的経済水域(EEZ)では、沿岸国が資源などに関する権利を持つ一方、他国の航行などの自由も認められます。海を一つの「国のもの」として読むと、権利の種類を混同します。

基本の用語

海の距離は、単に陸地の端から測るのではなく、条約に従って定める「基線」から測ります。1海里は1,852メートルです。条約が認める幅の上限と、近隣国との実際の境界がどこにあるかは別の問いです。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

領海にも外国船が通る権利がある

国連海洋法条約は、領海の幅を基線から12海里を超えない範囲で設定できると定めます。沿岸国の主権は領海の上空、海底、その下にも及びます。ただし、その主権の行使も条約や他の国際法に従います。陸地と全く同じように、外国船を常に排除できるという意味ではありません。

すべての国の船は、条約の条件に従って領海を無害通航できます。原則として継続的で迅速な通航であり、沿岸国の平和、秩序、安全を害さないことが必要です。領海を通ることと、そこで漁業や調査などの活動を自由に行うことは分けて考えます。

EEZの権利は領海の主権と異なる

EEZは領海の外側に隣接する水域で、基線から200海里を超えません。領海の端からさらに200海里を足す計算ではありません。条約は、領海と異なる特別な制度として沿岸国と他国の権利を定めています。

沿岸国には、生物・非生物の天然資源を探査し、開発し、保存・管理するための主権的権利があります。人工島や施設、海洋の科学的調査、海洋環境の保護などにも、条約で定められた管轄権があります。「主権的権利」という言葉は資源などの目的に対応する権利であり、海域全体への主権と同じではありません。

資源の権利と、航行の自由を分ける

EEZでは他国も、条約の関連規定に従って航行、上空飛行、海底ケーブルなどの自由を享受します。沿岸国は他国の権利に、他国は沿岸国の権利に妥当な考慮を払う必要があります。魚を取る権利と、その場所を船が通る自由は別に判断します。

公海はすべての国に開かれ、航行や漁獲などの自由があります。ただし、それも条約や他の国際法の条件に従います。「公海だから何をしてもよい」という意味ではありません。またEEZの上限が200海里でも、対向・隣接する国との境界は、衡平な解決を目指して国際法に基づく合意などで画定します。

海域の名前と、船の行動を一緒に読む

海の報道では、「領海に入った」「EEZで活動した」という場所の説明に加え、何をしたのかを確かめます。通航、漁業、資源の探査などでは関わる権利が異なるためです。場所だけでも行動だけでも、沿岸国と他国のどちらに何が認められるかを判断するには情報が足りません。

境界についても、条約上の幅の上限と、その国が設定した範囲、相手国と画定した境界を分けます。地図に一本の線が描かれたことだけで、すべての国が合意した線と考えないようにします。争われる海域では、国ごとの主張、条約の根拠、合意や判断の内容を確認してから、具体的な行為の問いへ進みます。

海域ごとに異なる主な権利
  • 領海

    沿岸国の主権。外国船の無害通航権もある。

  • EEZ

    沿岸国の資源等に関する権利。他国の航行等の自由もある。

  • 公海

    すべての国に開かれた自由。国際法の条件に従う。

権利の種類を並べた比較です。実際の海域の幅、境界線や縮尺を示しません。

通航と漁業は、同じ許可ではない

架空の例

A国のEEZをB国の商船が通る場合と、B国の船がそこで魚を取る場合を比べます。前者では航行の自由、後者ではA国の資源に関する権利などが関わります。「外国船が入った」という一言だけで、二つを同じ違反と判断することはできません。

調べる順序は、どの海域か、船が何をしたか、どの権利や規則が関わるかです。境界に争いがあれば、その事実と根拠も必要です。この例は具体的な領土・海域紛争の判断を示しません。

持ち帰る見方

  • 領海の主権とEEZの主権的権利を分ける。
  • 幅は同じ基線から測り、上限と境界を区別する。
  • 資源利用と航行は異なる権利として読む。

次に広がる疑問

  • 国際法の根拠と裁判の条件を知る
  • 国どうしが境界などを合意する手段を知る
  • 資源利用の競合と管理を考える
  • 守る対象と手段の法的条件を分ける

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出典

  • United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf

    確認日:2026-10-04

  • 海洋の国際法秩序と国連海洋法条約(外務省)https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaiyo/law.html

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

領海にも外国船が通る権利がある

領海では沿岸国の主権が海面・上空・海底等に及び、その幅は条約に従う基線から12海里を超えない。外国船には条約条件下の無害通航権がある。

対象
第2・3・17~19条
条件
領海主権の行使は条約と他の国際法に従う。通航は原則継続/迅速、沿岸国の平和/秩序/安全を害しない
例外・限界
基線からの上限と実際の境界を分ける。無害通航を無条件の活動許可にしない
  • United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf

  • 海洋の国際法秩序と国連海洋法条約(外務省)https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaiyo/law.html

EEZの権利は領海の主権と異なる

EEZは領海の外側の特別な制度で、基線から200海里を超えず、沿岸国は資源の探査・開発・保存・管理等の主権的権利や特定分野の管轄権を持つ。

対象
第55~57条
条件
水域、海底/その下の資源、人工島/科学調査/環境の条約上の権限
例外・限界
対向又は隣接国との境界は第74条に基づく合意等。沿岸国がすべての行為を自由に決める領域ではない
  • United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf

資源の権利と、航行の自由を分ける

EEZでは他国にも航行・上空飛行・海底ケーブル等の自由が条件付きで認められ、双方が相手の権利に妥当な考慮を払う。公海の自由にも国際法上の条件がある。

対象
第56条2・58・74・87条
条件
条約の関連規定と整合し、沿岸国の適法な規則等を尊重する
例外・限界
公海を無法地帯、EEZを他国船の全面進入禁止水域としない
  • United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf

海域の名前と、船の行動を一緒に読む

領海では沿岸国の主権が海面・上空・海底等に及び、その幅は条約に従う基線から12海里を超えない。外国船には条約条件下の無害通航権がある。

対象
第2・3・17~19条
条件
領海主権の行使は条約と他の国際法に従う。通航は原則継続/迅速、沿岸国の平和/秩序/安全を害しない
例外・限界
基線からの上限と実際の境界を分ける。無害通航を無条件の活動許可にしない
  • United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf

  • 海洋の国際法秩序と国連海洋法条約(外務省)https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaiyo/law.html

EEZは領海の外側の特別な制度で、基線から200海里を超えず、沿岸国は資源の探査・開発・保存・管理等の主権的権利や特定分野の管轄権を持つ。

対象
第55~57条
条件
水域、海底/その下の資源、人工島/科学調査/環境の条約上の権限
例外・限界
対向又は隣接国との境界は第74条に基づく合意等。沿岸国がすべての行為を自由に決める領域ではない
  • United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf

EEZでは他国にも航行・上空飛行・海底ケーブル等の自由が条件付きで認められ、双方が相手の権利に妥当な考慮を払う。公海の自由にも国際法上の条件がある。

対象
第56条2・58・74・87条
条件
条約の関連規定と整合し、沿岸国の適法な規則等を尊重する
例外・限界
公海を無法地帯、EEZを他国船の全面進入禁止水域としない
  • United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf