国際関係
国際海峡を通る船と航空機には、どんな権利と義務がある?
対象となる国際海峡では、船舶と航空機に継続的で迅速な通過のための通過通航権があります。ただし海峡ならどこでも同じ制度ではなく、通航中の安全や活動の義務もあります。沿岸国は一定の規制をできますが、通過通航を停止することはできません。
基本の用語
領海一般の無害通航は主に船の通航を扱います。国際海峡の通過通航は船と航空機を含む別の制度です。場所が狭いからという印象だけで適用する規則を決めません。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 領海と排他的経済水域では、国にどんな権限がある?領海では沿岸国の主権が及びますが、外国船にも条件付きの無害通航権があります。
適用される海峡を先に確かめる
国連海洋法条約第37条が扱うのは、公海又はEEZの一部と別の公海又はEEZの一部を結び、国際航行に使われる海峡です。第38条は、対象海峡のすべての船舶と航空機に妨げられない通過通航権を認めます。
ただし、その海峡に同程度の便利さの公海・EEZの経路がある場合には、他の関連する航行や上空飛行の制度が適用されます。また、沿岸国の島と本土の間の海峡で島の外側に同程度に便利な経路がある場合など、通過通航を適用しない条件があります。
長年にわたる特別な条約で通航制度を定める海峡も区別します。さらに公海・EEZと外国の領海を結ぶ海峡などは第45条の無害通航制度になります。「海峡を通った」という見出しだけから、通過通航のすべての条件を当てはめません。
通る権利はそこで自由に活動する権利ではない
通過通航は、継続的で迅速な通過だけを目的とする航行と上空飛行です。沿岸国への入出港等はその国への入域条件に従います。海峡を通る権利が、そこで任意の目的でとどまる権利を意味するわけではありません。
船や航空機は遅滞なく通過し、沿岸国の主権等への武力の威嚇や行使を控え、通常の継続的で迅速な通過に付随しない活動を控える義務があります。不可抗力や遭難の場合は条文の条件に従って区別し、安全や汚染防止等の規則も読みます。
海洋調査船であっても、事前の沿岸国の許可なしに研究や測量をできるとはされていません。船の種類だけでなく、通過していたのか研究していたのかを確かめる必要があります。航行の権利と調査の許可は違う問いです。
沿岸国の規制にも限界がある
沿岸国は航行安全や海上交通、汚染防止、漁船の漁業防止、関税や出入国管理等に反する積卸しなどについて、条約の範囲内で法令を定められます。船にもその法令を守る義務があります。自由な通過と無規則な活動を同じにはしません。
一方、その法令は外国船を形式上・実際上差別し、通過通航を実際に否定・妨害するように適用してはなりません。第44条は通過通航を停止できないと定めます。領海一般の無害通航での停止の説明を、そのままこの制度へ移しません。
実際のニュースなら、海峡の制度、通過した船や航空機の行動、沿岸国の規制内容を順に読みます。航行したという位置の情報だけでも、安全の目的を掲げたという規制側の説明だけでも、適法性は全部判断できません。
船と航空機を一つの通過通航制度で説明するときも、具体的に守る安全規則はそれぞれ確認します。海面を航行した、上空を飛んだ、途中で調査をしたという行動を先に書き出すと、権利の対象と別の活動が見分けやすくなります。海峡名だけで結論を出すのではなく、適用制度とその時の行動を結び付ける読み方です。
通過と測量を分ける
架空の海峡が通過通航制度の対象で、外国の調査船が通るとします。通り抜ける行動と、途中で海底の測量を行う行動は別に読みます。通過通航権があることだけで測量の許可もあるとは判断しません。
沿岸国が安全の法令を適用する場合にも、対象と適用方法を確認します。実際に通過を否定していないか、差別していないかが別に問われ、目的名だけで規制のすべてを評価しない例です。
持ち帰る見方
- 海峡の接続先と特別制度を確認する。
- 通過通航は船と航空機の継続・迅速な通過のため。
- 沿岸国の規制権と通過通航の停止禁止を併読する。
次に広がる疑問
- 領海と排他的経済水域では、国にどんな権限がある?
- 公海なら、船はどんな行動をしてもよい?
- 大陸棚の資源を持つ国は、その上の海も支配できる?
順番に読んでいる方へ
出典
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
適用される海峡を先に確かめる
公海又はEEZの一部と別の公海又はEEZの一部を結び国際航行に使う対象海峡では、すべての船舶・航空機が妨げられない通過通航権を持つ。
- 対象
- 海洋法条約の海域・権利・管轄の区分。個別国家の境界主張を認定する資料ではない。
- 条件
- 第37条対象の海峡で第36・38条等の除外を確認。
- 例外・限界
- 同程度に便利な公海/EEZ経路がある場合や島と本土の条件、長年の特別条約による制度、別の無害通航制度を区別する。
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf
通る権利はそこで自由に活動する権利ではない
通過通航は継続的で迅速な通過のための航行・上空飛行であり、遅滞のない通過、安全等の規則遵守、武力の威嚇等を控える義務を伴う。研究や測量は沿岸国の事前許可なく行えない。
- 対象
- 海洋法条約の海域・権利・管轄の区分。個別国家の境界主張を認定する資料ではない。
- 条件
- 通常の通過形態の活動。
- 例外・限界
- 不可抗力・遭難の場合や沿岸国への入出港条件を条文に従い区別。
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf
沿岸国の規制にも限界がある
海峡沿岸国は条約が認める安全等の法令を定め得るが、外国船を差別したり通過権を実際に否定・妨害したりしてはならず、通過通航を停止できない。
- 対象
- 海洋法条約の海域・権利・管轄の区分。個別国家の境界主張を認定する資料ではない。
- 条件
- 法令の対象は航行安全、汚染、漁船の漁業防止等の列挙範囲。
- 例外・限界
- 領海一般の無害通航の停止規則をそのまま通過通航へ当てはめない。
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf