国際関係

島々に囲まれた群島水域は、外国の船や飛行機を閉め出せる?

条約上の群島国の群島水域には主権が及びますが、外国船が通る権利もあります。無害通航と、船舶・航空機の航路帯通航を分ける必要があります。航路帯を指定していないことだけで、航路帯通航の権利がなくなるわけでもありません。

基本の用語

群島国は一又は複数の群島から全体が構成され、さらに他の島を含むこともある国と、海洋法条約第46条が定義したものです。海に島が多い国ならすべてこの制度になる、とは考えません。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

群島国の水域にも通る権利がある

第49条は、所定の群島基線で囲まれた群島水域と、その上空、海底・地下等に群島国の主権が及ぶと定めます。ただしその主権は、この条約の群島国に関する部分に従って行使します。主権のある水域と外国の通航権は両立します。

第52条では、すべての国の船が、所定の条件で群島水域を無害通航できます。群島国は安全保護に不可欠なら、特定区域で外国船の無害通航を一時的に停止できますが、形式上・実際上差別せず、十分な公表後に効力を生じる条件があります。

この停止の説明を、群島水域のすべての通航へ広げません。無害通航なのか、次に見る航路帯通航なのかを先に区別し、国がどの権利にどんな措置を取ったかを読みます。

航路帯では船と航空機を扱う

第53条は、外国船と航空機の継続的・迅速な通過に適した航路帯と、その上の空路を指定できるとします。航路帯通航は通常の態様による航行・上空飛行で、公海又はEEZの一部から別の公海又はEEZの一部へ妨げられず通過する目的に限られます。

船だけでなく航空機も対象ですが、その水域で任意の活動をする権利ではありません。通ることと、漁業・調査など別の活動をすることは分けます。「群島水域へ入った」という位置だけでは、どの行動が問題なのかは分かりません。

群島国が航路帯や空路を指定しない場合も、通常の国際航行に使われる経路でこの権利を行使できます。未指定という情報を、外国船をすべて排除できる根拠に使いません。指定がある場合とない場合で確認すべき経路を分けます。

航路の指定と通航の義務を読む

航路帯の指定や変更などでは、群島国は権限ある国際機関へ提案し、その機関は群島国が合意するものだけ採択できます。その後群島国が指定等を行い、海図で公表します。一方だけが地図へ線を加えればすべての手続が完了するという制度ではありません。

航路帯通航を行う船は、適用される航路帯や分離通航帯を尊重します。第54条は通過通航に関する第39・40・42・44条を準用し、航路帯通航を停止できないことや、通航中の義務をつなぎます。無害通航の限定的な停止とは異なります。

実際のニュースでは、群島国の資格、水域、指定された経路、船・航空機の行動、規制内容を順に確認します。国際海峡の制度に似る点があっても同じ場所の制度ではありません。特定の国や航行の適法性は、それぞれの資料を追加して判断します。

群島水域で分ける通航
  • 無害通航

    船舶の権利。第52条の限定的な一時停止

  • 航路帯通航

    船舶・航空機が通常の態様で通過。停止不可

  • 航路未指定

    通常の国際航行経路での行使を確認

適用水域、経路と通航中の行動の条件を省いた自由航行の一覧ではありません。

指定がない水域を船が通る

架空の群島国Aが航路帯を指定しておらず、外国船が通常の国際航行経路を通過するとします。指定がないから権利もない、と読むのではなく、第53条12項と実際の経路を照合します。

別の船が群島水域を無害通航する話なら第52条の条件を読みます。一時的な停止が可能かという問いも、どちらの通航制度かを確かめてから考えます。

持ち帰る見方

  • 群島国の主権と通航権を合わせて読む。
  • 無害通航と航路帯通航の停止条件を入れ替えない。

次に広がる疑問

  • 国際海峡を通る船と航空機には、どんな権利と義務がある?
  • 領海と排他的経済水域では、国にどんな権限がある?
  • 科学調査なら、外国のEEZでも許可なしに行える?

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出典

  • United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

群島国の水域にも通る権利がある

条約上の群島国の群島水域に主権が及ぶが、外国船には無害通航権があり、その停止の条件もある。

対象
1982年海洋法条約の基本条項:第46・49・52条
条件
第46条の群島国。航路帯通航は通常の態様で継続的・迅速な通過のみ。航路・空路の指定と遵守。
例外・限界
群島水域の無害通航の限定停止と航路帯通航の停止不可を分け、未指定の場合の通常国際航路を確認。
  • United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf

航路帯では船と航空機を扱う

航路帯通航は船舶と航空機が通常の態様で継続的迅速な通過のみを目的として行う航行・上空飛行で、未指定なら通常の国際航行経路で行使できる。

対象
1982年海洋法条約の基本条項:第53条1–3・12項
条件
第46条の群島国。航路帯通航は通常の態様で継続的・迅速な通過のみ。航路・空路の指定と遵守。
例外・限界
群島水域の無害通航の限定停止と航路帯通航の停止不可を分け、未指定の場合の通常国際航路を確認。
  • United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf

航路の指定と通航の義務を読む

指定等は国際機関への提案と群島国との合意を伴い、適用航路帯を尊重する。第54条の参照する第44条により航路帯通航は停止できない。

対象
1982年海洋法条約の基本条項:第53条9・11項・54条
条件
第46条の群島国。航路帯通航は通常の態様で継続的・迅速な通過のみ。航路・空路の指定と遵守。
例外・限界
群島水域の無害通航の限定停止と航路帯通航の停止不可を分け、未指定の場合の通常国際航路を確認。
  • United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf