国際関係
科学調査なら、外国のEEZでも許可なしに行える?
科学のための調査でも、外国のEEZや大陸棚では沿岸国の同意が必要です。通常の事情では平和目的の知識増進の調査へ同意すべき原則がありますが、資源開発との直接関係や掘削などの留保事由もあります。事前情報、参加、成果提供も確認します。
基本の用語
船が通る権利と、海水や海底について研究する条件は別です。海洋法条約では領海、EEZ、大陸棚などの場所に応じて、海洋科学調査の制度を読み分けます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 領海と排他的経済水域では、国にどんな権限がある?領海では沿岸国の主権が及びますが、外国船にも条件付きの無害通航権があります。
航行の自由から調査許可は出ない
第245条は領海の科学調査を沿岸国の明示的な同意とその国が定める条件の下でのみ行うとします。沿岸国は主権の行使として調査を規制・許可・実施します。科学目的という説明は、この同意を置き換えません。
第246条もEEZと大陸棚での科学調査に沿岸国の同意を求めます。ただし領海と同じ全面的な裁量として読まず、関連条項が同意の与え方と留保できる場合を定めることを確認します。
調査船という名称から権利を決めるのではなく、どの海域で何の行動をしたかを調べます。通過、観測、海底の掘削などを具体的に書き出すと、航行の権利と調査に関する許可を区別しやすくなります。
原則の同意と留保事由を併読する
通常の事情では、他国や権限ある国際機関が、平和目的だけで人類のため海洋環境の科学知識を増すEEZ等の調査に、沿岸国は同意すべきと第246条3項は定めます。不合理に同意を遅らせたり拒んだりしない手続も求めます。
一方、資源の探査・開発に直接の重要性がある、海底を掘削する、爆発物や有害物質を入れる、施設を建設・使用する等の場合には同意を留保できる規定があります。計画情報が不正確、又は過去の調査義務が未履行という事情も区別します。
200海里以遠の大陸棚では、資源開発等が行われる又は合理的期間内に行われると公表指定した特定区域の外について、資源への直接的重要性を理由に留保する裁量に制限があります。海底の資源権そのものが消えるという意味ではなく、調査同意の理由への制限です。
調査の内容と成果を伝える
EEZ等で調査を計画する国や機関は、第248条により予定開始日の6か月以上前に、目的、方法、場所、期間、担当機関等の十分な説明を提供します。「科学調査です」という一文では、計画を確認する情報を揃えたことになりません。
第249条には、沿岸国が希望する場合の参加・代表、求めに応じた予備報告や最終結果、資料・試料へのアクセス等の条件があります。海でデータを取れたことと、関係国へ必要な成果を提供したことは別に追います。
成果の国際的な提供にも、資源に直接関係する調査について沿岸国の条件を読む必要があります。一般に同意が必要という説明だけで個別計画の許可を判定せず、同意の条件、通知した内容、実施後の義務をつなげて確認します。
- 場所
領海の明示同意、EEZ・大陸棚の同意
- 内容
通常事情の同意原則と所定の留保事由
- 情報
事前説明、沿岸国の参加と成果提供
科学目的だけで許可を判定せず、200海里以遠の留保制限なども個別に確認します。
観測と掘削を含む計画
架空のB国研究機関がA国EEZで水質観測と海底掘削を計画したとします。平和目的だという説明を確認しても、掘削という同意留保の事由を飛ばしません。計画の場所と手段をA国に伝えます。
調査を行う場合も、A国が参加や結果提供を求める条件を確認します。研究が完了したという発表だけから、必要な成果提供を終えたと判断しない例です。
持ち帰る見方
- 航行の権利と調査の同意を分ける。
- 調査の目的・手段、参加と成果提供を具体的に読む。
次に広がる疑問
- 領海と排他的経済水域では、国にどんな権限がある?
- 国際海峡を通る船と航空機には、どんな権利と義務がある?
- どの国の大陸棚でもない海底の鉱物は、先に掘れば自分のもの?
順番に読んでいる方へ
出典
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
航行の自由から調査許可は出ない
領海の科学調査は沿岸国の明示同意と条件を要し、EEZと大陸棚でも沿岸国の同意を要する。
- 対象
- 1982年海洋法条約の基本条項:第245・246条1–2項
- 条件
- 海域別沿岸国同意。通常事情の平和・人類の知識増進、EEZ等は事前情報と参加・成果提供の条件。
- 例外・限界
- 資源への直接関係、掘削等の留保事由。200海里以遠の大陸棚の特定区域外は資源理由留保に制限。
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf
原則の同意と留保事由を併読する
平和目的で人類のため知識を増すEEZ等の調査は通常事情では同意すべきだが、資源開発に直接関わる場合や掘削等は留保できる。200海里以遠の資源理由留保には限定がある。
- 対象
- 1982年海洋法条約の基本条項:第246条3・5–6項
- 条件
- 海域別沿岸国同意。通常事情の平和・人類の知識増進、EEZ等は事前情報と参加・成果提供の条件。
- 例外・限界
- 資源への直接関係、掘削等の留保事由。200海里以遠の大陸棚の特定区域外は資源理由留保に制限。
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf
調査の内容と成果を伝える
EEZ等の調査には開始予定の6か月以上前に目的・方法・場所等の情報を提供し、沿岸国の参加、成果・資料提供等の条件を守る。
- 対象
- 1982年海洋法条約の基本条項:第248–249条
- 条件
- 海域別沿岸国同意。通常事情の平和・人類の知識増進、EEZ等は事前情報と参加・成果提供の条件。
- 例外・限界
- 資源への直接関係、掘削等の留保事由。200海里以遠の大陸棚の特定区域外は資源理由留保に制限。
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf