国際関係
どの国の大陸棚でもない海底の鉱物は、先に掘れば自分のもの?
国家の管轄の限界外にある海底とその下の資源は、人類共同の財産とされます。先に到着した国や企業が領有する制度ではありません。国際海底機構が人類全体に代わって行動し、回収鉱物の扱いにも条約と機構の規則が関わります。
基本の用語
ここでいう深海底は、単に水深が深い場所という意味ではありません。沿岸国の大陸棚か、国家管轄の限界外かを区別し、海底と上部の水域を別の制度で読みます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 大陸棚の資源を持つ国は、その上の海も支配できる?大陸棚は海底と地下の資源権を扱う。
水深だけでは深海底と決まらない
海洋法条約の「深海底」は国家管轄の限界外の海底とその地下です。ある海域が領海の外や200海里の外にあるという情報だけでは、海底まで深海底と決まりません。沿岸国の大陸棚の外側限界との関係も確かめます。
第133条でこの部分の「資源」は、現地にある固体・液体・気体の鉱物資源などを指します。魚が泳ぐ水域の漁業と海底の鉱物を、同じ公海の資源という言葉で一括しないことが大切です。
第135条は、深海底制度上の権利が上部水域や上空の法的地位へ影響しないと定めます。海底の制度を確認したから、その上を通る船の扱いまで一度に決まるわけではありません。位置、海の層、活動を対応させます。
先に到着した者の領有にしない
第136条は深海底とその資源を人類共同の財産とします。第137条では国家による主権・主権的権利の主張や行使、国家又は私人による深海底の一部の取得を認めません。旗を立てたことや資金を投入したことが領有の根拠になる制度ではありません。
資源の権利は人類全体に帰属し、国際海底機構がそのために行動します。「全人類のもの」という言葉を、誰でも許可や条件を気にせず自由に採掘できるという意味に読み替えません。共通の制度による扱いが関わります。
大陸棚の鉱物に沿岸国が持つ資源権とも区別します。国家管轄内と外とでは、同じ鉱物でも権利の根拠が違います。記事の地図では、海面の公海表示だけでなく海底の管轄限界がどう説明されているかを見ます。
鉱物の回収と環境の条件を読む
資源が回収された場合の「鉱物」については、条約と機構の規則・手続に従う場合にのみ譲渡などを認める規定があります。深海底の領有が禁止されていることと、適法に回収した鉱物の扱いは別の問いです。
第145条は深海底活動から生じ得る有害な影響に対して海洋環境を実効的に保護するための措置を求め、機構の規則等につなぎます。資源の法的地位を説明することだけで、採掘の環境影響が問題ないと示したことにはなりません。
具体的な事業を読む場合には、対象海底、活動の内容、適用規則、許可や条件、環境の情報を追加確認します。ここで扱う1982年条約の基本原則から、2026年の個別採掘許可や最新規則の成立状況を推測しません。
- 場所
国家管轄限界内か外か
- 権利
深海底資源は人類共同の財産
- 活動
条約・機構規則と環境条件を確認
海面の公海表示だけで海底の制度は決まらず、現在の事業許可を示す図ではありません。
海面と海底を別に確認する
架空の海図で公海と表示される場所に、企業が鉱物調査を計画したとします。公海だから先に取ればよい、と考える前に、その下の海底が沿岸国の大陸棚か深海底かを調べます。
深海底という設定なら、人類共同の財産という原則、機構の制度、調査や回収の条件を確認します。鉱物の価値が高いという情報だけで、活動の許可や環境への影響まで説明できません。
持ち帰る見方
- 深海底は水深ではなく国家管轄の限界で読む。
- 領有の禁止と回収鉱物の適法な扱いを分ける。
次に広がる疑問
- 大陸棚の資源を持つ国は、その上の海も支配できる?
- 公海なら、船はどんな行動をしてもよい?
- 科学調査なら、外国のEEZでも許可なしに行える?
順番に読んでいる方へ
出典
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
水深だけでは深海底と決まらない
深海底は国家管轄の限界外の海底とその下で、上部水域や上空の法的地位と分ける。対象資源は現地の鉱物資源である。
- 対象
- 1982年海洋法条約の基本条項:第1条1項1・133・135条
- 条件
- 国家管轄限界外の海底地下、現地鉱物資源。回収鉱物は条約と機構規則に従う。
- 例外・限界
- 大陸棚と異なり水深だけで範囲決定しない。上部水域地位は別。現在の採掘許可・規則完成を主張しない。
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf
先に到着した者の領有にしない
深海底と資源は人類共同の財産で、国家も私人もその一部を取得できず、資源の権利は人類全体に帰属し国際海底機構が代わって行動する。
- 対象
- 1982年海洋法条約の基本条項:第136–137条
- 条件
- 国家管轄限界外の海底地下、現地鉱物資源。回収鉱物は条約と機構規則に従う。
- 例外・限界
- 大陸棚と異なり水深だけで範囲決定しない。上部水域地位は別。現在の採掘許可・規則完成を主張しない。
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf
鉱物の回収と環境の条件を読む
回収鉱物の譲渡は条約と機構の規則に従う。活動に伴う海洋環境への有害な影響からの実効的保護の措置を定める。
- 対象
- 1982年海洋法条約の基本条項:第137条2–3項・145条
- 条件
- 国家管轄限界外の海底地下、現地鉱物資源。回収鉱物は条約と機構規則に従う。
- 例外・限界
- 大陸棚と異なり水深だけで範囲決定しない。上部水域地位は別。現在の採掘許可・規則完成を主張しない。
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf