国際関係
大陸棚の資源を持つ国は、その上の海も支配できる?
大陸棚の権利は、海底とその下の資源を探査・開発するための権利です。その上の水域や上空を領土のように支配する権利ではありません。200海里を超える外側限界の設定にも条件があり、限界の設定と隣国との境界画定は別の問題です。
基本の用語
領海では主権、EEZでは資源等の主権的権利という違いがあります。大陸棚は水面を区切る制度ではなく、領海の外側の海底と地下を扱う制度として読みます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 領海と排他的経済水域では、国にどんな権限がある?領海では沿岸国の主権が及びますが、外国船にも条件付きの無害通航権があります。
- 公海なら、船はどんな行動をしてもよい?国家による領有の否定、自由の条件、旗国の原則と臨検例外を整理する。
大陸棚は海底とその下の制度
国連海洋法条約第76条は、大陸棚を領海外の海底とその下として定義します。陸地の自然延長が大陸縁辺部の外縁へ及ぶ範囲、又は外縁が200海里へ届かない場合には基線から200海里まで、という仕組みです。条文による外側限界の条件もあります。
第77条は、天然資源の探査と開発のため沿岸国が排他的な主権的権利を持つと定めます。沿岸国が開発していない場合でも、他国が明示的な同意なく同じ活動をできるという意味ではありません。資源を使っていないことと、誰でも使えることを分けます。
この権利は占拠や明示的な宣言に依存しません。掘削を始めた国だけが権利を持つ、先に旗を立てれば権利を得る、という制度としては読めません。ただし実際の範囲や隣国との境界は、それぞれ別に確かめます。
海底の権利で上の水域は変わらない
天然資源には鉱物等の非生物資源に加え、定着性種族の生物も含まれます。採取できる段階で海底の上や下で動かない、又は常に海底等に接触しなければ動けない生物という定義です。水域を泳ぐ魚まで、大陸棚の資源権で一括しません。
第78条は、大陸棚の権利が上部水域や上空の法的地位に影響しないと定めます。海底に資源権があることだけから、その上の海が領海になることはありません。上部水域がEEZか公海かなどは、別の水域の規則で読みます。
沿岸国が海底の権利を行使するときも、他国の航行などの権利と自由を侵害し、不当に妨げてはなりません。資源の開発と船が通ることは別の行動ですが、同じ場所を使うため両方の条件を対応させる必要があります。
200海里より外の限界と国境を分ける
200海里より外の大陸棚の限界には、地形や堆積層、距離など複数の基準があります。「どの沿岸国にも一律に350海里まで認める」という単純な上限の説明ではありません。外側限界の条件と、その国が示した根拠を読む必要があります。
沿岸国は200海里以遠の限界情報を大陸棚限界委員会へ提出し、委員会は勧告します。勧告に基づいて沿岸国が設定した限界は最終的で拘束力を持ちます。ただし第76条は、対向・隣接国の間の境界画定問題を害しないとしています。
委員会の勧告、沿岸国による設定、他国との境界合意を同じ出来事にまとめないことが大切です。海底の外側限界が説明されたことだけで、隣国との重なりや争いが全部決着したとは読めません。
地図で同じ線が使われていても、その凡例が何を表すかを読みます。水域の区分なのか、海底の外側限界なのか、隣国との境界なのかで、線から言えることは違います。資源の開発範囲を示す地図だけから外国船の航行条件まで決めず、対象となる層と活動を合わせると、海の制度を平面の領有図だけで考える誤解を減らせます。
- 海底・地下
大陸棚の探査・開発の権利を確認する。
- 上部水域・上空
EEZ・公海等の別の規則を確認する。
同じ位置でも、資源権と航行・上空飛行の制度は同じではない。
海底とその上を別々に読む
A国の大陸棚として扱われる海底に鉱物があり、その上の水域を外国の船が通る架空の例です。鉱物の探査・開発に関する権利と、船の航行を同じ「その国の海」という言葉で説明しません。
鉱物の扱いには大陸棚の規則、船の通航には水域の法的地位と航行の規則を使います。さらに200海里以遠なら外側限界の手続と他国との境界を分けて確認します。
持ち帰る見方
- 大陸棚は海底と地下の資源権を扱う。
- 上部水域と上空の法的地位は大陸棚権利では変わらない。
- 外側限界の設定と隣国との境界画定を分ける。
次に広がる疑問
- 領海と排他的経済水域では、国にどんな権限がある?
- 公海なら、船はどんな行動をしてもよい?
- 外国船が沖へ逃げたら、沿岸国は追跡を続けられる?
順番に読んでいる方へ
出典
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
大陸棚は海底とその下の制度
条約上の大陸棚は領海外の海底とその下に関する制度で、沿岸国は天然資源の探査・開発のため排他的な主権的権利を持つ。権利は占拠や明示的宣言に依存しない。
- 対象
- 海洋法条約の海域・権利・管轄の区分。個別国家の境界主張を認定する資料ではない。
- 条件
- 200海里又は自然延長と外側限界の条文条件。
- 例外・限界
- 沿岸国が開発しなくても他国は明示的同意なく開発できない。
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf
海底の権利で上の水域は変わらない
大陸棚の天然資源には鉱物等の非生物資源と定着性種族の生物が含まれる。大陸棚権利は上部水域・上空の法的地位を変えず、他国の航行等への不当な干渉をしてはならない。
- 対象
- 海洋法条約の海域・権利・管轄の区分。個別国家の境界主張を認定する資料ではない。
- 条件
- 定着性生物は採取可能段階で海底上/下で動かない、又は常に接触せず動けない生物。
- 例外・限界
- 上の水域の泳ぐ魚まで大陸棚権利で一括しない。
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf
200海里より外の限界と国境を分ける
200海里以遠の大陸棚外側限界情報は大陸棚限界委員会へ提出し、委員会は勧告する。勧告に基づいて沿岸国が設定した限界は最終的で拘束力を持つが、対向・隣接国間の境界画定問題を害しない。
- 対象
- 海洋法条約の海域・権利・管轄の区分。個別国家の境界主張を認定する資料ではない。
- 条件
- 複数の地形・距離基準を満たすこと。
- 例外・限界
- 委員会勧告を他国との境界の決着としない。単純に全沿岸国へ350海里の権利があるとはしない。
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf