国際関係
領海の外でも、沿岸国が取締りをする海域がある?
領海の外にある接続水域では、沿岸国が一定の取締りをできます。ただし関税・財政・出入国管理・衛生について、自国領域又は領海内の違反を防止・処罰するための制度です。領海の主権やEEZの資源権と同じではなく、上限の24海里は基線から数えます。
基本の用語
海域の名前は、その場所を一つの国が何でも決められるという意味ではありません。どこからの距離か、どの行動を、何の権利によって扱うかを対応させます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 領海と排他的経済水域では、国にどんな権限がある?領海では沿岸国の主権が及びますが、外国船にも条件付きの無害通航権があります。
24海里は基線から数える
国連海洋法条約第33条は、領海に接続する水域である接続水域を定めます。その外側への広がりは、領海の幅を測る基線から24海里を超えられません。領海の外に24海里分の帯を追加する計算ではありません。
例えば領海を基線から12海里、接続水域の外側を基線から24海里に設定する架空の単純な図なら、領海の端からその外側限界までは12海里です。12に24を足して基線から36海里とするのは測り始める場所の取り違えです。
この上限から、その国の実際の設定や隣国との境界まで自動的に分かるわけではありません。ニュースの距離が基線、海岸、領海の端のどこから測ったものかを確認します。一般的な幅と、個別海域の地図を分けて読む準備になります。
取締りの目的が限定される
沿岸国が行えるのは、自国領域又は領海内の関税、財政、出入国管理、衛生に関する法令違反を防止し、その領域又は領海内で行われた違反を処罰するため必要な取締りです。四つの分野と、違反が自国領域・領海に関わる条件を一緒に読みます。
外国船が接続水域を航行しているというだけで、沿岸国があらゆる法律を領海と同じように適用できるとはいえません。船がどこにいたかに加え、どの行為とどの法令違反の防止・処罰が問題かが必要です。
予防と処罰も別の働きです。領域へ入る前の違反防止を考えているのか、領域又は領海で行われた違反への対応なのかを確かめます。「接続水域で取り締まった」という一文だけでは、その目的の違いがまだ見えません。
EEZの資源権や追跡権と分ける
EEZの資源を探査・管理する権利と、第33条の四分野の取締りは、根拠も対象も違います。同じ船の位置に複数の制度が関係し得ても、漁業や資源の話を接続水域の目的だけで説明しないことが大切です。
第111条の追跡権でも、接続水域から追跡を始める場合は、その水域を設けた権利の侵害が必要です。外国船がそこにいることだけから、追跡を開始できるとは判断しません。さらに停止信号や中断のない追跡などの別の条件も読みます。
取締りを報じる記事では、海域、対象船の行動、問題とする法令、違反の場所、予防又は処罰の目的を順に確認します。これらがそろえば問いを具体化できますが、海域名だけで具体的な取締りの適法性を裁定することはできません。
判断のためのメモでは、「取り締まった場所」と「防止・処罰の対象の違反が関係する場所」を別欄にします。どちらも接続水域という同じ言葉で済ませると、第33条が領域又は領海内の違反に結び付ける条件が消えてしまいます。目的の法令と場所を対応させれば、領海の主権が単純に外へ広がったという説明との違いが見えます。
同じ位置でも目的を確認する
架空の船が基線から18海里の、設定された接続水域にいるとします。「外国の船が18海里まで近づいた」という情報だけでは、どの取締りの根拠になるかは分かりません。接続水域は一般的な領海の拡大ではないためです。
追加で、その船のどの行動が、自国領域又は領海の関税等の違反の防止・処罰に関わるかを読みます。例の距離は仮定で、現実の国の設定や船の違反を示す数値ではありません。
持ち帰る見方
- 24海里は領海の基線からの上限。
- 四分野と自国領域・領海内の違反との関係を読む。
- 外国船の存在だけを取締りや追跡の根拠にしない。
次に広がる疑問
- 領海と排他的経済水域では、国にどんな権限がある?
- 外国船が沖へ逃げたら、沿岸国は追跡を続けられる?
- 公海なら、船はどんな行動をしてもよい?
順番に読んでいる方へ
出典
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
24海里は基線から数える
接続水域は領海に接続する水域で、領海幅を測る基線から24海里を超えて広がってはならない。
- 対象
- 海洋法条約の海域・権利・管轄の区分。個別国家の境界主張を認定する資料ではない。
- 条件
- 基線からの上限で、領海の端から24海里を追加しない。
- 例外・限界
- 実際の国の設定と境界は別に確認。
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf
取締りの目的が限定される
接続水域では沿岸国が、自国領域又は領海内の関税・財政・出入国管理・衛生の法令違反を防止し、その領域又は領海内で行われた違反を処罰するため必要な取締りを行える。
- 対象
- 海洋法条約の海域・権利・管轄の区分。個別国家の境界主張を認定する資料ではない。
- 条件
- 特定の四分野と領域/領海内の違反の関係。
- 例外・限界
- 接続水域内のすべての活動へ一般的主権を及ぼす規定ではない。
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf
EEZの資源権や追跡権と分ける
接続水域からの追跡開始はその水域を設けた権利の侵害に限られる。
- 対象
- 海洋法条約の海域・権利・管轄の区分。個別国家の境界主張を認定する資料ではない。
- 条件
- 第33条目的の権利を保護する違反と追跡の開始条件。
- 例外・限界
- 接続水域に外国船がいることだけでは追跡の根拠にならない。
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf