国際関係
海にある小さな島は、必ず200海里の海域を持つ?
自然に形成され満潮でも水上にある島は、原則として他の陸地と同じ規定で海域を持ちます。ただし人の居住又は独自の経済生活を維持できない岩にはEEZと大陸棚がありません。低潮高地や人工島も別の扱いで、見た目の大小だけでは決まりません。
基本の用語
EEZは資源等についての特別な権利がある水域、大陸棚は海底とその下の資源権の制度です。「島がある」と聞いたら、地形の条件と、どの権利を問題にしているかを分けます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 領海と排他的経済水域では、国にどんな権限がある?領海では沿岸国の主権が及びますが、外国船にも条件付きの無害通航権があります。
まず自然の島かを確かめる
海洋法条約第121条1項は島を、自然に形成された、水に囲まれ、満潮時にも水上にある陸地と定義します。水面に何か見えるという情報だけでは、自然形成と満潮時の条件を確かめたことにはなりません。
同条2項は、3項の例外を除き、島の領海、接続水域、EEZ、大陸棚を、他の陸地に適用される条約規定に従って決めるとします。島の存在を確認することと、個別の海域の範囲を確定することは別です。
「200海里を持つ」と説明されても、EEZの上限と、他国との重なりや境界の問題を区別します。島が原則の対象でも、周囲の状況を見ず円を描くだけで実際の国境が確定するという意味にはなりません。
岩の例外はEEZと大陸棚に関わる
第121条3項は、人の居住又は独自の経済生活を維持できない岩には、EEZ又は大陸棚を認めません。例外が書かれているのはこの二つで、領海を含めすべての権利が同じように消えるという説明にはしません。
条文は一律の面積数値を示していません。「小さいから必ず岩」「現在人がいないから直ちに例外」といった短い判定を、この文言だけから作りません。実在の地形では、要件の意味と具体的な証拠の検討が必要です。
読者が確認したいのは、どの地形について、どの要件が満たされないと主張され、何の海域を争っているかです。領有の主張、地形の法的区分、EEZや大陸棚への効果を一つの「島の問題」にまとめないようにします。
低潮高地や人工島と区別する
第13条の低潮高地は、干潮時には水上にあるが満潮時には水没する自然の陸地です。本土又は島から領海幅以内に全部又は一部があれば、その低潮線を基線として使える条件があります。領海幅より外に全部がある場合は独自の領海を持ちません。
人工島・施設について、第60条8項は島の地位を持たず、独自の領海を持たず、領海・EEZ・大陸棚の境界画定にも影響しないと定めます。海上に構造物を造ることから、自然の島と同じ海域が生まれるわけではありません。
自然の島、3項の岩、低潮高地、人工島という対象の違いを先に確認します。ここでは特定の島や岩の地位を判定せず、どの資料を集めれば判断に近づけるかを整理しています。名称だけで実在の権利争いの結論を出しません。
- 自然の島
満潮時も水上。第121条の原則と岩の例外
- 低潮高地
満潮で水没。第13条の位置による扱い
- 人工島
島の地位と独自の領海を持たない
個別地形の認定と、他国との境界はこの比較だけで決まりません。
三つの地形の情報を比べる
架空の図で、満潮でも水上にある自然の陸地、満潮では沈む自然の陸地、海上に建てた人工の施設を並べます。同じ地図の点でも、適用する条文は同じではありません。
最初の陸地にも、EEZ・大陸棚について第121条3項の問いが残ります。地形の区分を確かめず一律200海里の円を描くと、権利の条件を落としてしまう例です。
持ち帰る見方
- 自然形成と満潮時の状態を確かめる。
- 岩の例外はEEZ・大陸棚への効果として読む。
次に広がる疑問
- 領海と排他的経済水域では、国にどんな権限がある?
- 大陸棚の資源を持つ国は、その上の海も支配できる?
- 領海の12海里は、海岸のどの線から測る?
順番に読んでいる方へ
出典
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
まず自然の島かを確かめる
島は自然に形成され満潮時も水上にある陸地で、例外を除き他の陸地と同じ規定に従って各海域と大陸棚を扱う。
- 対象
- 1982年海洋法条約の基本条項:第121条1–2項
- 条件
- 自然形成・満潮時も水上の島。岩の人の居住又は独自経済生活の要件を確認。
- 例外・限界
- 第121条3項の岩にはEEZ・大陸棚なし。低潮高地と人工島を別制度で扱う。個別島の地位は未判定。
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf
岩の例外はEEZと大陸棚に関わる
人の居住又は独自の経済生活を維持できない岩はEEZと大陸棚を持たない。大きさだけによる一律の面積基準は同条に書かれていない。
- 対象
- 1982年海洋法条約の基本条項:第121条3項
- 条件
- 自然形成・満潮時も水上の島。岩の人の居住又は独自経済生活の要件を確認。
- 例外・限界
- 第121条3項の岩にはEEZ・大陸棚なし。低潮高地と人工島を別制度で扱う。個別島の地位は未判定。
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf
低潮高地や人工島と区別する
低潮高地は満潮で水没する。条件による基線利用と独自領海を分け、人工島は島の地位を持たず独自領海を持たず境界画定にも影響しない。
- 対象
- 1982年海洋法条約の基本条項:第13条・60条8項
- 条件
- 自然形成・満潮時も水上の島。岩の人の居住又は独自経済生活の要件を確認。
- 例外・限界
- 第121条3項の岩にはEEZ・大陸棚なし。低潮高地と人工島を別制度で扱う。個別島の地位は未判定。
United Nations Convention on the Law of the Sea(UNTS Vol.1833、英文本)(国連条約集)https://treaties.un.org/doc/Publication/UNTS/Volume%201833/v1833.pdf