数字と報道

調査した人の人数を、そのまま全国の割合にできる?

調査した人を同じ一人として数えた割合が、全体の推定割合になるとは限りません。地域などによって選ばれる確率が違えば、一つの回答が代表する人数も違います。その換算に使う重みと、回答の偏りを補正する仮定を区別します。

基本の用語

調べたい集団の一部を、分かっている確率で選ぶ方法を確率標本と呼びます。ある人が標本に含まれる確率と、その人が質問へ答える確率は別です。重みの説明では、抽出時の設計と、回収後の調整を分けます。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

一人の回答が何人分を代表するか

設計上の重みは、標本に含まれる確率の逆数です。選ばれる確率が低い単位には大きな重みが付きます。これは、その単位の回答を母集団へ換算するとき、平均的に何単位分として扱うかという推定上の仕組みです。選ばれた人が、実際にその人数全員の答えを知っているわけではありません。

地域ごとに同じ人数を調べる設計を考えます。人口の多い地域と少ない地域で回答者数が同じなら、回答者の構成は人口の構成と違います。地域ごとの情報を十分に得るための設計でも、全体の割合を出す際は、その選び方を反映する必要があります。

全員が同じ確率で選ばれ、後の補正もなければ、割合や平均では共通の重みが分子と分母で相殺します。この条件があるときは単純な割合と重み付き割合が一致します。最初から、いつでも重みが違うと考える必要はありません。

割合は重みを掛けた人数で割る

重み付きの割合は、該当する回答の重みを合計し、それを全回答の重みの合計で割ります。賛成した人だけを換算して分母を元の回答人数にすると、異なる単位を割ることになります。分子と分母に同じ推定の方法を使います。

下の例では人口の多いA地域の回答を80人分、B地域を20人分として換算します。二地域で同じ人数を調べても、二地域を合わせた集団全体の推定ではA地域の回答がより大きな比重を持ちます。重み付きの52%は、回答20人だけの40%とは答える対象が違います。

構成を合わせても、答えなかった人は見えない

実際の調査では、設計上の重みに、非回答を補う調整や、既知の地域・年齢などの構成へ合わせる調整を加えることがあります。非回答の調整では、同じ補正群の回答者が、回答しなかった人も代表できるといった仮定を置きます。

地域の構成を合わせても、同じ地域で答えた人と答えなかった人の意見が違えば、その違いまで見えたわけではありません。使った補助情報と調整の方法を確認する必要があります。重みが付いているという事実だけで、すべての偏りがなくなったとは言えません。

集計を読むときは、単純な回答者比率か、どの重みを使った推定かを見ます。前の調査と比べる場合も、抽出対象や補正の方法が変わったかを確認します。重みは全体へ換算する方法であり、個々の回答の正しさや推定の精度を自動的に保証する印ではありません。

人口の違う二地域から同じ人数を選ぶ

架空の例

A地域に800人、B地域に200人がいて、各地域の中では誰もが等しい確率で選ばれる方法で、10人ずつ選び、全員が答えたとします。賛成はAで6人、Bで2人です。回答者だけを同じ一人と数えると、8÷20=40%です。

Aの抽出確率は10÷800なので重みは80、Bは10÷200なので20です。賛成を換算すると6×80+2×20=520人分、全体は10×80+10×20=1000人分で、推定割合は52%になります。これは置いた回答からの推定で、母集団全員の賛成を観測した値ではありません。

持ち帰る見方

  • 抽出確率の逆数を使い、一つの回答を母集団の何単位分として扱うか換算します。
  • 重み付き割合は、該当者と全体の双方へ重みを使います。
  • 非回答や構成の補正には仮定があり、見えない違いまで直した証拠にはなりません。

次に広がる疑問

  • 集団の構成が変わると、全体の割合はどう動く?
  • 回答しなかった値は、ゼロとして計算できる?

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出典

  • Survey Methods and Practices(カナダ統計局(Statistics Canada))https://www150.statcan.gc.ca/n1/en/pub/12-587-x/12-587-x2003001-eng.pdf

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

一人の回答が何人分を代表するか

確率標本の設計上の重みは各単位の抽出確率の逆数で、標本の一単位が母集団の何単位を代表するかを表す。全員に同じ重みなら割合や平均で相殺する場合がある。

対象
7.1~7.1.2、頁119~122
条件
既知の抽出確率がある確率標本。自己重み付けで後続補正がない場合
例外・限界
無作為抽出でない回答に機械的にこの逆数を当てはめない
  • Survey Methods and Practices(カナダ統計局(Statistics Canada))https://www150.statcan.gc.ca/n1/en/pub/12-587-x/12-587-x2003001-eng.pdf

割合は重みを掛けた人数で割る

重み付きの割合は、該当する回答の重みの合計を全回答の重みの合計で割る。重みが異なる場合、単純な回答者比率とは違う値になり得る。

対象
7.2.2、頁133~135
条件
最終推定重みを分子と分母に一貫して使う
例外・限界
重み付きの値が未知の母集団割合に完全一致するとはしない
  • Survey Methods and Practices(カナダ統計局(Statistics Canada))https://www150.statcan.gc.ca/n1/en/pub/12-587-x/12-587-x2003001-eng.pdf

構成を合わせても、答えなかった人は見えない

非回答補正や既知の構成に合わせる補正は、同じ補正群の回答者が非回答者を代表できる等の仮定を置くため、見えていない違いまで自動的に直すものではない。

対象
7.1.3~7.1.4、頁122~129
条件
似た回答傾向・性質の群や既知の母集団補助情報で調整
例外・限界
地域構成を合わせても同地域の回答者/非回答者の性質の違いが残り得る
  • Survey Methods and Practices(カナダ統計局(Statistics Canada))https://www150.statcan.gc.ca/n1/en/pub/12-587-x/12-587-x2003001-eng.pdf