数字と報道
地域ごとに人を選ぶ調査は、全国からまとめて選ぶのと何が違う?
層化抽出は、母集団を地域などの層へ分け、全ての層の中から対象を選ぶ方法です。人口に応じて標本人数を配る比例層化なら、各層の人数構成を反映できます。層ごとの人数を決めることと、その中で無作為に人を選ぶことの両方が必要です。
基本の用語
標本調査は一部から全体を推定します。ここでは全体を重複なく地域へ分け、各地域の全員を一度ずつ載せた名簿から選ぶ方法を考えます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 全員を調べる統計なら、誤差はなくなる?全数で消える標本誤差と、数え漏れ・測定・非回答・処理の誤りを区別する。
- 調査した人の人数を、そのまま全国の割合にできる?抽出確率と重み付き割合の計算、回答構成の補正に必要な仮定を説明できる。
全ての層から選ぶ
母集団を層と呼ぶ区分に分けます。地域別、学年別など、調べる対象を漏れなく分ける区分が使えます。層化では、一部の層だけを選ぶのではなく、定めた全ての層から標本を取る点を先に押さえます。
比例層化抽出では、各層の母集団人数に応じた人数を選びます。全体1000人のうちA地域800人、B地域200人から100人を比例配分で選ぶなら、A80人、B20人です。それぞれの地域を標本に含めながら、人数構成もこの配分でそろえます。
層の定義が重なれば、一人が二つの名簿で対象となる問題が起きます。一方で、どの層にも入らない人がいれば漏れます。層の一覧を作る段階で、全体の対象と各層の合計人数が対応しているかを確認します。抽出後の回答数だけではこの条件を確かめられません。
層の中でも無作為に選ぶ
層ごとの人数を割り当てた後、その層の名簿から単純無作為に人を選びます。B地域を20人にするため、声を掛けやすい20人を集めるだけでは、この比例層化無作為抽出の手順になりません。人数の割当と、誰が選ばれるかの規則は別の工程です。
例えば地域の名簿に番号を付け、必要な数の番号を無作為に選ぶという手順があります。どの層でも同じ対象の数え方を用い、選ばれた人と実際の回答者も区別します。A80人、B20人を抽出しても、全員が回答するとは決まらないので、回収段階の構成は別に記録します。
ここでの例は人口比例の配分です。層ごとに同数を調べる別の配分へ替えるなら、標本の構成は人口の構成と異なります。全体の割合をどう推定するかも、その選び方に合わせて考えます。「層化」という一語だけで、全ての配分を同じ単純集計で読めるわけではありません。
区分を設計と集計で区別する
集めた後で年齢や地域別に表を分けることと、最初から各層で標本を選ぶことは違います。後の集計でB地域の回答が少ないと判明しても、抽出時にBを一定数選ぶ設計だったとは言えません。調査の方法書で、層を設けた段階と選び方を読みます。
層化の仕組みを知ると、全国の回答数だけでなく、各層に何人の標本を割り当てたかを確認できます。地域別の結果を知りたいなら、その地域から実際に得られた回答数も必要です。全体100人という情報から、全ての地域で同じ精度と決めることはできません。
層化は抽出の方法です。質問の意味が違って伝わることや、名簿にいない人の意見を自動的に解決するものではありません。層の定義、層内の無作為抽出、回収、全体への推定という各段階をつなげて読むと、人数構成がどう作られたかが分かります。
- 全体を区分
1000人をA800人、B200人へ重複なく分ける。
- 人数を配分
標本100人をA80人、B20人へ配る。
- 各層で無作為抽出
各名簿から必要数を選び、回答の回収へ進む。
人数の配分だけでなく、各層内の無作為な選び方を定める。
1000人から地域比例で100人を選ぶ(架空の例)
対象1000人をA800人とB200人の二地域に重複なく分けます。100人の標本を人口比例でA80人、B20人へ配り、各地域の全員の名簿からその人数を無作為に選びます。抽出割合はどちらも10%です。
Aだけから100人を選ぶ方法は、Bの名簿を使っていないので、この層化の例にはなりません。また両地域で希望者を80人と20人集める方法も、人数は同じでも、層内の無作為抽出とは選び方が異なります。
持ち帰る見方
- 層化では全ての層から選ぶ。比例配分は層の人数構成を反映する。
- 割当人数と層内の無作為抽出、抽出者と回答者を区別する。
次に広がる疑問
- 全ての地域でなく、一部の地域を選ぶ調査はどう違う?
順番に読んでいる方へ
出典
OpenStax Introductory Statistics 2e: Data, Sampling, and Variation in Data and Sampling(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/1-2-data-sampling-and-variation-in-data-and-sampling
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
全ての層から選ぶ
比例層化抽出では母集団を層に分け、各層から人数に応じた標本を取る。
- 対象
- 教材の比例層化無作為標本。
- 条件
- 層を重複なく母集団全体を覆う区分にする。
- 例外・限界
- 一部の層だけを選ぶ集落抽出と異なる。
OpenStax Introductory Statistics 2e: Data, Sampling, and Variation in Data and Sampling(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/1-2-data-sampling-and-variation-in-data-and-sampling
層の中でも無作為に選ぶ
教材の比例層化抽出では各層から単純無作為標本を選ぶ。
- 対象
- 各層からの比例配分と無作為抽出。
- 条件
- 各層の名簿と人数を確認する。
- 例外・限界
- 人数の割当だけで、回答したい人を選ぶ方式が無作為になるわけではない。
OpenStax Introductory Statistics 2e: Data, Sampling, and Variation in Data and Sampling(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/1-2-data-sampling-and-variation-in-data-and-sampling