経済の基礎

コーヒーが値上がりすると、紅茶と砂糖の売れ方はどう変わる?

代わりに使える商品なら、片方の値上げで、もう片方を選ぶ人が増えることがあります。一緒に使う商品なら、片方を買う量が減ることで、もう片方の需要も減りえます。自分の商品の値段と、関連する商品の値段を分けて見ます。

基本の用語

需要は、買い手がある価格でどれだけ買いたいかという関係です。ここでは関連商品の価格だけを変え、所得や好みなどをそろえた模型を使います。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

代わりに使える商品なら、需要が増える方向

コーヒーの代わりに紅茶を飲める人を考えます。コーヒーだけが値上がりし、紅茶の価格が同じなら、紅茶へ替える選択が相対的に魅力的になります。こうした代わりに使える関係を代替財と呼びます。同じ種類の商品であることより、買い手が同じ目的のために置き換えられるかが中心です。

紅茶側から見ると、紅茶自身の値段を下げたわけではありません。同じ価格でも、コーヒーから移ってきた人が加わるため、買いたい量が増える方向へ動きます。紅茶の価格を何通りか想定しても、各価格で以前より多く買いたいなら、需要全体が増えたと表します。

全員が置き換えるとは限りません。コーヒーの味を強く好む人と、温かい飲み物ならよい人では、代わりの使いやすさが違います。代替関係を置く模型は、誰の用途を想定するかが条件です。一方の価格だけから、移る人数や売上の金額まで算出することはできません。

一緒に使う商品なら、需要が減る方向

一緒に使う関係は補完財と呼びます。コーヒーを飲むときだけ砂糖を使うという人なら、コーヒーの値上げで飲む量を減らすと、砂糖を使いたい量も減る方向です。砂糖の価格を変えていなくても、砂糖側の需要が変わります。商品の名前が違うことは、別々の需要として無関係であることを意味しません。

ただし、砂糖にはほかの用途もあります。紅茶へ替えてそこでも砂糖を使う人や、料理で使う人もいる設定なら、砂糖全体の需要がどれほど減るかは分かりません。コーヒーと砂糖が必ず強い補完財だという実測の主張ではなく、用途を限定した仕組みを考えています。

代替・補完は、店が近いとか、商品を同じ会社が作るとかだけで決まりません。買い手の選択で、一方が変わったときもう一方をどう使うかを見ます。同じ商品同士でも、対象とする人、期間、利用の仕方が変われば、関連の強さは異なりえます。

自分の値段が動く場合と分ける

需要曲線は、対象商品自身の価格と、買いたい量の関係を表します。紅茶自身が値上がりした場合は、他の条件を固定してその曲線の上を動く話です。コーヒーが値上がりして紅茶へ替える場合は、紅茶の価格を固定しても買いたい量が変わるので、紅茶の需要曲線が動く話です。

現実の販売量は、需要だけでなく供給にも左右されます。紅茶を欲しい人が増えても、生産できる量が変わらなければ、価格が上がるなど別の調整が起こりえます。「コーヒーが値上がりしたから、紅茶の販売数が必ず同じ割合で増える」とは言えません。

ニュースで関連商品の動きを読むときは、何の価格が変わり、何の数量を比べているかを書き分けます。対象商品の価格、所得、好み、供給条件も同時に変わっていれば、その違いも必要です。二商品の販売数が逆に動いたという観察だけで、代替関係の原因や強さを確定することも避けます。

関連商品の価格が上がったときの需要の方向
  • 代替財

    代わりの商品へ移るため、対象商品の需要が増える方向

  • 補完財

    一緒に使う量が減るため、対象商品の需要が減る方向

対象商品自身の価格、所得、好み等を固定し、用途に応じた関係を置きます。

紅茶の価格を固定して比べる

架空の飲み物の店で、紅茶は一杯300円のまま、コーヒーだけが300円から400円へ上がったとします。どちらでもよい客が紅茶へ替えれば、紅茶の価格が変わらなくても紅茶を買いたい量は増えます。

コーヒーにだけ付ける小袋の砂糖なら、コーヒーの注文が減ると使用希望も減ります。全飲料に付ける砂糖なら同じ結果とは限りません。この例は客数や好みを固定した設定で、実際の飲料需要を測った数字ではありません。

持ち帰る見方

  • 別商品の値段も、対象商品の需要を動かす。
  • 代替財と補完財は、買い手の用途で考える。
  • 需要の変化と実際の販売量を分ける。

次に広がる疑問

  • 自商品の値段への反応の大きさを読む
  • 似た商品でも選ばれ方が違う理由を読む

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出典

  • Principles of Microeconomics 3e, 3.2 Shifts in Demand and Supply for Goods and Services(David Shapiro・Daniel MacDonald・Steven A. Greenlaw/OpenStax (2022))https://openstax.org/books/principles-microeconomics-3e/pages/3-2-shifts-in-demand-and-supply-for-goods-and-services

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

代わりに使える商品なら、需要が増える方向

代替財の価格上昇は、ほかの条件を固定すると、対象商品の需要を増やす方向へ作用する。

対象
別の商品の価格が変わる、代替財・補完財の需要模型。
条件
他の商品の価格だけを変え、自商品の価格・所得・好み等をそろえ、代替財又は補完財の関係を置く。
例外・限界
代替・補完の関係は用途・消費者・期間により異なる。供給や所得も動く現実の販売量は、別商品の価格だけで決まらない。
  • Principles of Microeconomics 3e, 3.2 Shifts in Demand and Supply for Goods and Services(David Shapiro・Daniel MacDonald・Steven A. Greenlaw/OpenStax (2022))https://openstax.org/books/principles-microeconomics-3e/pages/3-2-shifts-in-demand-and-supply-for-goods-and-services

一緒に使う商品なら、需要が減る方向

補完財の価格上昇は、ほかの条件を固定すると、対象商品の需要を減らす方向へ作用する。

対象
別の商品の価格が変わる、代替財・補完財の需要模型。
条件
他の商品の価格だけを変え、自商品の価格・所得・好み等をそろえ、代替財又は補完財の関係を置く。
例外・限界
代替・補完の関係は用途・消費者・期間により異なる。供給や所得も動く現実の販売量は、別商品の価格だけで決まらない。
  • Principles of Microeconomics 3e, 3.2 Shifts in Demand and Supply for Goods and Services(David Shapiro・Daniel MacDonald・Steven A. Greenlaw/OpenStax (2022))https://openstax.org/books/principles-microeconomics-3e/pages/3-2-shifts-in-demand-and-supply-for-goods-and-services

自分の値段が動く場合と分ける

自商品の価格変化による需要量の変化は需要曲線上の移動、他商品の価格等による需要の変化は曲線の移動として区別する。

対象
別の商品の価格が変わる、代替財・補完財の需要模型。
条件
他の商品の価格だけを変え、自商品の価格・所得・好み等をそろえ、代替財又は補完財の関係を置く。
例外・限界
代替・補完の関係は用途・消費者・期間により異なる。供給や所得も動く現実の販売量は、別商品の価格だけで決まらない。
  • Principles of Microeconomics 3e, 3.2 Shifts in Demand and Supply for Goods and Services(David Shapiro・Daniel MacDonald・Steven A. Greenlaw/OpenStax (2022))https://openstax.org/books/principles-microeconomics-3e/pages/3-2-shifts-in-demand-and-supply-for-goods-and-services