経済の基礎

相手が増やしたら自分も増やす競争は、どう連鎖する?

他人の行動が高くなるほど、自分も高い行動へ変える得が増す関係が戦略的補完です。消費財の補完関係と分け、利得差の変化から最適反応と複数均衡を読みます。

基本の用語

最適反応は他人の行動を固定して自分の利得を最大にする行動です。行動に低い・高いという順序を付け、相手の行動が上がったとき、自分の高い行動の相対的な得がどう変わるかを比較します。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

行動の得が互いに強まる

他人が設備を多く備えると、自分も多く備える方の相対的な利益が増える状況を考えます。重要なのは他人の増加が自分の利得の水準を上げるかだけでなく、自分の高低二行動の利得差をどう変えるかです。

高い行動の利得から低い行動の利得を引き、相手が低い場合と高い場合を比べます。相手が上がるとこの差が小さくならないという性質を、増加差分と呼びます。複数の行動を持つ場合にも順序に沿って比較します。

商品を一緒に使う補完財とは、比較する対象が違います。ここでは他人の戦略を変えたときの自分の選択誘因を見ます。同じ名称に補完が含まれても、需要の交差価格効果とそのまま交換できる概念ではありません。

相手が増やすと最善も増える

適切な格子構造や利得の条件を備えるスーパー・モジュラーゲームでは、最適反応の最小・最大の選択が相手の行動に対して弱く増加します。高い行動へ誘われる方向が、順序を使って整理できます。

同点の最適反応が複数ある場合は、集合の一要素を勝手に選ぶと見通しが変わります。そのため最小の反応と最大の反応を区別します。連続の行動で常に一つの反応が滑らかに動くという主張ではありません。

二つの行動しかない以下の例では、相手が低ければ自分も低く、高ければ自分も高いのが厳密な最適反応になります。利得差の比較を先に確認すれば、相手に合わせたい理由を数字で読めます。

相互補強と複数の落着き先を分ける

相互に高い行動へ誘う構造は、低い行動がそろう均衡と高い行動がそろう均衡を併せ持つ場合があります。一方を選んだ本人だけでは相手を動かせず、最適反応が両方の組を支えます。

ただし戦略的補完だから必ず複数均衡になるわけではありません。利得の水準や行動集合によっては一つだけです。理論の順序に関する性質と、特定の表で均衡が幾つあるかを別々に確かめます。

高い均衡が常に望ましいという評価も含まれません。高低は行動の順序で、社会的利益の順位ではないためです。調整が必要かを考える際は、他の人や費用を省いた利得表であることも残します。

架空の例相手の設備と、自分の高い行動の利得差
  • 相手が低

    高−低=−1。低が最適反応。

  • 相手が高

    高−低=2。高が最適反応。

  • 双方の応答

    低/低と高/高が互いの最適反応。

架空の二行動ゲームで、二つの純粋均衡を示します。全ての戦略的補完に複数均衡があることや、高い行動が一般に社会的に望ましいことは意味しません。

架空の例:設備を低くそろえるか、高くそろえるか

二人が設備を低/高から選びます。自分が低なら相手によらず利得0、高なら相手が低のとき−1、高のとき2と置きます。高へ変更する利得差は−1から2へ増え、戦略的補完があります。

相手が低なら低0が高−1よりよく、相手が高なら高2が低0よりよくなります。低/低と高/高の二つは、一人で変更して得られない純粋均衡です。片方だけ高くする組は、どちらかが変更して得を増やせます。

持ち帰る見方

  • 自分の高低の利得差が、相手の増加でどう動くかを見る。
  • 最適反応の順序と、均衡の個数・望ましさを分ける。

次に広がる疑問

  • 支配された行動を先に除くと?
  • 商品の補完関係はどう測る?

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出典

  • Supermodularity — MIT 14.126 (2016)(MIT OpenCourseWare / Muhamet Yildiz, based on lectures by Paul Milgrom)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/1021599dba3552e2eb3bbf9deebf57a7_MIT14_126S16_supermodular.pdf

    確認日:2026-10-07

本文の出典・補足

行動の得が互いに強まる

戦略的補完は、相手の行動が高くなるほど自分の高い行動の相対的な利得が増す関係である。

対象
増加差分と上向きの最適反応による戦略的補完を、財の補完と数量競争の反応から区別する。
条件
相手行動の増加が自分の高行動の相対利得を増やす増加差分、順序ある行動集合。最適反応の単調性は上位/下位選択の定理条件を満たす場合。
例外・限界
財の補完性とは別。上向き反応だけで現実の調整経路や一意性を断定しない。複数均衡はありうるが必ずではない。
  • Supermodularity — MIT 14.126 (2016)(MIT OpenCourseWare / Muhamet Yildiz, based on lectures by Paul Milgrom)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/1021599dba3552e2eb3bbf9deebf57a7_MIT14_126S16_supermodular.pdf

相手が増やすと最善も増える

スーパー・モジュラーゲームの条件では、最小・最大の最適反応は相手行動に対して弱く増加する。

対象
増加差分と上向きの最適反応による戦略的補完を、財の補完と数量競争の反応から区別する。
条件
相手行動の増加が自分の高行動の相対利得を増やす増加差分、順序ある行動集合。最適反応の単調性は上位/下位選択の定理条件を満たす場合。
例外・限界
財の補完性とは別。上向き反応だけで現実の調整経路や一意性を断定しない。複数均衡はありうるが必ずではない。
  • Supermodularity — MIT 14.126 (2016)(MIT OpenCourseWare / Muhamet Yildiz, based on lectures by Paul Milgrom)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/1021599dba3552e2eb3bbf9deebf57a7_MIT14_126S16_supermodular.pdf

相互補強と複数の落着き先を分ける

その条件のゲームには最小と最大の純粋戦略均衡があり、均衡が必ず一意というわけではない。

対象
増加差分と上向きの最適反応による戦略的補完を、財の補完と数量競争の反応から区別する。
条件
相手行動の増加が自分の高行動の相対利得を増やす増加差分、順序ある行動集合。最適反応の単調性は上位/下位選択の定理条件を満たす場合。
例外・限界
財の補完性とは別。上向き反応だけで現実の調整経路や一意性を断定しない。複数均衡はありうるが必ずではない。
  • Supermodularity — MIT 14.126 (2016)(MIT OpenCourseWare / Muhamet Yildiz, based on lectures by Paul Milgrom)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/1021599dba3552e2eb3bbf9deebf57a7_MIT14_126S16_supermodular.pdf