経済の基礎
最悪の相手を想定すると、どんな確率で守ればよい?
二人ゼロ和の有限ゲームでは、くじで行動を選ぶことを許すと、相手のどの行動にも保証できる最低期待利得を最大にする値が、相手側の最小化の値と一致します。毎回勝つという保証ではありません。
基本の用語
ゼロ和は、各結果で一方の利得をもう一方の損として置く模型です。混合戦略は行動を確率で選び、利得を期待値で評価します。相手は当該回のくじの結果を先に見られないと置きます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 行動をランダムに選ぶ方が、相手に読まれず有利になる?相手に行動を読まれると不利になるゲームでは、確率を決めて行動を選ぶ均衡があります。
- 相手の出方で最善の選択が変わるのはなぜ?相手の行動を条件に、自分の最適反応を比べる。
全員の利得合計をゼロに置く
Aの利得が2ならBは−2、Aが−1ならBは1というように、各結果の合計をゼロにします。利得表Aに対しBの表はその負値です。そのためBが自分の得を増やす選択は、Aの得を減らす選択に一致します。
普通の交渉や共同事業は、双方が同時に得る可能性もあります。全ての競争をゼロ和へ置き換えることはできません。何を利得と数え、各結果の合計が本当に一定かを確認して、この模型を使います。
くじの結果が相手へ先に見えれば、相手はその行動に合わせて応答できます。ここで調べる保証は同時選択の期待利得です。単に行動をランダムにすることだけで、情報が漏れる場合の保証まで得られるわけではありません。
最低の期待利得を引き上げる
Aが確率pで上を選ぶとき、Bが左なら何点、右なら何点の期待利得になるかを計算します。その二つの小さい方が、Bのどちらの純粋行動にも保てる最低値です。Bが混ぜても期待値はその間なので、この最低値を下回りません。
Aはその最低値をできるだけ高くするpを選びます。これが最大最小、maximinの問題です。自分に都合のよい相手だけに対する平均を最大にする計算とは違います。低い方が切り替わる交点や確率の端を比べて求めます。
有限二人ゼロ和で混合を許すと、この最大最小の値は、BがAの最高期待利得をできるだけ小さくする最小最大の値と一致します。双方の問題を同じ利得表で合わせるミニマックスの関係です。
保証するのは一回の勝利でない
この一致した値がゲームの値であり、混合ナッシュ均衡でのAの期待利得になります。相手の均衡戦略へ一人で変更しても得が増えないことと、どんな相手にも最低値を保てることが、このゼロ和の条件で結び付きます。
期待値で0.2を保証しても、一回には−1が起こりえます。保証の対象は確率で重み付けした評価で、実現した最低点ではありません。回数を重ねた現実の平均が常にちょうどその値になるという結論でもありません。
非ゼロ和では、相手の利得最大化と自分の利得最小化が一致しません。同じ保証計算をしても、ナッシュ均衡との関係をそのまま使えない場合があります。合計一定、混合を許す、期待評価、情報の順序という前提を残します。
- 上だけ p=1
左なら2、右なら−1。最低−1。
- 上2/5・下3/5
左も右も0.2。最低0.2。
- 下だけ p=0
左なら−1、右なら1。最低−1。
非対称の架空ゼロ和表による期待利得です。Bは当該回の乱数結果を見ません。図の最低値は、一回の実現損失の下限ではありません。
架空の例:二つの最低値をつり合わせる
Aの利得表は上左2・上右−1、下左−1・下右1、Bは全てその負値です。Aが上を確率pで選ぶと、左に対する期待値は3p−1、右なら1−2pです。二つをそろえる3p−1=1−2pからp=2/5、保証値1/5となります。
Bが左を確率qで選ぶ場合も、Aの上の得3q−1と下の得1−2qをそろえてq=2/5です。Aが上だけなら最低−1、下だけでも最低−1なので、混合の保証0.2が高くなります。左右が同じ利得でないため、半々が答えにはなりません。
持ち帰る見方
- 相手ごとの期待利得の小さい方を最大にする。
- 有限二人ゼロ和の値の一致と、一回の結果の保証を区別する。
次に広がる疑問
- 仲介の推奨で全員の得を増やせる?
- 被支配行動の削除で何が絞れる?
順番に読んでいる方へ
出典
Computation of Nash Equilibrium in Finite Games, Lecture 9 — MIT 6.254 (2010)(MIT OpenCourseWare / Asuman Ozdaglar)https://ocw.mit.edu/courses/6-254-game-theory-with-engineering-applications-spring-2010/9cca6ef4a5399a4e05891f471d667441_MIT6_254S10_lec09.pdf
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
全員の利得合計をゼロに置く
二人ゼロ和ゲームでは、一方の利得表の負値がもう一方の利得表である。
- 対象
- 二人ゼロ和の保証利得を混合戦略で最大化し、ミニマックス値と一般ゲームの違いを示す。
- 条件
- 有限二人ゼロ和、混合戦略を許す、期待利得、相手は当該回の乱数結果を観察しない。非対称架空利得表[[2,−1],[−1,1]]を使用。
- 例外・限界
- 保証は毎回の実現利得の下限ではない。双方が得する非ゼロ和ゲームに値の一致を延長しない。相手が乱数結果を先に見る場合は別。
Computation of Nash Equilibrium in Finite Games, Lecture 9 — MIT 6.254 (2010)(MIT OpenCourseWare / Asuman Ozdaglar)https://ocw.mit.edu/courses/6-254-game-theory-with-engineering-applications-spring-2010/9cca6ef4a5399a4e05891f471d667441_MIT6_254S10_lec09.pdf
最低の期待利得を引き上げる
混合を許す有限二人ゼロ和では、最低期待利得の最大化と、相手の最高期待利得の最小化の値が一致する。
- 対象
- 二人ゼロ和の保証利得を混合戦略で最大化し、ミニマックス値と一般ゲームの違いを示す。
- 条件
- 有限二人ゼロ和、混合戦略を許す、期待利得、相手は当該回の乱数結果を観察しない。非対称架空利得表[[2,−1],[−1,1]]を使用。
- 例外・限界
- 保証は毎回の実現利得の下限ではない。双方が得する非ゼロ和ゲームに値の一致を延長しない。相手が乱数結果を先に見る場合は別。
Computation of Nash Equilibrium in Finite Games, Lecture 9 — MIT 6.254 (2010)(MIT OpenCourseWare / Asuman Ozdaglar)https://ocw.mit.edu/courses/6-254-game-theory-with-engineering-applications-spring-2010/9cca6ef4a5399a4e05891f471d667441_MIT6_254S10_lec09.pdf
保証するのは一回の勝利でない
ゼロ和の混合ナッシュ均衡の期待利得はミニマックス値となり、ゲームの値と呼ばれる。
- 対象
- 二人ゼロ和の保証利得を混合戦略で最大化し、ミニマックス値と一般ゲームの違いを示す。
- 条件
- 有限二人ゼロ和、混合戦略を許す、期待利得、相手は当該回の乱数結果を観察しない。非対称架空利得表[[2,−1],[−1,1]]を使用。
- 例外・限界
- 保証は毎回の実現利得の下限ではない。双方が得する非ゼロ和ゲームに値の一致を延長しない。相手が乱数結果を先に見る場合は別。
Computation of Nash Equilibrium in Finite Games, Lecture 9 — MIT 6.254 (2010)(MIT OpenCourseWare / Asuman Ozdaglar)https://ocw.mit.edu/courses/6-254-game-theory-with-engineering-applications-spring-2010/9cca6ef4a5399a4e05891f471d667441_MIT6_254S10_lec09.pdf