経済の基礎

行動をランダムに選ぶ方が、相手に読まれず有利になる?

相手に行動を読まれると不利になるゲームでは、確率を決めて行動を選ぶ均衡があります。大切なのは気まぐれに変えることではなく、相手が一方へ偏って得する余地をなくす確率です。いつでも五分五分が最善とは限りません。

基本の用語

純粋戦略は一つの行動を決め、混合戦略は行動に確率を付けます。ここでは同時に選び、相手の今回の選択を見てから変更できないゲームを考えます。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

毎回の行動と、その確率を分ける

混合戦略は、複数の純粋戦略に確率を割り当てる戦略であり、その利得を相手の確率も含めた期待値で評価する。

例えば二つの場所のどちらを守るかを決める人と、どちらへ攻めるかを決める人がいます。常に同じ場所を守れば、攻める側に読まれます。選択の確率を相手が知っていても、今回の乱数結果は知らないと置きます。

行動の結果が運で変わることと、本人が行動をランダム化することは違います。混合戦略が扱うのは後者です。勝ち負けの期待利得は、自分と相手がどの組合せを何割選ぶかを使って計算します。

相手に一つの行動へ偏らせない

混合戦略均衡で正の確率で選ぶ純粋戦略同士は、相手の戦略を固定すると同じ期待利得を与える。片方が厳密によければ、劣る方を正の確率で選ぶ誘因はない。

相手が左を8割選ぶなら、左を守る得が右より大きくなる設定もあります。そのとき守る側が半々に混ぜる理由はありません。混ぜたい二行動の得が同じになるよう、相手の確率がつり合う条件を探します。

二者の利得が違えば、二人の混合確率も同じとは限りません。自分の混ぜ方が相手を無差別にし、相手の混ぜ方が自分を無差別にするという、二方向の条件を合わせます。

五分五分が合うのは、利得が対称な例

一致なら一方が1、他方が−1、不一致なら逆になるmatching penniesでは、純粋戦略均衡はなく、双方が二行動を半々に選ぶ混合戦略均衡がある。

一致を望む人と不一致を望む人の二択を考えます。一方が左に決めれば、相手はそれに応じた得な行動を選び、その後に一方も変更したくなります。固定した一組の行動では双方が満足する均衡を作れません。

双方が半々なら、相手の選択が左でも右でも一致する確率は半分です。片方が一方へ偏っても、自分の得は増えません。対称な利得だから半々になるので、罰や得の額が左右で違うゲームでは再計算が必要です。

均衡の存在と、現実の選び方を分ける

有限ゲームには混合戦略を許すとNash均衡が存在するが、この存在の定理だけでは現実の人がその確率で行動するとは分からない。

混合戦略の均衡では、たった一回に負けることもあります。期待利得で変更して得しないことと、毎回勝つことは別です。また相手の現在の選択が漏れるなら、同時手番の情報条件が変わります。

ニュースの「読まれない戦略」を考えるときは、誰が何を知り、どんな利得が付くかを確かめます。無作為なら常に賢いと評価するのでなく、相手の最適反応を考えた確率かどうかを判断します。

相手が半々であるとき、自分も必ず半々にしなければ一回の期待利得が下がるわけではありません。自分だけの比較では二行動が同じ得です。均衡の半々は、相手も変更して得しない条件まで合わせた結論です。この二者の比較を省いて、片方の期待値だけから均衡の確率を決めないようにします。

架空の例どちらを選んでも期待利得が同じ
  • Aが左を選ぶ

    Bが左/右を半々なら一致も不一致も半分

  • Aが右を選ぶ

    Bが左/右を半々なら一致も不一致も半分

左右の利得が対称と置く。

条件を置いた具体例

架空の例

二人が同時に左か右を選びます。一致ならAの利得1、Bの利得−1、不一致ならAが−1、Bが1です。Bが左を半分選ぶなら、Aはどちらを選んでも期待利得ゼロです。

Aも半々ならBも同じです。双方が一方へ偏って期待利得を増やせないため、半々の組が均衡になります。一回の結果を半分に分けて受け取るのではなく、何度も考えたときの選択確率の話です。

持ち帰る見方

  • 相手に行動を読まれると不利になるゲームでは、確率を決めて行動を選ぶ均衡があります。
  • 有限ゲームには混合戦略を許すとNash均衡が存在するが、この存在の定理だけでは現実の人がその確率で行動するとは分からない。

次に広がる疑問

  • 相手の出方で最善の選択が変わるのはなぜ?
  • オークションでは、入札額をそのまま払うとは限らない?

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出典

  • Strategic-Form Games: Dominated Strategies, Rationalizability, and Nash Equilibrium, MIT14.126 (2016)(MIT OpenCourseWare / Mihai Manea)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/bba04a523a1daeeeffee6c9f2377af17_MIT14_126S16_gametheory.pdf

    確認日:2026-10-05

本文の出典・補足

毎回の行動と、その確率を分ける

混合戦略は、複数の純粋戦略に確率を割り当てる戦略であり、その利得を相手の確率も含めた期待値で評価する。

対象
有限・同時手番ゲームの混合戦略Nash均衡。
条件
各人の行動確率と利得を共通知識として置き、相手の現在の乱数結果は選択時に分からない。
例外・限界
確率を使う行動が常に最善ではない。金銭利得の例は本人の賭け好み一般を測るものではない。
  • Strategic-Form Games: Dominated Strategies, Rationalizability, and Nash Equilibrium, MIT14.126 (2016)(MIT OpenCourseWare / Mihai Manea)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/bba04a523a1daeeeffee6c9f2377af17_MIT14_126S16_gametheory.pdf

相手に一つの行動へ偏らせない

混合戦略均衡で正の確率で選ぶ純粋戦略同士は、相手の戦略を固定すると同じ期待利得を与える。片方が厳密によければ、劣る方を正の確率で選ぶ誘因はない。

対象
有限・同時手番ゲームの混合戦略Nash均衡。
条件
各人の行動確率と利得を共通知識として置き、相手の現在の乱数結果は選択時に分からない。
例外・限界
確率を使う行動が常に最善ではない。金銭利得の例は本人の賭け好み一般を測るものではない。
  • Strategic-Form Games: Dominated Strategies, Rationalizability, and Nash Equilibrium, MIT14.126 (2016)(MIT OpenCourseWare / Mihai Manea)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/bba04a523a1daeeeffee6c9f2377af17_MIT14_126S16_gametheory.pdf

五分五分が合うのは、利得が対称な例

一致なら一方が1、他方が−1、不一致なら逆になるmatching penniesでは、純粋戦略均衡はなく、双方が二行動を半々に選ぶ混合戦略均衡がある。

対象
有限・同時手番ゲームの混合戦略Nash均衡。
条件
各人の行動確率と利得を共通知識として置き、相手の現在の乱数結果は選択時に分からない。
例外・限界
確率を使う行動が常に最善ではない。金銭利得の例は本人の賭け好み一般を測るものではない。
  • Strategic-Form Games: Dominated Strategies, Rationalizability, and Nash Equilibrium, MIT14.126 (2016)(MIT OpenCourseWare / Mihai Manea)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/bba04a523a1daeeeffee6c9f2377af17_MIT14_126S16_gametheory.pdf

均衡の存在と、現実の選び方を分ける

有限ゲームには混合戦略を許すとNash均衡が存在するが、この存在の定理だけでは現実の人がその確率で行動するとは分からない。

対象
有限・同時手番ゲームの混合戦略Nash均衡。
条件
各人の行動確率と利得を共通知識として置き、相手の現在の乱数結果は選択時に分からない。
例外・限界
確率を使う行動が常に最善ではない。金銭利得の例は本人の賭け好み一般を測るものではない。
  • Strategic-Form Games: Dominated Strategies, Rationalizability, and Nash Equilibrium, MIT14.126 (2016)(MIT OpenCourseWare / Mihai Manea)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/bba04a523a1daeeeffee6c9f2377af17_MIT14_126S16_gametheory.pdf