経済の基礎
オークションでは、入札額をそのまま払うとは限らない?
オークションの勝者を最高入札者にしても、その人が払う価格には別のルールを設けられます。自分の入札額を払う第一価格と、二番目の入札額を払う第二価格では、入札するときの誘因が違います。何円で勝つかと、何円払うかを分けて読みます。
基本の用語
ここでは一つの商品を売る競売を考えます。各人が自分にとっての価値を知り、他人の情報でその価値が変わらない「私的価値」の模型です。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 相手の出方で最善の選択が変わるのはなぜ?相手の行動を条件に、自分の最適反応を比べる。
勝つ人と、払う値段を別々に決める
封印入札では、参加者が他人の入札を見ずに額を出します。第一価格では最高額を出した人が勝ち、その人の出した額を払います。第二価格でも最高額の人が勝ちますが、払うのは二番目の入札額です。落札者の選び方が同じでも、支払額を決める式が違います。
競り上げの方式では、提示される価格が上がり、残る参加者が一人になるまで続く模型を考えられます。自分の価値まで参加するなら、次に高く評価する人が退出する水準が、最後まで残る人の支払価格に関わります。私的価値の標準的な条件では、第二価格と似た関係が現れます。
実際の競売には、最低落札価格や手数料、同額入札、入札の刻みなど別のルールがあります。名前だけで支払条件を確定せず、最高額の人をどう選び、いくら請求するかを確認します。役所が購入先を選ぶ入札とは、ここで商品を売る場合の価格の向きが違います。
自分の価値を出す方がよい条件がある
第二価格では、自分が勝ったときの価格は、他人の入札から決まります。自分の価値を1万円とし、他人の最高入札が8,000円なら、1万円を出して勝てば2,000円分の得が残ります。自分の入札を少し上げても、勝つ相手が同じなら支払額は変わりません。
価値より低く7,000円を出すと、8,000円の相手に負け、本来得をした取引を逃します。反対に、価値より高く1万2,000円を出すと、相手が1万1,000円でも勝ってしまい、自分の価値を超える価格を払う可能性があります。低くずらすと得な取引を逃し、高くずらすと損な取引に勝つ場合があるという比較です。
この条件では、自分の価値を正直に入札する戦略は、他人の入札がどうであっても、額をずらすことで改善できない弱支配戦略になります。「常に必ずもうかる」という意味ではありません。価値を正しく知り、支払価格が他人の入札だけで決まるなどの条件が必要です。
同じ商品でも、入札の誘因は変わる
第一価格では、勝ったときに自分の出した額を払います。価値をそのまま出すと、勝っても価値と支払額の差が残りません。低く出せばその差は大きくなる一方、相手へ負けやすくなります。落札の可能性と支払額を比べる判断なので、第二価格の正直入札の説明をそのまま使えません。
また、転売できる商品の将来価格など、全員に共通する価値がまだ分からず、他人が情報を持つ場合には、自分の評価もその情報で変わります。私的価値の模型と同じではありません。最高評価の人が勝ったことから、現実の価値まで最も正確に分かったとは判断できません。
競売の話を読むときは、品物の数、価値についての情報、勝者の決定、支払価格、追加条件を確認します。同じ参加者でもルールを変えると入札の選び方自体が変わりえます。入札額だけを固定した計算と、ルールごとの参加者の行動を比較する模型は区別します。
- 第一価格
入札1万円・8,000円・6,000円。勝者は1万円を払う
- 第二価格
同じ入札なら、勝者は二番目の8,000円を払う
入札行動を固定したルールの比較です。ルールを変えた実際の入札額を予測していません。
同じ三つの入札を、別の支払ルールで計算する
架空の三人が1万円、8,000円、6,000円を入札し、同額入札・手数料・最低落札価格はないとします。第一価格でも第二価格でも1万円の人が勝ちますが、前者では1万円、後者では8,000円を払います。
入札額を固定して支払ルールの違いを示した例です。第一価格と第二価格で全員が実際に同じ額を出すと予測したものではありません。落札者にとっての価値を1万円と置くなら、価値と支払額の差は前者0円、後者2,000円です。
持ち帰る見方
- 落札者の決め方と、支払価格の決め方を分ける。
- 第二価格の正直入札には、私的価値などの条件がある。
- ルールを変えると、入札行動も変わりうる。
次に広がる疑問
- 価値と支払額の差を読む
- 役所が買う契約の手続と比べる
順番に読んでいる方へ
出典
Economic Analysis for Business Decisions, Auctions and Bidding lecture handout(MIT OpenCourseWare (Fall 2004))https://ocw.mit.edu/courses/15-010-economic-analysis-for-business-decisions-fall-2004/7bf8a0e7391fff2f7952d86020567632_auctions_bidding.pdf
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
勝つ人と、払う値段を別々に決める
第一価格封印入札では最高入札者が自分の入札額を支払い、第二価格封印入札では最高入札者が二番目の入札額を支払う。
- 対象
- 一つの商品を売る、私的価値の第一価格・第二価格競売模型。
- 条件
- 一つの商品を売却し、各人が自分の価値を知り、他人の情報でその価値が変わらない私的価値模型。共謀・手数料・最低落札価格・予算制約等を省く。
- 例外・限界
- 共同価値・転売価値・他人の専門情報で価値が変わる場合や、共謀・手数料・最低価格・予算制約等がある場合は別の条件。
Economic Analysis for Business Decisions, Auctions and Bidding lecture handout(MIT OpenCourseWare (Fall 2004))https://ocw.mit.edu/courses/15-010-economic-analysis-for-business-decisions-fall-2004/7bf8a0e7391fff2f7952d86020567632_auctions_bidding.pdf
自分の価値を出す方がよい条件がある
標準的な私的価値の第二価格模型では自分の価値を正直に入札するのが弱支配戦略で、他人の入札額によらず価値より低い額や高い額へずらすことで改善できない。
- 対象
- 一つの商品を売る、私的価値の第一価格・第二価格競売模型。
- 条件
- 一つの商品を売却し、各人が自分の価値を知り、他人の情報でその価値が変わらない私的価値模型。共謀・手数料・最低落札価格・予算制約等を省く。
- 例外・限界
- 共同価値・転売価値・他人の専門情報で価値が変わる場合や、共謀・手数料・最低価格・予算制約等がある場合は別の条件。
Economic Analysis for Business Decisions, Auctions and Bidding lecture handout(MIT OpenCourseWare (Fall 2004))https://ocw.mit.edu/courses/15-010-economic-analysis-for-business-decisions-fall-2004/7bf8a0e7391fff2f7952d86020567632_auctions_bidding.pdf
同じ商品でも、入札の誘因は変わる
第一価格では自分の入札が支払額なので落札の確率と支払額を比べる誘因があり、第二価格の正直入札の説明をそのまま適用できない。共同価値の不確実性がある場合は別の条件となる。
- 対象
- 一つの商品を売る、私的価値の第一価格・第二価格競売模型。
- 条件
- 一つの商品を売却し、各人が自分の価値を知り、他人の情報でその価値が変わらない私的価値模型。共謀・手数料・最低落札価格・予算制約等を省く。
- 例外・限界
- 共同価値・転売価値・他人の専門情報で価値が変わる場合や、共謀・手数料・最低価格・予算制約等がある場合は別の条件。
Economic Analysis for Business Decisions, Auctions and Bidding lecture handout(MIT OpenCourseWare (Fall 2004))https://ocw.mit.edu/courses/15-010-economic-analysis-for-business-decisions-fall-2004/7bf8a0e7391fff2f7952d86020567632_auctions_bidding.pdf