経済の基礎

買った物の記録から、好みの矛盾を調べられる?

買った物だけでは好みは分かりません。その時に別の物も選べたかを合わせると、「こちらを選んだのに、別の機会には逆を選ぶ」という記録の整合性を調べられます。ただし、好みや選べる条件が同じだったかの確認が必要です。

基本の用語

選好は、物やサービスの組合せに付ける順序です。顕示選好は、本人へ好みを直接尋ねず、実際の選択からその順序の一部を読み取ります。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

選んだ物と、選べた物を対にする

ある組合せXを選んだときYも選べたなら、XはYより弱く顕示選好されたと定義する。

ここでいう物は一品に限らず、弁当と飲み物を合わせた買い物一式でも構いません。同じ支出でも中身の違う組合せを比べます。買った方が絶対に好きだったと断言するのでなく、少なくとも選べる他の案より悪くないと扱います。

家計の予算を調べるのは、その比較相手を確かめるためです。高い商品を買わなかった人が、それを嫌っていたとは限りません。予算を超えた案は、今回の選択が退けた相手には入りません。

逆向きの選択を、同じ条件で確かめる

顕示選好の弱公理では、XがYより弱く顕示選好されているのに、両方選べる別の集合でYだけを選びXを選ばない記録を許さない。

例えば初めはXだけ、次にはYだけを選んだとしても、XとYが両方の機会に選べたかが重要です。二回目にXが売り切れていたなら逆向きの選択とは呼べません。商品の品質が変わっていないかも確認します。

同じ好みで最善を選ぶという模型が記録に合うかを確かめる条件が、顕示選好の弱公理です。違反を見つけても人格や判断力の評価にはしません。省いた制約や、その間の好みの変化が理由である可能性があります。

買えなかった物への好みは分からない

選ばれなかったYがそのとき選べなければ、その選択だけからXとYの顕示選好は定義できない。

買い物の合計額が同じでも、店が遠い、持ち帰れない、必要な量が違うといった条件で選べる集合は変わります。お金だけから集合を作ると、実行できない案を比較へ混ぜるおそれがあります。

本人が二つを同じくらい好む場合には、どちらも最善となりえます。一つだけ観測された選択と、「他の案を最善として認めなかった」という完全な選択記録を区別して、単純な二択の例を現実へ広げます。

整合性の検査と、好みの全解明を分ける

弱公理の違反は固定した合理的選好による合理化と両立しない。ただし限られた記録で違反がないだけでは、すべての組合せの好みが一意に分かったことにならない。

少数の買い物記録には、まだ一度も並べて選べたことのない組合せが残ります。その二つの順序まで決まったとはいえません。矛盾を発見する検査と、好みを余さず知ることは異なる目的です。

値上げ後に買う量が減ったニュースにも、まず選べる条件の変化を見る視点を使えます。同じ人を比べ、同じ品質と利用可能性を確かめると、価格の反応と選好の変化を分けやすくなります。

検査のための順番は、同じ人の記録を並べ、候補ごとの購入可能性を確かめ、両方選べた回だけを比べるというものです。好みについての自己申告が変わったことと、選択記録が固定した順序に合わないことも別です。何を観測した検査なのかを明らかにすると、限られた記録からの言い過ぎを防げます。

選択の比較

架空の例

Xは弁当一つと飲み物、Yはパン二つと飲み物とします。どちらも購入可能な一回目にXだけを選び、二回目も両方購入可能なのにYだけを選んだという、二つの候補だけの選択記録を考えます。

同じ固定した好みが毎回の唯一の最善を決める条件なら、XをYより上、同時にYをXより上に置く必要があり、整合しません。二回目はXが品切れだったなら、同じ判断はできません。

持ち帰る見方

  • 買った物だけでは好みは分かりません。
  • 弱公理の違反は固定した合理的選好による合理化と両立しない。ただし限られた記録で違反がないだけでは、すべての組合せの好みが一意に分かったことにならない。

次に広がる疑問

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出典

  • Choice, Preference, and Utility — Lecture Slides, MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/b89cf6eb8d2118d015d4e41278ede14a_MIT14_121F15_1S.pdf

    確認日:2026-10-05

本文の出典・補足

選んだ物と、選べた物を対にする

ある組合せXを選んだときYも選べたなら、XはYより弱く顕示選好されたと定義する。

対象
同じ人の利用可能な選択肢と選択の整合性を扱う顕示選好の模型。
条件
同じ選好と十分な選択記録を比較し、選べる集合を把握する。
例外・限界
予算だけでは在庫・時間等の実行可能性は分からない。好みが変わった記録へ固定選好の矛盾判定を機械適用しない。
  • Choice, Preference, and Utility — Lecture Slides, MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/b89cf6eb8d2118d015d4e41278ede14a_MIT14_121F15_1S.pdf

逆向きの選択を、同じ条件で確かめる

顕示選好の弱公理では、XがYより弱く顕示選好されているのに、両方選べる別の集合でYだけを選びXを選ばない記録を許さない。

対象
同じ人の利用可能な選択肢と選択の整合性を扱う顕示選好の模型。
条件
同じ選好と十分な選択記録を比較し、選べる集合を把握する。
例外・限界
予算だけでは在庫・時間等の実行可能性は分からない。好みが変わった記録へ固定選好の矛盾判定を機械適用しない。
  • Choice, Preference, and Utility — Lecture Slides, MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/b89cf6eb8d2118d015d4e41278ede14a_MIT14_121F15_1S.pdf

買えなかった物への好みは分からない

選ばれなかったYがそのとき選べなければ、その選択だけからXとYの顕示選好は定義できない。

対象
同じ人の利用可能な選択肢と選択の整合性を扱う顕示選好の模型。
条件
同じ選好と十分な選択記録を比較し、選べる集合を把握する。
例外・限界
予算だけでは在庫・時間等の実行可能性は分からない。好みが変わった記録へ固定選好の矛盾判定を機械適用しない。
  • Choice, Preference, and Utility — Lecture Slides, MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/b89cf6eb8d2118d015d4e41278ede14a_MIT14_121F15_1S.pdf

整合性の検査と、好みの全解明を分ける

弱公理の違反は固定した合理的選好による合理化と両立しない。ただし限られた記録で違反がないだけでは、すべての組合せの好みが一意に分かったことにならない。

対象
同じ人の利用可能な選択肢と選択の整合性を扱う顕示選好の模型。
条件
同じ選好と十分な選択記録を比較し、選べる集合を把握する。
例外・限界
予算だけでは在庫・時間等の実行可能性は分からない。好みが変わった記録へ固定選好の矛盾判定を機械適用しない。
  • Choice, Preference, and Utility — Lecture Slides, MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/b89cf6eb8d2118d015d4e41278ede14a_MIT14_121F15_1S.pdf