経済の基礎

同じサービスなのに、人や買い方で値段が違うのはなぜ?

価格の差は、商品の内容や費用の差だけでなく、買い手が払ってもよい額や利用条件の違いを使った価格設定でも説明できます。経済学では、同じ商品でも買い手ごとに価格を変える模型を考えます。ただし、現実の料金表だけから、その理由や効果を一つに決めることはできません。

基本の用語

支払意思額は、その人が最大いくらまでなら買いたいと思うかを表す額です。実際に払う代金との差が、模型上の消費者余剰です。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

全員に同じ値段を付ける場合と比べる

全員に一つの価格を付けると、売り手は、買いたい人を増やす値下げと、一個当たりの収入を保つことを同時に考えます。低い価格にすれば追加の客が買える一方、値下げ前の高い価格でも買う予定だった人から受け取る代金も下がります。買い手ごとに価格を変えられるなら、この二つを別々に扱える模型になります。

価格差別という経済学の言葉は、この価格設定の違いに注目します。日常語の「差別」と同じ評価を最初から含む言葉ではありません。どういう条件で違う価格を付け、取引量や得の配分がどう変わるかを調べる概念です。

また、見た目が同じサービスでも、受ける内容や利用時間、取消しの条件などが違うなら、まずその違いをそろえます。一つの価格と個人別の価格を比較する模型は、商品と費用の条件を同じにしています。現実の料金差を見るときも、何を同じとした比較かが必要です。

売れる量と、得を受け取る人は別

極端な思考実験として、売り手が一人ひとりの支払意思額を正確に知り、その最高額を個別に徴収できるとします。支払意思額が追加費用を上回る人なら売る理由があるので、一つの高い価格では買わなかった人との取引も成立しえます。これを完全価格差別と呼びます。

この模型では、取引の得が増えることと、買い手が得を受け取ることは同じではありません。各人が最高額を払えば、支払意思額と代金との差はゼロとなり、余剰は売り手に入ります。取引を増やせたから買い手全員が得をした、とは言えません。

この結果には、情報と実行の強い条件があります。実際の売り手が全員の最高額を知っているとは限りません。学割や割引料金があることを、この極端な模型の実現と同じには扱いません。また、取引の得の合計が大きいことだけで、公平な料金だという価値判断はできません。

安い条件を選べるかを確かめる

料金差の理由を考えるときは、まず何が同じ商品なのかを確認し、次に安い料金を使える人と条件を調べます。誰でも選べる安い料金なのか、対象者や利用方法が限られるのかで、比較すべき選択肢は違います。提示された料金と、実際に自分が使える料金も分けます。

買い手が安い方を選べる条件なら、売り手がその人から高い料金を必ず取れるとは限りません。ここでは、個人別価格を実行できるという模型の仮定が現実に合うかを考えます。売る量に加え、どの料金を使えるかも確認しなければ、売り手の得と買い手の得の大きさは計算できません。

比較の結果は「客が増えたか」「受け取る代金が変わったか」「得が誰へ移ったか」に分けられます。実際の制度の効果を知るには、費用や利用者の行動を別途確認します。料金表はその入口であり、企業の動機や効果がすべて書かれた資料ではありません。

同じ価格と、個人別の価格を比べる

架空の例です。二人が一回ずつサービスを買い、払ってもよい額はそれぞれ1,000円、600円。一回の追加費用は300円で、固定費は省きます。全員に1,000円を付けると一人が買い、売上1,000円から費用300円を引いた差は700円です。

売り手が最高額を知り、各人に1,000円と600円を徴収できるとすると、二人とも買います。売上1,600円、費用600円で差は1,000円です。最高額以下なら買う設定なので、買い手の余剰はどちらもゼロです。取引が増えても、その得の受取人を別に見る必要があると分かります。

持ち帰る見方

  • 一つの価格と、買い手別の価格では選べる取引が違う。
  • 完全価格差別は、最高支払意思額を知り徴収できる極端な模型。
  • 売れる量、売り手の得、買い手の得を別々に比べる。

次に広がる疑問

  • 一つの価格で売る会社の制約を見る
  • 利用者と出店者の料金配分を考える

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出典

  • The Economy 1.0, Unit 7: The firm and its customers(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/07.html

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

全員に同じ値段を付ける場合と比べる

全員に一つの価格を付ける模型と、買い手ごとに別の価格を付ける模型では、売り手が選べる取引が異なる。

対象
CORE Unit7 §7.7 one price/separate prices
条件
同じ商品の費用と買い手の支払意思額を定める
例外・限界
実際の料金差が全て需要の違いによるとは言わない
  • The Economy 1.0, Unit 7: The firm and its customers(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/07.html

売れる量と、得を受け取る人は別

完全価格差別の思考実験は各人の支払意思額を知って徴収できる条件で、限界費用を上回る支払意思額の取引を増やし、余剰を売り手へ移す。

対象
CORE Unit7 §7.7 perfect price discrimination
条件
完全情報と個別価格を実行できる極端な模型
例外・限界
現実の料金表が完全価格差別や効率改善を実現するとは言わない。公平さは別問題
  • The Economy 1.0, Unit 7: The firm and its customers(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/07.html

安い条件を選べるかを確かめる

料金差を読む際は、同じ内容か、利用条件や費用が違うか、安い条件を誰が使えるかを確かめる。

対象
CORE Unit7 §7.7の模型条件からの編集上の比較整理
条件
資料中の完全情報模型と条件を比較する読解手順
例外・限界
現実の企業の価格設定理由や法的適否を確認した主張ではない
  • The Economy 1.0, Unit 7: The firm and its customers(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/07.html