経済の基礎

利用者は無料なのに、出店者は料金を払うのはなぜ?

出店者は買い手が多い場所に集まり、買い手は選べる商品や相手が多い場所を使いたい、と考える仕組みがあります。両側を結ぶサービスでは、一方を無料にして参加を促し、他方から料金を得る戦略を考えられます。無料という一部分だけで、サービス全体の費用や収益は分かりません。

基本の用語

二面市場は、異なる二つの参加者集団を結び付ける市場です。一方の参加が、他方の参加する便益に関わる点に注目します。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

買い手と売り手を同時に集める

市場に買い手と売り手がいるだけではなく、両側を集めて取引相手を探せるようにするサービスを考えます。買い手には売り手や商品が多い便益があり、売り手には買いたい人が多い便益があります。それぞれの人数と行動が、相手側に参加する理由を作ります。

同じ人数でも、どちら側が増えたかを区別します。売り手ばかり増えて買い手がいなければ、売り手にとって取引機会は増えたとは限りません。利用者の総数という一つの指標へまとめる前に、誰と誰を結び付ける仕組みなのかを確かめます。

片側の参加が他側の便益を変える模型では、一方の料金だけを変えたつもりでも、もう一方の参加条件に影響が及びえます。二つの別々の市場を足すだけでは説明しきれないのは、この相互作用があるためです。

片側を無料にする理由がある

片側の参加を増やすため、料金を低くしたり無料にしたりする戦略を教材は示しています。その側が集まることで、別の側も参加し、料金を払う理由ができるという考え方です。無料にした人数そのものではなく、他側へどんな便益が生じるかを追います。

たとえば買い手側が無料、出店者側が有料という料金の組合せを考えます。買い手が集まると出店者に取引機会があるため、出店者から収入を得る案があります。ただし、この模型は特定サービスの実際の料金や利益を確認したものではありません。

運営には費用もあるので、両側の料金と収入を合わせて考える必要があります。買い手に請求がないことを、運営費がゼロ、出店者の料金が全部利益、という意味にしません。また、料金が違うことだけから、その配分が公平かを決めることもできません。

相手がいないから参加しないという問題

開始時には、売り手は買い手が来るまで参加せず、買い手は売り手が来るまで参加しない、という問題があります。両側が集まれば得をする模型でも、それぞれが相手を待つため取引が起きない状態がありえます。需要がありそうなことと、市場が既に動いていることは違います。

教材の思考実験では、最初の参加を促す費用を負担して相手側も引き付ける方法が考えられます。ただし、片側を無料にすれば必ず両側が十分に集まるとは言えません。どの人数なら誰が参加するか、費用を回収できるかの条件を置いた比較です。

新規参入でも、機能だけでなく両側の参加者を集める必要があります。既に相手がいる場所と、まだ相手がいない場所では同じ機能の価値が違う場合があります。会社の成長を読むときは、参加人数、取引の成立、収入を別々に確かめます。

二つの参加者が得る便益
  • 買い手側

    選べる商品や売り手がいることに便益を感じる。

  • 売り手側

    買いたい人と取引できることに便益を感じる。

  • 両側を結ぶ運営者

    料金と参加条件を定め、両側を集める費用を負担する。

買い手と売り手の便益は、相手側にどのような取引相手がいるかにもよります。

架空の販売広場を開く

販売広場を開く場面を考えます。最初の出店者は「買い手がいない」、最初の買い手は「商品がない」と参加を待ちます。運営者が先にいくつかの出店を促し、買い手側の料金を無料にするという条件を置けば、両側が相手を見つけられるようになる可能性を考えられます。

その後、出店者が有料で参加する理由があるかは、来場者の人数だけでなく、取引相手としてどの便益を感じるかによります。無料にしたことと、費用を回収して市場が続くことを同じ成功として数えないのが、この例の見方です。

持ち帰る見方

  • 二つの集団の参加が互いの便益を変える。
  • 無料にする側と、料金を得る側を合わせて考える。
  • 市場を作れることと、両側が参加し続けることを分ける。

次に広がる疑問

  • 料金差による得の配分と比較する
  • 取引相手の情報が分からない問題を考える

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出典

  • The Economy 1.0, Unit 21: Innovation, information, and the networked economy(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/21.html

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

買い手と売り手を同時に集める

二面市場では異なる二つの参加者集団を結び、片側の参加が他側の便益と参加の選択に関わる。

対象
CORE §21.5 Matching markets
条件
二集団が相互に参加を促す模型
例外・限界
全員が同じサービス目的で参加すると扱わない
  • The Economy 1.0, Unit 21: Innovation, information, and the networked economy(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/21.html

片側を無料にする理由がある

片側の料金を低く又は無料にして参加を集め、他側の参加や支払いを促す料金配分の戦略がある。

対象
CORE §21.5 Market failures in matching markets
条件
参加者の相互便益と運営の費用収入を比較する模型
例外・限界
全サービスの無料の理由、収益、料金適否を断定しない
  • The Economy 1.0, Unit 21: Innovation, information, and the networked economy(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/21.html

相手がいないから参加しないという問題

参加者が双方とも相手を待つため取引が成立しない状態と、両側が集まる状態が共存する模型があり、開始費用と利益機会は別である。

対象
CORE §21.5 chicken-and-egg/equilibria
条件
参加条件・調整経路を置く思考実験
例外・限界
利用者数の架空閾値を現実の測定値にしない
  • The Economy 1.0, Unit 21: Innovation, information, and the networked economy(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/21.html