経済の基礎
取引に参加していない人にも費用がかかる?
取引する買い手と売り手が得をしても、別の人に騒音や汚染などの負担が及ぶことがあります。逆に、取引外の人が便益を受ける場合もあります。その影響が契約の便益や負担へ織り込まれていないとき、外部性として考えます。
基本の用語
ここでは、一つの活動が取引外の人へ及ぼす費用や便益に注目します。当事者の採算と、影響を受ける人を含めた評価を分けます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 市場があっても、公共サービスはなぜ必要?公共財・外部性と制度の選択
当事者の得と、社会全体の得がずれる
工場と購入者が製品を売買するとき、代金と製品はその二者の間で動きます。しかし製造の騒音で周囲の住民が負担を受け、その負担が工場の支払いや契約へ含まれていなければ、当事者の費用だけでは影響を数えきれません。これが負の外部性を考える例です。
正の外部性なら、活動した人が受け取る便益の外へ、他の人への便益が広がります。正か負かは、影響を受ける相手や内容を見て考えます。「社会へ影響すること」を全部まとめて同じ外部性と呼ぶのでなく、誰が何を受け取り、それが契約へどう含まれるかを確かめます。
取引により別の商品が値上がりしたという価格の変化と、取引へ入っていない汚染の負担は、同じ仕組みではありません。値上がりという言葉だけで外部性と決めず、ここで数える費用や便益の範囲を明らかにします。
追加の費用を、誰の範囲で数えるか
工場が一個多く作る費用と、社会全体で一個多く作る費用は違うことがあります。材料費など工場が負担する追加費用を私的限界費用と呼び、取引外へ及ぶ追加費用も含めたものを社会的限界費用として考えます。負の外部費用があるモデルでは、後者の方が大きくなります。
工場が自分の費用と売上だけで量を選ぶなら、住民の負担はその比較から落ちます。そのため、当事者の採算が取れていることは、影響を受ける人を含めた最善の量の証明になりません。便益を受ける側と費用を負担する側が違うことが、問題の中心です。
税、規制、交渉は、同じ道具ではない
対処には、活動量や方法を規制する、外部への負担を税などで選択へ反映する、関係者が補償や変更を話し合うなどの案があります。活動そのものを減らす案と、別の生産方法で影響を減らす案も区別できます。同じ目的でも、誰が判断し、誰が支払うかが違います。
ただし、外部への負担をどれだけと見積もれるか、被害を受ける人を特定できるか、交渉や監督にどれだけ費用がかかるかによって、使いやすい方法は変わります。政府にも必要な情報がすべてあるとは限りません。税を設ければ必ず最適とか、当事者の話合いだけで常に解決すると決めることはできません。
全体の負担が減ることと、公平な分配になったかも別です。どの人が便益を受け、誰の費用が増えたかを合わせて見ると、同じ効果を目指す政策の違いを比較できます。制度の目的だけから、実際に汚染が減ったと扱わないことも大切です。
店の追加利益と、隣人の負担
架空の一日営業です。店が営業時間を一時間延ばすと、追加売上5,000円、店の追加費用3,000円となり、店の利益は2,000円増えるとします。同時に、周囲へ及ぶ騒音の負担を、このモデルでは3,000円相当と置きます。店の比較には利益がありますが、影響全体の差は5,000−3,000−3,000=−1,000円です。
騒音の実際の金額を測った例ではありません。防音など別の案が使えるか、負担をどう評価するかも検討が必要です。架空の数値は、評価する人の範囲を変えると結論が変わることを示します。
考えるときの注意点
- 実際の負担や政策効果の大きさには個別の資料が必要です。便益や費用を金額に換える方法にも限界があります。
持ち帰る見方
- 外部性は取引外へ及ぶ、契約に織り込まれない影響。
- 私的費用と、外部費用を含む社会的費用を分ける。
- 対処は情報・実行費用・分配条件で比較する。
次に広がる疑問
- 取引当事者の得と全体の得を分ける
- 環境政策の対処方法を比べる
順番に読んでいる方へ
出典
The Economy 1.0, Unit 12: Markets, efficiency, and public policy(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/12.html
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
当事者の得と、社会全体の得がずれる
外部性は取引・決定に伴い、契約に便益や負担として織り込まれない他者への影響。
- 対象
- fiscal-core-public既存scope CORE12.1 external effect definition
- 条件
- 取引外の便益・費用
- 例外・限界
- 価格変化だけを外部性と同一視しない
The Economy 1.0, Unit 12: Markets, efficiency, and public policy(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/12.html
追加の費用を、誰の範囲で数えるか
外部費用がある模型では私的限界費用と社会的限界費用が異なる。
- 対象
- 既存scope CORE12.1 MPC/MSC Figure12.1-12.3
- 条件
- 外部への追加費用が正
- 例外・限界
- 架空数値を実測にしない
The Economy 1.0, Unit 12: Markets, efficiency, and public policy(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/12.html
税、規制、交渉は、同じ道具ではない
税・数量規制・補償交渉などを比較でき、情報・取引費用・分配条件が重要。
- 対象
- 既存scope CORE12.2 Bargaining、12.3 policies、12.9 government information
- 条件
- 制度の実行条件を確認
- 例外・限界
- どの政策でも常に最適とはしない
The Economy 1.0, Unit 12: Markets, efficiency, and public policy(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/12.html