数字と報道

統計表の空欄や「―」は、ゼロという意味?

空欄や記号を、すべてゼロとして読むことはできません。値が得られない、秘匿している、定義上当てはまらない、表示単位より小さいなど、別の意味があり得るためです。その表の凡例と脚注を確認し、どこまで計算できるかを判断します。

基本の用語

ゼロは数値ですが、値が分からないことや、そもそもその項目が当てはまらないことは別です。表の記号はその違いを示すために使われます。似た記号でも、資料ごとに意味が同じとは限りません。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

記号は、その表の凡例で読む

総務省統計局の「日本の統計2026」では、「-」は皆無、又は定義上該当する値がないことを示します。「…」は数値が得られない、「x」は秘匿されているという区別があります。得られなかった値と、公表していない値は、同じ理由で欠けているわけではありません。

同書では「0」「0.0」「0.00」は、表章単位に満たないことを示します。表示0だから真の値が厳密に0と決まるわけではありません。表示が丸められていることも、その数字をどう読めるかに関わります。

これは同書の具体的な凡例です。他の表の空欄や「―」も同じ意味だと決めず、その資料の説明を確認します。単位、対象年、脚注と一緒に読めば、数値として使えるものと、判断を保留すべきものを分けられます。

分からない値をゼロにしない

回答していない人の値をゼロとして入れると、「分からない」を「該当しない」に変えてしまいます。下の例では、不明の世帯を非該当と決めることで、分からなかったはずの全体の割合を一つに固定しています。

一方、不明の対象を除いて計算すれば、その数字は回答できた対象についての割合です。回答しなかった対象も含む全体の割合とは限りません。調査の非回答が、調べたい状態と関係している場合には、回答者だけの値に偏りが残り得ます。

実際の調査には、不明な値を補う方法や、非回答を補う重みの調整があります。それも仮定を置く推定です。補完した値、得られた値、欠けたままの値を区別し、どの対象を分母にして計算したかを見ます。

表示を丸めると、合計が合わないことがある

「日本の統計2026」は原則として単位未満を四捨五入するため、表示した内訳を足した値と、表示合計が一致しない場合があると説明しています。元の細かい値を足してから丸める計算と、各値を丸めてから足す計算は、同じ結果とは限りません。

不一致があるから直ちに誤りとも、どんな不一致も丸めのせいとも決めません。単位、合計がどの対象を含むか、内訳の一部が内数として示されていないか、脚注を確認します。表示された桁だけで、元の細かな値を復元できるとは限りません。

計算の答えと、分かる範囲を分ける

値の欠けた表から、必ず一つの答えを出す必要はありません。既知の値で何が計算できるか、不明な値がどの範囲なら答えがどう変わるかを分けます。秘匿された内訳を0として差し引けば、元の統計が伝えていない値を作ることになります。

下の40~60%は、二つの不明な状態について考えた論理的な可能範囲です。抽出のばらつきから作った信頼区間でも、どちらの値が起こりやすいかを示す確率でもありません。幅の出し方が違えば、その幅が答える問いも違います。

不明な二世帯を含む割合

架空の例

10世帯の状態を調べ、答えた8世帯のうち4世帯が該当、4世帯が非該当、残る2世帯は不明とします。回答者の割合は4÷8=50%です。対象10世帯全体の割合は、2世帯がどちらに該当するか分からないので、一つに決まりません。

不明な2世帯がどちらも非該当なら4÷10=40%、どちらも該当なら6÷10=60%です。二択の状態という設定では、全体の割合は40~60%を取り得ます。欠けた2世帯をゼロ扱いすると、根拠なく40%と決めたことになります。

持ち帰る見方

  • 記号の意味は、その表の凡例と脚注で確かめます。
  • 欠測・秘匿・無該当・表示単位未満を、同じゼロにしません。
  • 回答者の割合、全体の割合、論理的な可能範囲を区別します。

次に広がる疑問

  • 回答しなかった人を補う重みは何を仮定する?
  • 速報や暫定の数字は、後でどう変わる?

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出典

  • 日本の統計2026 利用上の注意(総務省統計局)https://www.stat.go.jp/data/nihon/index2-1.html

    確認日:2026-10-04

  • Survey Methods and Practices(カナダ統計局(Statistics Canada))https://www150.statcan.gc.ca/n1/en/pub/12-587-x/12-587-x2003001-eng.pdf

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

記号は、その表の凡例で読む

「日本の統計2026」では、-は皆無又は定義上該当値なし、…は値が得られない、xは秘匿、0/0.0/0.00は表章単位未満を表す。記号の意味は使う表の凡例で確かめる。

対象
利用上の注意2.数値/統計表の記号
条件
日本の統計2026に限った凡例の具体例
例外・限界
他資料の空欄や同じ記号が同じ意味とは限らない
  • 日本の統計2026 利用上の注意(総務省統計局)https://www.stat.go.jp/data/nihon/index2-1.html

分からない値をゼロにしない

欠けた値をゼロとして合計や平均に入れると、「分からない」と「ない」を入れ替えてしまう。観測できた対象だけの割合は、欠けた対象を含む全体の割合と同じとは限らない。

対象
3.4.2.3頁32、7.1.3頁122~125
条件
項目非回答・全非回答、欠けた対象が回答対象と違う場合
例外・限界
適切な補完・重み補正の仮定がある場合と単純ゼロ代入を区別
  • Survey Methods and Practices(カナダ統計局(Statistics Canada))https://www150.statcan.gc.ca/n1/en/pub/12-587-x/12-587-x2003001-eng.pdf

表示を丸めると、合計が合わないことがある

同書は原則単位未満で四捨五入するため、表示された内訳の和が表示合計と一致しないことがある。表示0も真の値が厳密な0とは限らない。

対象
利用上の注意2.数値/記号
条件
本書の四捨五入と表章単位に限定
例外・限界
不一致を全て丸めのせいにせず、単位・内数・脚注も確認
  • 日本の統計2026 利用上の注意(総務省統計局)https://www.stat.go.jp/data/nihon/index2-1.html