数字と報道
小さな地域の統計が、なぜ一部伏せられるの?
人数の少ない区分や珍しい属性の組合せを公表すると、名前がなくても個人を推測し、秘密にすべき情報が分かるおそれがあります。統計は、役に立つ細かさと秘密保護を合わせて考えます。一つを伏せても合計から戻せる場合があるため、追加の区分を伏せることもあります。
基本の用語
統計表の秘匿記号は、値が0だったという意味ではありません。値を得られなかった場合と、得た値を公表しない場合を分けて読みます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 統計表の空欄や「―」は、ゼロという意味?個別表の凡例から欠測・秘匿・無該当・丸めを読み、計算できる範囲を判断する。
- 別々の統計をつなげれば、同じ人を正しく追える?結合率と正しい対応を分け、誤結合と見逃しを別々に評価する。
細かい表でも人が見える
小さな地域と細かな属性を組み合わせると、そこに該当する人がごく少ない場合があります。知人が地域や職業などを知っていれば、名前を載せていない表からも誰の情報かを推測しうるため、集計した後にも秘密保護が必要です。
カナダ統計局の方法書は、小人数のセル、全員が一つの区分に入るセルなどを、公表時に点検する対象として説明しています。少ない人数の値が常に識別に至るわけではありませんが、人数だけでなく何が分かる表なのかを考えます。
例えばある区分の全員が一つの属性を持つと分かれば、個々の値を載せなくても、その区分に属する人の属性が分かる場合があります。統計の正確さとは別に、細かい情報を組み合わせて何が分かるかという問題です。
合計から戻せるかを点検する
一つの内訳だけを伏せても、合計からほかの内訳を引けば値が戻る場合があります。秘匿記号を付ける場所を一つに決めれば必ず保護できる、というわけではありません。
そこで、機密性のあるセルに加え、逆算を防ぐためにほかのセルも伏せる補完的な秘匿があります。追加で伏せた区分自身が少人数だったとは限りません。表の秘匿箇所を見て、全てが同じ理由で伏せられていると決めないことが大切です。
逆算は、重複なくそろった内訳とその合計がある場合に可能になります。読む側も、表示された内訳だけで元の全値を復元できるとは考えず、その表の公表方法と凡例を確認します。
公表の細かさと情報量を比べる
公表する区分をまとめて細かさを減らす、値を伏せる、丸めるなど、秘密保護には複数の方法があります。どれを採用したかは、その統計の説明で確かめます。値の表示だけから処理を推測しません。
細かさを減らせば、その細かな問いへ答えられる情報も減ります。統計を役立てる目的と、対象の秘密を守る必要を合わせて、公表の単位や処理を考えます。どんなに細かい表も無制限に必要だという前提では読めません。
別の表も合わせて確認する
一つの表だけでなく、別の区分の表や知られている情報を組み合わせると、分かる範囲が広がる場合があります。だから秘密保護の点検は、公表する情報の組合せにも関わります。
利用する側は、秘匿を0へ置き換えて足したり、調査漏れと決めたりしません。必要な細区分が公表されていないなら、使える広い区分でどこまで問いに答えられるかを考えます。秘密保護のための処理と、値の不存在を区別する見方を持ち帰ります。
架空の例:一つを伏せても戻る値
全体が10人、内訳Aが7人、残るBだけが秘匿と表示されたとします。AとBが重複なく全体を構成するなら、Bは10−7=3人と計算でき、Bだけを伏せても値は保護されません。
Aも伏せる、区分をまとめるなど、公表方法の見直しが必要になる例です。実際の表の秘匿基準は統計ごとに異なるため、3人を全統計共通の秘匿基準として使いません。
持ち帰る見方
- 集計表でも、細区分の組合せで秘密が分かりうる。
- 追加の秘匿は、合計からの逆算を防ぐ場合がある。
- 秘匿、欠測、0を読み分け、公表方法を確認する。
次に広がる疑問
- 伏せた内訳が合計や別の表から分からない設計か。
- 使いたい問いを、公表された広い区分で補えるか。
順番に読んでいる方へ
出典
Survey Methods and Practices(Statistics Canada)https://www150.statcan.gc.ca/n1/pub/12-587-x/12-587-x2003001-eng.pdf
確認日:2026-10-05
本文の出典・補足
細かい表でも人が見える
小人数の区分や特異な属性の組合せを公表すると、個人を推測し属性が分かる危険が生じうる。名前のない集計表にも秘密保護が必要になる。
- 対象
- 2003年原方法書。統計の公表方法を扱い、現在の個別利用手続は扱わない。
- 条件
- ほかの情報と照合できるかを考える。
- 例外・限界
- 小人数の値が常に識別に至るとは限らない。
Survey Methods and Practices(Statistics Canada)https://www150.statcan.gc.ca/n1/pub/12-587-x/12-587-x2003001-eng.pdf
合計から戻せるかを点検する
一つのセルだけを伏せても、行や列の合計と残る内訳から値が導ける場合がある。その逆算を防ぐため、ほかのセルも補完的に秘匿する方法がある。
- 対象
- 2003年原方法書。統計の公表方法を扱い、現在の個別利用手続は扱わない。
- 条件
- 内訳が重複なく同じ合計を構成している場合。
- 例外・限界
- 追加で伏せたセル自身が小人数とは限らない。
Survey Methods and Practices(Statistics Canada)https://www150.statcan.gc.ca/n1/pub/12-587-x/12-587-x2003001-eng.pdf
公表の細かさと情報量を比べる
秘密保護には区分をまとめる、セルを秘匿する、丸めるなどの方法があり、公表の細かさや数値の情報量に関わる。
- 対象
- 2003年原方法書。統計の公表方法を扱い、現在の個別利用手続は扱わない。
- 条件
- 統計に採用された処理と凡例を読む。
- 例外・限界
- 丸めた表示が原値と厳密に同じではない。
Survey Methods and Practices(Statistics Canada)https://www150.statcan.gc.ca/n1/pub/12-587-x/12-587-x2003001-eng.pdf
別の表も合わせて確認する
秘密保護を読むには、一つの表のセルだけでなく、集計の組合せや識別しうる情報も考える必要がある。秘匿を0や調査漏れへ読み替えない。
- 対象
- 2003年原方法書。統計の公表方法を扱い、現在の個別利用手続は扱わない。
- 条件
- 公表方法とデータ利用の範囲を確認する。
- 例外・限界
- 秘匿値を再構成してよいという勧めではない。
Survey Methods and Practices(Statistics Canada)https://www150.statcan.gc.ca/n1/pub/12-587-x/12-587-x2003001-eng.pdf