経済の基礎
貯蓄や借入は、今日と将来の買い物をどうつなぐ?
借入は、将来の返済と引き換えに今日使える額を増やします。貯蓄は、今日使う額を減らして将来へ移します。どちらも所得の時期を調整する方法で、今日の消費だけを増やせば、将来も同じだけ使えるという仕組みではありません。
基本の用語
ここでは現在と将来の二期間を比べ、所得と利率が分かり、物価・税・手数料が変わらない模型を使います。将来の借入返済と貯蓄の受取りを一緒に数えます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 金利は、何の値段?借入期間・リスクと名目実質
借りると、将来の消費を今日へ移す
将来受け取る所得の一部を返済へ充てる約束ができれば、現在の所得が少なくても借入で今の消費を増やせます。ただし、現在受け取る借入金と、将来返す元本・利子は対になっています。入金だけを見て、純粋な財産が借入額の分増えたとは考えません。
例えば一期間の利率が10%なら、500円を今借りて、次の期に550円を返す条件を置けます。今日500円分を余分に使う選択のために、将来使える額を550円分諦めます。「今と将来のどちらにお金があるか」を変えるとき、利子が交換の比率になります。
返済期の所得が決まっていても、全額を今使えるわけではありません。将来の消費も確保したいなら、返済後にいくら残るかが必要です。今月の入金と支出だけでは、借入を含む二期間の計画全体を確認できません。
貯蓄すると、今日の消費を将来へ移す
貯蓄の側は逆向きです。現在の所得の一部を使わず、利子を受け取る条件で将来へ移します。同じ10%の利率なら、今日400円を使わずに置くと、将来440円を受け取れるという模型です。今日諦める400円と、将来増える440円を比べます。
どの配分がよいかは、今と将来の所得に加え、本人がそれぞれの時期の消費をどう評価するかによります。現在所得が少なく将来が多い人と、現在所得が多い人では、借りる・貸す選択の意味が違います。時間を通じた予算の範囲をそろえると、どの組合せが可能かを確かめられます。
利率が変わると、交換できる消費の比率も変わりますが、本人が選ぶ消費量まで一つに決まるわけではありません。貸し手の利子収入と、借り手の返済負担は向きが違います。全ての家計が同じ所得の時期や同じ資産を持つと仮定して、支出の反応を一括りにしないようにします。
収入の予想だけで、借りられるとは限らない
この模型の可能な配分は、実際に借入が認められることが前提です。将来多く稼げそうでも、貸し手が返済を確かめられない場合や、必要な担保等を用意できない場合は、借りられないことがあります。将来の所得の予想と、今使える信用の上限は同じではありません。
また、借りる利率と貸す利率が同じでない、手数料がある、所得や物価が変わるといった条件では、今日と将来の消費可能額を計算し直します。返済を約束どおり行える確実な二期間の模型を、そのまま将来の不確実な支出計画へ当てはめることはできません。
家計の話と、国全体の貯蓄・投資の統計も区別します。このページは、一人が消費をどの時期へ動かすかの説明です。「借りて使う人が増えた」という情報だけで、国全体の貯蓄や設備投資がどうなるかまで決まったとはしません。比較する家計の所得、期間、利率、借入可能額を示すことが出発点です。
- 今日の借入
所得1,000円に借入500円を加え、1,500円使う
- 将来の返済
次の所得1,000円から元本500円・利子50円を返す
- 将来の消費
返済後の450円を使える
一期間の利率10%、税・手数料なし、所得と返済が確実な条件です。
今日と将来、それぞれ1,000円の所得がある場合
架空の二期間で、所得は今日も将来も1,000円、貸借の利率は一期間10%とします。500円借りて今日1,500円使えば、将来は550円返すため、使える額は450円です。
逆に今日400円貯蓄して600円使うなら、将来は所得1,000円と貯蓄の受取り440円を合わせ、1,440円使えます。借りず貯蓄もしなければ各期1,000円です。この三案のうち、本人がどれを好むかは計算だけでは決まりません。
持ち帰る見方
- 借入と貯蓄は、消費を時期の間で移す。
- 利子を含め、両期間の予算を比べる。
- 所得の予想と、借入が認められる範囲は別。
次に広がる疑問
- 元本と利子を分けた返済計算へ
- 国全体の貯蓄と投資を区別する
順番に読んでいる方へ
価格と選択を、モデルの条件から読む・10 / 15
出典
The Economy 1.0, Unit 10: Banks, money, and the credit market(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/10.html
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
借りると、将来の消費を今日へ移す
借入は現在使える額を増やす一方、元本と利子の将来返済によって将来使える額を減らす。
- 対象
- 現在と将来の二期間で、所与の所得と利率から消費可能額を比べる家計模型。
- 条件
- 現在・将来の二期間で、所与の所得を所与の利率で交換する模型。約束どおりの返済、物価不変、税・手数料の省略を置く。
- 例外・限界
- 借入が認められない、貸借利率が違う、所得・物価が変動する、手数料や上限がある場合は消費可能な範囲が変わる。
The Economy 1.0, Unit 10: Banks, money, and the credit market(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/10.html
貯蓄すると、今日の消費を将来へ移す
貯蓄・貸付は現在の消費を減らす代わりに、所与の利率で将来の消費可能額を増やす。家計は両期間の所得と消費を合わせて比較する。
- 対象
- 現在と将来の二期間で、所与の所得と利率から消費可能額を比べる家計模型。
- 条件
- 現在・将来の二期間で、所与の所得を所与の利率で交換する模型。約束どおりの返済、物価不変、税・手数料の省略を置く。
- 例外・限界
- 借入が認められない、貸借利率が違う、所得・物価が変動する、手数料や上限がある場合は消費可能な範囲が変わる。
The Economy 1.0, Unit 10: Banks, money, and the credit market(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/10.html
収入の予想だけで、借りられるとは限らない
所得時期を調整する借入による消費の平準化は、融資を受けられる範囲に制約される。情報差や担保等の条件により借入できない場合もある。
- 対象
- 現在と将来の二期間で、所与の所得と利率から消費可能額を比べる家計模型。
- 条件
- 現在・将来の二期間で、所与の所得を所与の利率で交換する模型。約束どおりの返済、物価不変、税・手数料の省略を置く。
- 例外・限界
- 借入が認められない、貸借利率が違う、所得・物価が変動する、手数料や上限がある場合は消費可能な範囲が変わる。
The Economy 1.0, Unit 10: Banks, money, and the credit market(CORE Econ)https://books.core-econ.org/the-economy-v1/book/text/10.html