経済の基礎

平均の収入が同じでも、先行きが不安だと貯蓄は増える?

平均収入が同じでも、将来の低い消費を避けるために貯蓄を増やしたくなる条件があります。これが予備的貯蓄です。将来の一円が特に役立つ場合を重く見る仕組みで、リスクを嫌うという性質だけでは結論は決まりません。

基本の用語

限界効用は、消費を少し増やしたときの満足の増分です。平均の所得を見るだけでなく、不確実な将来に、その増分がどう変わるかを考えます。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

同じ平均でも、低い収入の時が気になる

将来の消費が不確実な模型では、今日の限界効用と、利子と割引を考慮した将来の限界効用の期待値を比較して貯蓄を選ぶ。

今日一円を使うと今の満足が増え、貯めると将来のどこかの状態で使えます。貯蓄の判断は、その二つの増分の比較です。将来の収入が低い時に追加の一円が強く役立つなら、その状態へ備える価値が大きくなります。

ただし「将来の平均が100だから100を確実に受け取るのと同じ」と置くと、悪い場合とよい場合の違いが消えます。不確実性を含む模型では、それぞれの状態の限界効用を、その起きる確率で重み付けします。

平均の消費と、平均の限界効用は違う

限界効用が厳密に凸で将来消費がばらつく場合、将来消費の限界効用の期待値は、平均消費に対応する限界効用より大きくなる。不確実性を平均の数字に置き換えるだけでは貯蓄の判断を再現できない。

凸な限界効用では、平均を先に取る場合より、各場合の限界効用を求めてから平均する方が、同じか高くなります。さらに厳密に凸で将来消費にばらつきがあれば、厳密に高くなります。消費が少ない側での増加が、高い側での低下と単純に相殺されない形です。

例えば限界効用を消費の逆数とします。将来消費60と140が半々なら平均消費は100ですが、限界効用の平均は(1/60+1/140)÷2=1/84です。確実に100なら1/100で、同じ平均でも追加消費の評価は異なります。

将来の悪い場合に備える貯蓄が生まれる

完全には保険できない個別所得のリスクがあり、限界効用が厳密に凸で将来消費がばらつく条件では、将来の低い消費に備えて資産を蓄える予備的貯蓄の動機が生じる。

この差は、今日の消費を少し減らして将来へ回す理由になります。将来所得の保険が完全なら、その個別の悪い場合を別の方法でならせるかもしれません。完全には保険できないことが、ここで貯蓄を使う重要な条件です。

リスク回避は満足そのものの曲がり方、ここでの正の予備的貯蓄の動機は限界効用の厳密な凸性と将来消費のばらつきに関わります。リスク回避だけを同じ条件として扱うと説明を広げ過ぎます。不安が強まったという言葉だけから、貯蓄の方向を必ず断定することはできません。

不安なら必ず貯蓄できるわけではない

予備的貯蓄の模型上の動機があることと、資金を実際に積み増せることは別であり、既存資産、所得、借入・保険の可能性も確認が必要である。

将来に備えたい人でも、今日の生活に必要な支出で収入を使い切っていれば、望むだけ資産を増やせません。貯蓄の動機を説明する式と、家計の資金制約を合わせて見ます。既に持つ資産によっても実行できる調整は違います。

また、平均所得自体が下がった場合には、同じ平均のままリスクが増した比較と分ける必要があります。総額が減る効果とばらつきの効果を一緒にした観測から、この模型の予備的な動機だけを取り出したとはいえません。

比較の順序は、各状態で限界効用を計算し、その後に確率で平均することです。先に所得の平均だけを作る計算と順序が違う点が、この予備的な動機を見つける鍵になります。

条件を置いた具体例

架空の例

将来消費が確実に100の場合と、60か140になる確率がそれぞれ半分の場合を比べます。限界効用を1/消費とし、利子と割引の条件は両方で同じとします。

平均消費は同じ100でも、限界効用は1/100と1/84で異なります。これは貯蓄を選ぶ際の将来の増分の比較で、最適貯蓄額や、全員が実際に増やせる金額を計算した例ではありません。

持ち帰る見方

  • 平均収入が同じでも、将来の低い消費を避けるために貯蓄を増やしたくなる条件があります。
  • 予備的貯蓄の模型上の動機があることと、資金を実際に積み増せることは別であり、既存資産、所得、借入・保険の可能性も確認が必要である。

次に広がる疑問

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出典

  • Chapter4: Consumption and Saving, MIT14.451 (2007)(MIT OpenCourseWare / George-Marios Angeletos)https://ocw.mit.edu/courses/14-451-macroeconomic-theory-i-spring-2007/a6d8ac78c43c4e5e0d70b91ff959bc44_notes_ch_4.pdf

    確認日:2026-10-05

本文の出典・補足

同じ平均でも、低い収入の時が気になる

将来の消費が不確実な模型では、今日の限界効用と、利子と割引を考慮した将来の限界効用の期待値を比較して貯蓄を選ぶ。

対象
所得の個別不確実性と不完備市場での貯蓄模型。
条件
将来所得のリスクを完全には保険できず、限界効用が厳密に凸で将来消費にばらつきがあり、借入・貯蓄により時期間の配分を選ぶ。
例外・限界
リスクを嫌うことだけでは予備的貯蓄の方向は定まらない。平均を同じに保ったばらつき増加を考え、全員の実貯蓄増を断定しない。
  • Chapter4: Consumption and Saving, MIT14.451 (2007)(MIT OpenCourseWare / George-Marios Angeletos)https://ocw.mit.edu/courses/14-451-macroeconomic-theory-i-spring-2007/a6d8ac78c43c4e5e0d70b91ff959bc44_notes_ch_4.pdf

平均の消費と、平均の限界効用は違う

限界効用が厳密に凸で将来消費がばらつく場合、将来消費の限界効用の期待値は、平均消費に対応する限界効用より大きくなる。不確実性を平均の数字に置き換えるだけでは貯蓄の判断を再現できない。

対象
所得の個別不確実性と不完備市場での貯蓄模型。
条件
将来所得のリスクを完全には保険できず、限界効用が厳密に凸で将来消費にばらつきがあり、借入・貯蓄により時期間の配分を選ぶ。
例外・限界
リスクを嫌うことだけでは予備的貯蓄の方向は定まらない。平均を同じに保ったばらつき増加を考え、全員の実貯蓄増を断定しない。
  • Chapter4: Consumption and Saving, MIT14.451 (2007)(MIT OpenCourseWare / George-Marios Angeletos)https://ocw.mit.edu/courses/14-451-macroeconomic-theory-i-spring-2007/a6d8ac78c43c4e5e0d70b91ff959bc44_notes_ch_4.pdf

将来の悪い場合に備える貯蓄が生まれる

完全には保険できない個別所得のリスクがあり、限界効用が厳密に凸で将来消費がばらつく条件では、将来の低い消費に備えて資産を蓄える予備的貯蓄の動機が生じる。

対象
所得の個別不確実性と不完備市場での貯蓄模型。
条件
将来所得のリスクを完全には保険できず、限界効用が厳密に凸で将来消費にばらつきがあり、借入・貯蓄により時期間の配分を選ぶ。
例外・限界
リスクを嫌うことだけでは予備的貯蓄の方向は定まらない。平均を同じに保ったばらつき増加を考え、全員の実貯蓄増を断定しない。
  • Chapter4: Consumption and Saving, MIT14.451 (2007)(MIT OpenCourseWare / George-Marios Angeletos)https://ocw.mit.edu/courses/14-451-macroeconomic-theory-i-spring-2007/a6d8ac78c43c4e5e0d70b91ff959bc44_notes_ch_4.pdf

不安なら必ず貯蓄できるわけではない

予備的貯蓄の模型上の動機があることと、資金を実際に積み増せることは別であり、既存資産、所得、借入・保険の可能性も確認が必要である。

対象
所得の個別不確実性と不完備市場での貯蓄模型。
条件
将来所得のリスクを完全には保険できず、限界効用が厳密に凸で将来消費にばらつきがあり、借入・貯蓄により時期間の配分を選ぶ。
例外・限界
リスクを嫌うことだけでは予備的貯蓄の方向は定まらない。平均を同じに保ったばらつき増加を考え、全員の実貯蓄増を断定しない。
  • Chapter4: Consumption and Saving, MIT14.451 (2007)(MIT OpenCourseWare / George-Marios Angeletos)https://ocw.mit.edu/courses/14-451-macroeconomic-theory-i-spring-2007/a6d8ac78c43c4e5e0d70b91ff959bc44_notes_ch_4.pdf