お金と金融
機械を買った代金は、その年の費用になる?
長く使う機械は、取得代金を使う期間へ配分して費用にする考え方があります。これが減価償却です。機械代を払う日と、各期へ償却費を記録する日は同じとは限りません。償却後に帳簿へ残る額も、機械をその額で売れるという保証ではありません。
基本の用語
ここでは複数の期間使う有形設備を考えます。毎年の費用配分を財務会計の仕組みとして読み、税法の耐用年数や少額資産の特例とは分けます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 売上が増えれば、会社はもうかる?売上・費用・利益と現金の違い
取得時の支払と、使う期間の費用を分ける
機械を買った日に代金を払っても、その機械で何年も商品を作ることがあります。取得費用を初めの期間だけへまとめる代わりに、使う期間へ配分すると、各期に設備を使って得た収益と、そのための費用を対応させて考えられます。この費用配分が減価償却です。
IFRSのIAS16は、複数期間使う有形設備を対象とし、将来の経済的利益が入る可能性と、原価を信頼性をもって測れることなどを資産認識の条件にしています。単に物を買えば、その全額が必ず何年でも資産に残るというルールではありません。
取得原価、使用期間、期間ごとの配分方法を分けて確認します。土地を含めあらゆる資産を一律に同じ年数で償却するわけではありません。また、財務会計と税務の計算は対象や規則が違うため、税の計算に出た年数だけで決算の費用配分を説明しきらないようにします。
償却費を計上しても、その日に払うとは限らない
先に機械代を一括で払うなら、取得したときに現金が出ます。その後、使う期間へ毎年償却費を記録しても、その記録のたびに同額を機械の売り手へ払うわけではありません。代金の支払と、取得費用の配分を一つの出来事にしないことが要点です。
償却費は各期の利益の計算で費用に含まれます。一方、現金の流れの間接法では、利益を現金へ調整する際に償却費を加算します。利益では差し引いたけれど、その期には現金が出ていない部分を戻すためです。二つの表で扱いが違っても、同じ機械に二重に支払っているわけではありません。
「減価償却で現金が増える」という説明にも注意が必要です。加算は表の計算であって、新しい売上や銀行からの入金ではありません。会社が使える現金を確かめるなら、実際の受取と支払を追います。利益の数字だけから、設備購入のための現金が十分に残ったとは決められません。
帳簿に残る額と、売れる値段は違う
取得原価から費用配分などを反映した帳簿価額と、現在売れる価格は別です。償却が進んだ機械がまだ使えることも、帳簿に額が残った機械を思った価格で売れないことも考えられます。会計上いくら残っているかと、売買の相手がいくら払うかを分けます。
IAS16は償却だけでなく、帳簿価額や減損損失も扱います。ここで示す均等な配分は、仕組みを見るために使用期間と残存価値を固定した例です。現実の資産の価値や使用の見通しが変われば、その会社の基準や説明を確かめる必要があります。
設備投資のニュースでは、購入代金、現金の支払時期、年間の償却費、帳簿に残る額を区別します。「大型投資をした」と「同額の年間費用が増えた」は同じ説明ではありません。既に払った取得代金と、今後その機械を使い続ける判断も、別の問いとして考えられます。
100万円の機械を5年間使う
架空の例
100万円の機械を最初に現金で買い、5年間使い、使い終わったときの価値をゼロと仮定します。取得費用を均等に配分すれば、各年の償却費は100万円÷5年=20万円です。これは実際の税法上の耐用年数ではありません。
他の測定変化を省くと、2年分の償却後に帳簿へ残る額は60万円です。最初の支払は100万円で、後の各年に20万円ずつ再度支払う例ではありません。また、その機械を2年後に60万円で売れると約束した計算でもありません。
持ち帰る見方
- 取得時の現金支払と、使用期間への費用配分を分ける。
- 償却費を戻す計算は新しい入金ではない。
- 残る帳簿価額を売却価格と同じにしない。
次に広がる疑問
- 償却費を調整する表を読む
- 会計利益から課税所得への調整を読む
順番に読んでいる方へ
決算の全体と、一株の数字を読む・5 / 15
出典
IAS 16 Property, Plant and Equipment(IFRS財団/国際会計基準審議会)https://www.ifrs.org/issued-standards/list-of-standards/ias-16-property-plant-and-equipment/
確認日:2026-10-04
Beginners’ Guide to Financial Statement(米国証券取引委員会(SEC))https://www.sec.gov/about/reports-publications/investorpubsbegfinstmtguide
確認日:2026-10-04
IAS 7 Statement of Cash Flows — About(IFRS Foundation / IASB)https://www.ifrs.org/issued-standards/list-of-standards/ias-7-statement-of-cash-flows/
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
取得時の支払と、使う期間の費用を分ける
複数期間使う設備は条件を満たして資産として認識し、その取得費用を使用期間へ配分する減価償却を行う。
- 対象
- 有形設備の会計概念
- 条件
- 将来利益の蓋然性・信頼性ある原価測定
- 例外・限界
- 全資産の一律償却や日本税務上の即時償却ルールを説明しない
IAS 16 Property, Plant and Equipment(IFRS財団/国際会計基準審議会)https://www.ifrs.org/issued-standards/list-of-standards/ias-16-property-plant-and-equipment/
Beginners’ Guide to Financial Statement(米国証券取引委員会(SEC))https://www.sec.gov/about/reports-publications/investorpubsbegfinstmtguide
償却費を計上しても、その日に払うとは限らない
取得時に払った代金と後の期に記録する償却費は異なり、間接法CFでは非資金の償却費を利益へ加算調整する。
- 対象
- 費用と現金時期
- 条件
- 先に一括払いする単純例
- 例外・限界
- 加算調整を現金新規入金としない
IAS 7 Statement of Cash Flows — About(IFRS Foundation / IASB)https://www.ifrs.org/issued-standards/list-of-standards/ias-7-statement-of-cash-flows/
Beginners’ Guide to Financial Statement(米国証券取引委員会(SEC))https://www.sec.gov/about/reports-publications/investorpubsbegfinstmtguide
帳簿に残る額と、売れる値段は違う
償却と減損等を扱う帳簿価額は、市場での売却代金を保証しない。一定額で配分する例は実税率・耐用年数ではない。
- 対象
- 簿価・取得原価の区別
- 条件
- 残存ゼロ/5年均等/他変化なしの架空例
- 例外・限界
- 実際の測定・償却法は基準と資産条件による
IAS 16 Property, Plant and Equipment(IFRS財団/国際会計基準審議会)https://www.ifrs.org/issued-standards/list-of-standards/ias-16-property-plant-and-equipment/
Beginners’ Guide to Financial Statement(米国証券取引委員会(SEC))https://www.sec.gov/about/reports-publications/investorpubsbegfinstmtguide