税と財政

安い事業用設備なら、買った年に全部を経費にできる?

金額だけで決められません。個人事業では原則、設備の代金を減価償却で各年へ配分します。10万円未満の扱い、20万円未満の一括償却、青色申告者の少額特例にはそれぞれ条件があり、取得日や使い始めた年、経理方式も確認します。

基本の用語

買った代金を支払うことと、その年の所得計算で必要経費に入れることは別です。本記事は個人の所得税の少額設備を扱い、会社の会計上の減価償却と同じ条件だとは置きません。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

原則の配分と、少額の扱いを分ける

業務用の建物、機械、器具備品などは、一般に減価償却資産に当たります。原則として、取得費を一定の方法で使用期間に配分し、各年の必要経費にします。土地など時間の経過によって価値が減少しない資産は、同じ減価償却の対象ではありません。安いかという問いの前に、資産の種類を分けます。

使用可能期間が一年未満、または取得価額が10万円未満のものは、その全額を業務の用に供した年分の経費にする扱いです。買った年と使い始めた年が同じとは限らないため、請求書の日付だけでは年分が決まりません。また10万円未満と10万円以下は違い、ちょうど10万円ならこの金額条件では対象になりません。

20万円未満でも、方法は一つではない

取得価額が10万円以上20万円未満の資産は、一定の条件で一括償却資産としてまとめ、合計額の3分の1ずつを、業務に使った年以後の三年間に経費へ算入できます。この場合は20万円未満だから買った年に全額という扱いではありません。少額の範囲にも異なる方式があります。

2022年4月1日以降に取得した資産で、主要な業務として行う貸付け以外の貸付資産には、掲載本文の少額扱い等の適用除外があります。取得価額の数字が範囲内であっても、何に使う資産かという条件が残ります。家事との共用部分の区分も別の問いなので、少額資産の制度だけで私用分まで経費に変わると考えないようにします。

青色の特例は、取得日と合計額も見る

一定の青色申告者には、所定期間内に取得した少額資産の合計額のうち、年300万円に達するまでの額を供用年の経費にできる特例があります。掲載本文では、2026年3月31日までに取得した場合は10万円以上30万円未満、同年4月1日以後の取得分は10万円以上40万円未満と区別しています。対象期間は2029年3月31日までと説明されています。

青色申告者だからすべての40万円未満を無条件に全額算入できるわけではありません。個々の対象要件、年の合計額、他の方式との関係を確認します。税込経理なら消費税を含み、税抜経理なら含まない金額で取得価額を判定し、免税事業者は税込です。境目の金額を比べる際は、経理方式と取得日をそろえる必要があります。

設備の一覧には、品目、取得価額、取得日、業務へ使い始めた日、用途、選ぶ方式を別の列にします。請求書の金額をコピーするだけでは、税込・税抜の判定や供用年の条件を確認したことにはなりません。同じ35万円の設備でも、取得日の境界をまたげば特例の金額条件が変わります。自分の年合計へ入れる前に各資産の対象要件を確認し、方式ごとに配分する年と額を分ければ、すべてを購入年の経費へ集める誤読を防げます。

少額設備の原則・一括償却・青色特例
  • 原則・少額

    償却で配分。10万円未満等は供用年経費

  • 一括償却

    10万円以上20万円未満等、三年へ配分

  • 青色少額特例

    取得日・青色等の要件・年合計を確認

個人所得税の方式を比較します。税込・税抜判定や用途の除外等を省いて金額だけで適用を決めません。

2026年3月と4月に取得した35万円の設備(架空の例)

同じ35万円の業務用設備を、2026年3月20日に取得した人と、4月10日に取得した人を比べます。前者は30万円未満という旧境界を超え、後者は40万円未満という新境界の範囲内です。

後者も青色の少額特例の全条件を満たしたと、金額だけで決めることはできません。例は取得日の境界を読むもので、貸付用途や年合計などを省いて申告方法を選ぶものではありません。

持ち帰る見方

  • 設備の金額、取得日、供用年を分ける。
  • 少額にも複数方式があり、青色・用途・合計額等の条件がある。

次に広がる疑問

  • 仕事と私生活に共用する費用は、どう区分する?
  • 代金の支出と減価償却費は、なぜ別の年になる?

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出典

  • No.2100 減価償却のあらまし|国税庁(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm

    確認日:2026-10-07

本文の出典・補足

原則の配分と、少額の扱いを分ける

個人事業の減価償却資産取得費は原則使用期間へ配分するが、使用可能1年未満又は10万円未満は供用年に全額経費とする。

対象
日本の個人事業の所得税。減価償却資産と、供用年に経費算入できる少額資産。
条件
2026-04-01現在法令等、個人所得税。
例外・限界
土地等の非償却資産は対象外。取得年と供用年を混同しない。
  • No.2100 減価償却のあらまし|国税庁(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm

20万円未満でも、方法は一つではない

10万円以上20万円未満は一定条件で一括資産として3年間に各3分の1を経費算入することができる。

対象
日本の個人事業の一括償却資産。2022年4月1日以後取得分には貸付用途の除外条件がある。
条件
掲載する一括償却資産方式。
例外・限界
主要業務以外への貸付資産等に適用除外がある。
  • No.2100 減価償却のあらまし|国税庁(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm

青色の特例は、取得日と合計額も見る

一定の青色申告者の少額特例は2026-04-01以後取得分で40万円未満、同年3月31日まで取得分は30万円未満、年合計300万円等の条件がある。

対象
一定の青色申告者の少額資産特例。2026年4月1日前後の取得価額基準と、2029年3月31日までの取得期間。
条件
掲載注3の期間は2029-03-31まで。
例外・限界
税込・税抜経理により取得価額判定が異なり、免税事業者は税込。条件未確認なら40万円だけで判定しない。
  • No.2100 減価償却のあらまし|国税庁(国税庁)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm