お金と金融

親会社と子会社の売上を足せば、グループの売上になる?

親会社と子会社を一つの企業集団として見る連結決算では、グループ内の売買をそのまま外部からの売上に足しません。内部取引を消す調整が必要です。また、子会社をまとめることと、その全額が親会社の株主だけに属することは違い、他の株主の持分も分けます。

基本の用語

単体決算は一社を対象にし、連結決算は支配する親子会社などを集団として報告します。まず、数字が単体か連結かと、対象にする会社の範囲を確かめます。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

一社ずつの決算と、集団の決算を分ける

親会社の工場、子会社の販売網、別の子会社の物流を通じて、一つの商品が外の客へ届くことがあります。一社の決算だけではその事業全体を見通しにくいため、連結では親会社と子会社を一つの経済主体として、資産・負債・売上・費用などを報告します。

IFRS10は、他の会社を支配しているかを連結の基礎にします。株を少し保有する会社をすべて同じ方法で足すわけではありません。ここではIFRS10の一般原則を説明し、投資企業の特定子会社などの例外があります。日本の全企業が同じ会計基準で連結するという意味ではありません。

単体と連結では報告する範囲が違うため、親会社単体の売上の増加率と、グループ連結の利益の増加率をそのまま比べると理由が混ざります。比較する期間に加え、対象範囲が同じかを見ます。新しく子会社となった会社があるなら、その範囲変更も確認する対象です。

グループ内の売買を、外からの売上に数えない

親会社が子会社へ商品を売り、子会社が外部へ売ると、単体の表には二つの売上が記録されます。しかし集団を一つと見れば、最初の売買はグループ内で商品が移動しただけです。内部売上をそのまま残すと、外の買い手が払った額以上の売上を数えてしまいます。

IFRS10を取り込んだオーストラリアAASB10のB86は、内部取引に関する収益・費用だけでなく、資産・負債・現金の流れなども消去すると定めています。親会社が子会社へ貸した残高も、グループ全体が外部へ貸した額とは分けます。単純な合計に調整が要る理由は同じです。

内部の売上だけを消せば、あらゆる連結計算が完成するわけではありません。内部取引で在庫などへ含まれた利益も調整の対象です。以下の例では商品が全て外へ売れた場合の売上だけを追います。実際の連結決算を再現する計算ではなく、二重計上を見つけるための比較です。

グループ全体と、親会社株主の持分を分ける

親会社が子会社を支配していても、その子会社に他の株主がいる場合があります。子会社全体を連結することと、他の株主の権利を親会社へ取り込むことは違います。連結の対象となる事業全体と、その成果や持分が誰へ属するかを分けて読みます。

AASB10のIFRS10対応部分は、非支配持分を連結の資本の中で、親会社の所有者の持分と分けて表示します。非支配持分は、子会社の持分のうち親会社の側に属さない部分です。連結の純資産総額を、そのまま親会社株主だけの持分にしてはいけません。

ここで参照するAASB10は2025年中に開始する報告期間向け版にある一般的な連結原理です。豪州固有の法的適用範囲を日本へ移しません。会社の発表を読む際は、使う基準と連結範囲、内部調整、親会社側へ帰属する数字を確かめると、集団全体と自分が見る会社の関係が分かります。

グループ内で60万円、外へ100万円売る

架空の例

親会社が商品を子会社へ60万円で売り、その子会社が同じ商品を外部の客へ100万円で全て売ったとします。単体の売上を足すと160万円ですが、グループ内部の60万円を消すと、連結で外部へ売った額は100万円です。

外の買い手が払ったのは100万円です。この例では売上だけを扱い、期末在庫や税などの調整を省きます。商品の利益、親会社株主へ帰属する利益、グループの現金残高を、この売上100万円だけから決めることはできません。

持ち帰る見方

  • 単体と連結では報告対象が違う。
  • 内部取引を消し、外部との取引を読む。
  • グループの全持分と親会社株主の持分を分ける。

次に広がる疑問

  • 資産・負債・純資産の関係を見る
  • 親会社株主に帰属する一株の利益を読む

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出典

  • IFRS 10 Consolidated Financial Statements(IFRS財団/国際会計基準審議会)https://www.ifrs.org/issued-standards/list-of-standards/ifrs-10-consolidated-financial-statements/

    確認日:2026-10-04

  • AASB 10 Consolidated Financial Statements(IFRS 10対応部分)(オーストラリア会計基準審議会(AASB))https://standards.aasb.gov.au/aasb-10-nov-2024

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

一社ずつの決算と、集団の決算を分ける

連結財務諸表は支配に基づき親会社と子会社を一つの経済主体として報告する。

対象
IFRS10一般原則
条件
支配と連結範囲を確認
例外・限界
投資企業に特定子会社の例外がある、保有全会社を単純連結としない
  • IFRS 10 Consolidated Financial Statements(IFRS財団/国際会計基準審議会)https://www.ifrs.org/issued-standards/list-of-standards/ifrs-10-consolidated-financial-statements/

グループ内の売買を、外からの売上に数えない

IFRS10対応のAASB10 B86は親子会社の内部取引に関する収益・費用・資産・負債・CF等を消去する。

対象
2025年中に開始する報告期間向け版のIFRS10対応連結手続・持分区分
条件
企業集団内部の取引と外部への取引を分ける
例外・限界
内部取引で資産へ含まれた利益等も消去対象、単純売上だけの例は全連結調整を再現しない
  • AASB 10 Consolidated Financial Statements(IFRS 10対応部分)(オーストラリア会計基準審議会(AASB))https://standards.aasb.gov.au/aasb-10-nov-2024

グループ全体と、親会社株主の持分を分ける

AASB10¶22は連結財政状態計算書の非支配持分を資本の中で親会社所有者の持分と分けて表示する。

対象
2025年中に開始する報告期間向け版のIFRS10対応連結手続・持分区分
条件
IFRS10対応の一般営利企業向け部分
例外・限界
親が支配しても他の株主の持分は全て親のものにはならない
  • AASB 10 Consolidated Financial Statements(IFRS 10対応部分)(オーストラリア会計基準審議会(AASB))https://standards.aasb.gov.au/aasb-10-nov-2024