経済の基礎
価格と所得による満足の変化から、買う量を逆算できる?
滑らかで一意の需要などの条件を置くと、価格上昇による最高効用の下がり方を、所得増加による上がり方で割り、購入量を戻せます。Roy恒等式という関係です。効用の点数の単位は、この比で打ち消されます。
基本の用語
間接効用は価格と所得から達成できる最高評価です。「微分」は、ごく小さい変更一単位あたりの変化の傾きを表します。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 満足度が10点から20点になったら、幸せは二倍?確実な選択の効用は、まず順位を表す。
- もう一つ増やすかどうかは、何を比べる?限界費用と限界便益は、量を変える前後の差。
一円の余力と一円の値上げを比べる
所得がわずかに増えたとき、最適な買い方を選び直して最高効用がどれだけ増えるかを考えます。その傾きが所得の限界効用です。一円の余力を、その人の効用尺度で評価した値と読めます。
予算制約を緩める限界価値も同じ値で表せます。ただし幸福の共通単位を測っているわけではありません。効用の点数を百倍にすれば、所得一円の効用変化も百倍になります。単独の微分値には尺度が残ります。
価格と所得を別々に少し動かし、それぞれの傾きを調べます。実際に所得を増やした観測がなくても、同じ選好を表す模型の二つの入力に対する比較として定義できます。
同じ効用単位を用いて、まず所得を一円だけ増やす方向の傾きを取ります。次に所得を据え置き商品単価だけを動かします。二つの傾きは入力を同時に動かした結果ではなく、別々の方向で測った変化です。
買っている量が、価格変化の重みになる
商品をx単位買っているなら、その単価が小さく上がることで、元の束を買う費用はおよそx倍だけ増えます。この局所的な予算圧迫が、最高効用の価格への下がり方へ現れます。
間接効用をv、所得をw、商品価格をpと書くと、価格への傾きv_pは−x×v_wです。値上げの不利益を、数量と所得の限界効用に分ける式です。ここでは購入量が正で、所得の限界効用が正の例を使います。
これは価格が一円上がった有限変化の効用差が常に同じ式になる、という主張ではありません。価格を大きく変える途中には購入量も変わり、所得の限界効用も変わることがあります。元の一点での傾きを扱っています。
元の束の費用増から購入量の重みを読み、所得の限界効用で評価へ換算します。商品価格の傾きに負号が付くのは、価格上昇がこの予算を緩めず、圧迫するためです。負の微分をそのまま負の需要数量にしません。
点数の単位を、比で打ち消す
式を購入量について解くとx=−v_p÷v_wです。分子は効用点数/価格、分母は効用点数/所得なので、同じ効用尺度が打ち消され、数量が残ります。効用の数値をそのまま数量として読む計算ではありません。
滑らかで厳密に増加する効用の付け直しをすれば、二つの微分には同じ倍率が掛かります。その比が変わらないため、同じ好みを別の点数で表しても、復元した買い物の量は同じです。
需要が近くで一意、効用が連続微分可能、価格と所得が正といった条件を確認します。折れ点や同率の最適案がある場合、あるいは分母がゼロなら、この割算をそのまま使えません。
効用の順番を保つ付け直しでも、微分を使うには付け直した関数が滑らかで、その点の倍率が正である必要があります。階段状に表示し直して傾きが消える場合まで、同じ微分の割算で処理できるわけではありません。
- 所得の傾き
一円の余力が増やす最高効用。
- 価格の傾き
購入量に比例して最高効用を下げる。
- 二つの比
効用尺度を打ち消して数量へ戻す。
滑らかさ・需要一意・正の所得微分を条件にする。
架空の例:効用の点数を変えても数量は同じ
効用ln(x)+ln(y)の二財模型で、価格p_x,p_yと所得wに対する間接効用はv=2ln(w)−ln(4p_xp_y)です。価格と数量は正とします。所得への傾きは2/w、x価格への傾きは−1/p_xになります。
w=20、p_x=2では、−(−1/2)÷(2/20)=5で、xの通常需要を戻せます。vを百倍した尺度でも50÷10=5です。y価格は固定し、有限の値上げ差ではなく、その価格での局所的な傾きを使っています。
持ち帰る見方
- 購入量は、価格と所得による最高効用の傾きの比で復元できる。
- 一意性・滑らかさ・分母の正値を確かめる。
次に広がる疑問
- 最低支出の傾きからも数量を戻せる?
順番に読んでいる方へ
出典
Consumer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/ea9f11b15ace05e7bfd31d58ae48beb9_MIT14_121F15_2S.pdf
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
一円の余力と一円の値上げを比べる
間接効用の所得微分は予算制約の乗数、すなわち所得の限界効用である。
- 対象
- 間接効用の価格微分と所得微分の比で通常需要を戻すRoy恒等式を単位とともに説明する。
- 条件
- 価格正・所得正・固定選好、近傍で需要一意、連続微分可能な効用、所得微分が正の内点例。
- 例外・限界
- 大きな価格変化を一回の微分へ代入しない。折れ点・複数最適解・所得微分ゼロでは同じ割算を使わない。
Consumer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/ea9f11b15ace05e7bfd31d58ae48beb9_MIT14_121F15_2S.pdf
買っている量が、価格変化の重みになる
間接効用の価格微分は、所得の限界効用に購入数量と負号を掛けた値である。
- 対象
- 間接効用の価格微分と所得微分の比で通常需要を戻すRoy恒等式を単位とともに説明する。
- 条件
- 価格正・所得正・固定選好、近傍で需要一意、連続微分可能な効用、所得微分が正の内点例。
- 例外・限界
- 大きな価格変化を一回の微分へ代入しない。折れ点・複数最適解・所得微分ゼロでは同じ割算を使わない。
Consumer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/ea9f11b15ace05e7bfd31d58ae48beb9_MIT14_121F15_2S.pdf
点数の単位を、比で打ち消す
Roy恒等式は価格微分の負値を所得微分で割って通常需要を得る。
- 対象
- 間接効用の価格微分と所得微分の比で通常需要を戻すRoy恒等式を単位とともに説明する。
- 条件
- 価格正・所得正・固定選好、近傍で需要一意、連続微分可能な効用、所得微分が正の内点例。
- 例外・限界
- 大きな価格変化を一回の微分へ代入しない。折れ点・複数最適解・所得微分ゼロでは同じ割算を使わない。
Consumer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/ea9f11b15ace05e7bfd31d58ae48beb9_MIT14_121F15_2S.pdf