数字と報道
初めて当たるまで、平均何回試すことになる?
独立に毎回同じ確率pで成功する模型なら、初めて成功する回を含めた試行数の平均は1/pです。成功確率20%なら平均5回ですが、5回までの成功が保証されるわけではありません。成功前の失敗回数だけを数えるなら、平均は一回分小さくなります。
基本の用語
ここでは試す回数を先に固定せず、初めて成功したところで終えます。二項分布の「決めた回数のうち何回成功するか」とは、数える量も停止条件も違います。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 賛成率が同じなら、100人中の賛成人数はいつも同じになる?二項模型の回数・独立性・確率一定を実例の調査条件へ照合できる。
- 検査が陽性でも、病気のある人の割合が違うのはなぜ?「病気なら陽性」と「陽性なら病気」は分母が違う。
初めて成功する試行を数える
幾何分布は、初成功まで何回試すかという離散的な回数の模型です。成功する回を含めたXは1、2、3…を取ります。初回成功ならX=1、二回失敗した後に成功ならX=3です。「成功」と呼ぶことは結果が望ましいという評価ではなく、数えたい出来事の名称です。
基本の条件は試行が独立で、成功確率pが毎回同じことです。pは0より大きく1以下とします。練習で上達する、疲れて条件が変わる、限られた当たり券を戻さず引く、といった場面は、そのままこの模型の反復にはなりません。
時間と回数も別です。試行に何分かかるかが一定でなければ、平均の試行回数だけで平均の経過時間を決められません。次の出来事までの連続した時間を表す指数模型と区別し、幾何模型では一回、二回という整数の試行数を数えます。
何回目かの確率を求める
初成功がx回目なら、その前のx−1回が全て失敗し、最後の一回が成功です。独立な一定確率の条件で、確率は(1−p)のx−1乗×pとなります。x回目が成功する確率pだけでなく、それまで一度も成功していない条件を合わせて数えます。
成功確率0.2で初成功が三回目となる確率は、0.8×0.8×0.2=0.128です。「三回目も成功」と「三回目が初成功」は違います。前者には一回目や二回目に成功している結果も含まれるので、同じ確率として読むことはできません。
三回を終えても成功していない確率は0.8の三乗=0.512です。平均回数を知るだけでなく、ある回数までに終えられない可能性を考えたいときは、このように不発の連続を数えます。平均は締切でも最大回数でもありません。
平均の数え始めをそろえる
成功回を含めたXの平均は1/pです。成功前の失敗回数YならY=X−1なので、平均は1/p−1=(1−p)/pです。成功確率0.2のとき、試行数の平均5回と失敗数の平均4回は、同じ分布の数え方の違いです。
幾何分布という名前の表や計算ソフトでも、成功回を含む定義か失敗回数の定義かを先に確認します。最小値が1か0かを見ると、違いを確かめる手掛かりになります。初回成功の記録を0回と1回のどちらに数えるかが、式と平均に関わります。
実際に三回までしか試さない計画では、成功せずに終了する結果もあります。全ての人が初成功まで続けた記録ではないので、三回で打ち切った人を「初成功三回」として入れません。どの停止条件の回数を集計したかを確認して、模型のXと実際の記録を対応させます。
- 一回目
失敗。試行数1、失敗数1。
- 二回目
失敗。試行数2、失敗数2。
- 三回目
初成功。試行数3、失敗数2で停止。
成功回を含む試行数Xと、成功前の失敗回数X−1を分ける。
成功回と失敗回数を分ける(架空の例)
一回の成功確率を0.2に固定し、各回を独立とします。初成功が三回目の列は失敗、失敗、成功。この列では試行数X=3、失敗数Y=2です。初回成功ならX=1、Y=0になります。
模型の平均はXが1÷0.2=5回、Yが4回です。三回までに成功する確率は1−0.8の三乗=48.8%なので、平均5回という説明を「五回以内に必ず成功する」と読むことはできません。
持ち帰る見方
- 初成功を含む試行数と、初成功前の失敗数を区別する。
- 独立・一定pの模型で平均を計算し、期限の保証と分ける。
次に広がる疑問
- 回数を先に固定した場合、成功数の分布はどう変わる?
順番に読んでいる方へ
出典
OpenStax Introductory Statistics 2e §4.4 Geometric Distribution(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/4-4-geometric-distribution
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
初めて成功する試行を数える
幾何模型では、独立で毎回同じ成功確率pの試行を初成功まで繰り返し、成功回を含む試行数Xは1、2、3…を取る。
- 対象
- 成功回を含む初成功までの試行数。
- 条件
- 独立かつ一定成功確率、0<p≤1を置く。
- 例外・限界
- 学習や疲労、当たり数固定の非復元抽出へそのまま使わない。
OpenStax Introductory Statistics 2e §4.4 Geometric Distribution(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/4-4-geometric-distribution
何回目かの確率を求める
初成功がx回目となる確率は(1−p)のx−1乗にpを掛ける。
- 対象
- 成功回を含めた幾何分布の確率質量関数。
- 条件
- xが1以上の整数で、最初のx−1回は失敗、最後が成功。
- 例外・限界
- 固定n回の成功回数を数える二項分布とは問が違う。
OpenStax Introductory Statistics 2e §4.4 Geometric Distribution(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/4-4-geometric-distribution
平均の数え始めをそろえる
成功回を含む幾何試行数の平均は1/p、成功前の失敗回数の平均は(1−p)/pである。
- 対象
- 試行数と失敗回数という二つの幾何分布の定義。
- 条件
- 成功回を含むかどうかを先に明示する。
- 例外・限界
- 平均1/pは期限・成功の保証ではない。
OpenStax Introductory Statistics 2e §4.4 Geometric Distribution(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/4-4-geometric-distribution