数字と報道
平均10分で来るなら、10分待った後はすぐ来る?
一定率の指数模型では、すでに10分待ったことだけで残り時間が短くなるとはいえません。残りの待ち時間の分布が経過時間に依存しない、無記憶性という性質があるためです。時刻表や時間帯、老朽化のある場面へ無条件には当てはめません。
基本の用語
平均待ち時間は毎回の予定時間ではありません。ここでは出来事の発生率が一定という模型で、次の一件までの連続した時間を考えます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 検査が陽性でも、病気のある人の割合が違うのはなぜ?「病気なら陽性」と「陽性なら病気」は分母が違う。
- 追跡が終わった人を、生存時間のグラフでどう扱う?出来事までの時間、生存曲線、右打切り、リスク集合と独立打切りの条件を説明する。
平均と残り時間を分ける
一定の率で起きる出来事の間隔を、指数分布でモデル化することがあります。率をmと置くと平均待ち時間は1/mです。一分当たり0.1件という模型なら平均10分です。率の単位を一時間から一分へ変えると、計算に使う数字も換算します。
平均10分だから、10分後に必ず起きるという模型ではありません。待ち時間は0以上の連続した値を取り、10分より短いことも長いこともあります。平均は分布の一つの代表値なので、あと何分かの確率を知りたいなら分布を使います。
時刻表どおりの運行と、一定率でランダムに起きる出来事は異なります。平均間隔が同じでも、次の到来をどう予測するかは発生の条件によります。間隔の平均だけを見て、実際の予定された交通や受付に指数分布を当てはめないようにします。
すでに待った時間を条件にする
指数模型では、r時間を超えてまだ待っているという条件の下で、さらにt時間を超えて待つ確率が、最初からt時間を超える確率と等しくなります。rとtが0以上のときのこの性質を無記憶性と呼びます。未来の分布についての特定の模型の性質です。
平均10分の指数模型なら、すでに10分待っていても、残り時間の平均も10分です。「平均まであと0分だから今すぐ来る」という計算はしません。経過時間と、まだ発生していないという条件を含む残りの分布を別に扱います。
これは過去の情報が現実のあらゆる予測に役立たないという主張ではありません。待つほど故障しやすくなる機器や、予定時刻が近づく乗り物なら、同じ模型の条件は置けません。過去を無視してよいかは、無記憶性を採用する理由から判断します。
一定率という仮定を見る
来客間隔の例では、単独の到来と時間帯によらない一定の流れが基本になります。人が集団で来るなら同時の複数到来があり、昼休みだけ集中するなら率が変わります。一日の平均が一定でも、各時間帯の発生率が一定とは限りません。
観測を始めてからの時間と、直前の出来事からの時間も分けます。無記憶性の説明では、何時間未発生だったという条件を置きます。実際の記録でその条件が分かるかを確認し、知らない開始時点を仮の実測値として補わないようにします。
実際の待ち時間の説明では、何の出来事から次の何の出来事までかを確認します。受付開始から終了までのサービス時間と、来客同士の間隔は別の対象です。名前が待ち時間でも、対象や条件が変われば同じ模型を無条件には使えません。
報告では率、時間単位、平均、無記憶性の仮定を探します。指数模型の計算例が示すのは、その条件の下での残り時間の見方です。実際の来客や機器の寿命を調べた結果、将来の保証、どれくらい待つべきかの価値判断とは分けます。
経過10分と残り5分の確率(架空)
平均10分の指数模型で、最初から5分を超えて待つ確率をpと置きます。すでに10分待ち、まだ発生していないという条件を加えても、さらに5分を超える確率は同じpです。条件付きの確率を比べるのが無記憶性の意味です。
毎10分ちょうどに来る予定表なら、この模型とは違います。同じ平均10分でも、残り時間の読み方が同じになるとはいえません。実際の交通や受付へ使う前に、発生率が一定という仮定を確かめます。
持ち帰る見方
- 一定率模型の残り時間と、時刻表・加齢など条件を外れる待ち方を区別する。
- 混雑時刻や時刻表、老朽化を無条件にこの模型へ当てはめない。
次に広がる疑問
- 発生前に観察が終わった人の待ち時間をどう使う?
順番に読んでいる方へ
出典
Introductory Statistics 2e §5.3 The Exponential Distribution(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/5-3-the-exponential-distribution
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
平均と残り時間を分ける
指数分布は一定率の出来事間の待ち時間をモデル化し、率mなら平均待ち時間は1/mである。
- 対象
- 発生率を一定と仮定する出来事間の待ち時間。率と時間は対応する単位で扱う。
- 条件
- 率と時間単位を一致させる。
- 例外・限界
- 平均まで必ずに来る、という予定表ではない。
Introductory Statistics 2e §5.3 The Exponential Distribution(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/5-3-the-exponential-distribution
すでに待った時間を条件にする
指数模型の無記憶性では、r時間を超えて待ったという条件の下でさらにt時間を超える確率は、最初からt時間を超える確率と等しい。
- 対象
- 指数模型の待ち時間について、すでに待った時間を条件とする確率。
- 条件
- r,tは0以上、指数分布を仮定する。
- 例外・限界
- あらゆる待ち時間や寿命が無記憶になるわけではない。
Introductory Statistics 2e §5.3 The Exponential Distribution(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/5-3-the-exponential-distribution
一定率という仮定を見る
来客間隔の指数模型では、同時に集団で来ることや時間帯で流量が変わることは基本の発生仮定に合わない。
- 対象
- 来客間隔などを指数模型で表すときの、集団到着と時間帯による発生率の条件。
- 条件
- 単独到来・一定流量の例。
- 例外・限界
- 混雑時刻や時刻表、老朽化を無条件にこの模型へ当てはめない。
Introductory Statistics 2e §5.3 The Exponential Distribution(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/5-3-the-exponential-distribution