数字と報道
外れが続いたら、次は当たりやすくなる?
独立で当選確率が一定なら、外れが続いたことだけで次の当選確率は上がりません。大数の法則は、長く繰り返した全体の当選割合が確率へ近づく性質です。過去の外れを次の当たりで必ず埋め合わせる規則ではなく、短期の結果を約束するものでもありません。
基本の用語
当選回数を試行回数で割ると、観測した当選割合になります。模型で先に置いた当選確率と、実際に出た割合を分けて考えます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- たくさん調べれば、もとのデータも正規分布になる?元の観測の分布と、標準化した標本平均の分布を分ける。
- 賛成率が同じなら、100人中の賛成人数はいつも同じになる?二項模型の回数・独立性・確率一定を実例の調査条件へ照合できる。
長い反復の割合を見る
一回の当選確率pを固定し、各回を独立に行う模型を考えます。大数の法則は、反復数が大きくなると当選割合がpへ近づくという長期的な性質です。一回増やすごとに必ず差が縮むという主張ではなく、途中で割合が離れることもあり得ます。
例えば一回目が当たりなら当選割合は100%、次が外れなら50%です。最初の割合がpと大きく違うこと自体は模型と矛盾しません。回数の少ない段階では、一つの結果を加えただけで割合が大きく動きます。長い反復の性質を、短い記録の一致条件としません。
人数の大きなアンケートなら自動的に正しい全体割合へ近づく、という話でもありません。ここでは独立・同じ確率という模型を置いています。特定の人だけが回答する調査の偏りを、回数を増やす操作で必ず消したという結論は、この模型からは出ません。
次の確率は過去の埋め合わせでない
独立という条件では、過去が外れだったと知っても次の確率はpです。「五回外れたのでそろそろ当たる」という説明は、固定確率の独立模型には合いません。長期の割合がpへ近づくために、次の一回にpより高い確率が必要というわけではありません。
考え方を確かめるために、最初の五回が全て外れ、その後の100回が20回当たりだった列を仮に作れます。全105回の当選割合は20÷105、約19.05%です。その後の100回の割合が20%でも、最初の五回の影響が全体の中で小さくなります。
この仮の列は、次の100回が必ず20回当たるという予測ではありません。過去の外れを特別な当選率の上昇で埋める必要がないことを示しています。繰り返しごとの実現回数には散らばりがあり、頻度が近づく性質と将来の具体的な列を分けます。
割合の差と回数の差を分ける
当選割合とpとの差が小さくても、期待回数npとの回数差は同じ尺度ではありません。例えば100回で19回なら20%との差は1ポイントで、期待20回との差は1回です。1000回で190回なら割合差は同じ1ポイント、回数差は10回です。
したがって割合が近づくという性質を、「当選回数と期待回数の差も必ず小さくなる」と言い換えません。分子の回数と、それを増えた分母で割った割合が何を比較しているかを残すと、長期という言葉の意味が明確になります。
現実の抽選で、外れるほど救済の条件が変わる、券を戻さず残りの当たり数が変わる、という仕組みがあれば、次の確率を変える別の理由があります。まずその仕組みを確認し、独立一定確率の大数の法則とは別に条件付き確率を計算します。
五回の外れと長期の割合(架空の例)
模型の当選確率を20%に固定し、試行を独立とします。最初の五回が外れでも、六回目の当選確率は20%です。次の試行が過去の当選不足を補う仕組みは、この条件にはありません。
説明用の列で、その後100回に20回の当たりを置けば全105回では約19.05%、その後1000回に200回を置けば全1005回では約19.90%です。最初の外れの影響が小さくなる算術を示しており、後の実現回数の保証ではありません。
持ち帰る見方
- 長期の割合が近づくことと、次の一回の確率が上がることは違う。
- 回数差と割合差を分け、独立・一定確率の条件を確認する。
次に広がる疑問
- 平均が安定する性質と、標本平均の分布が近似できる性質は?
順番に読んでいる方へ
出典
OpenStax Introductory Statistics 2e: Mean or Expected Value and Standard Deviation(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/4-2-mean-or-expected-value-and-standard-deviation
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
長い反復の割合を見る
大数の法則は反復回数が増えると相対度数と理論確率が近づくという長期の性質。
- 対象
- 独立で同じ成功確率を持つ反復試行の基本模型。
- 条件
- 成功確率を固定し反復を独立とする。
- 例外・限界
- 回数を一つ増やすたびに必ず差が縮むとは限らない。
OpenStax Introductory Statistics 2e: Mean or Expected Value and Standard Deviation(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/4-2-mean-or-expected-value-and-standard-deviation
次の確率は過去の埋め合わせでない
確率は短期の実現結果を決めるものではない。
- 対象
- 固定確率の独立試行による長期頻度の理解。
- 条件
- 次の試行も同じ条件の独立試行である。
- 例外・限界
- 残り当たり数が固定の非復元抽出とは区別する。
OpenStax Introductory Statistics 2e: Mean or Expected Value and Standard Deviation(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/4-2-mean-or-expected-value-and-standard-deviation