数字と報道

いくつかの地区を選び、その地区の全員を調べるのはなぜ?

母集団を地区などの集落へ分け、一部の集落を無作為に選んで、その中の全員を調べるのが一段集落抽出です。調査対象がまとまって選ばれる方法で、全ての層の中から一部の人を取る層化抽出とは違います。選んだ地区数と観測した人数を分けて読みます。

基本の用語

ここでの集落は抽出に使う集団で、町の名称などに限りません。地区、施設など、一つの単位として選べるまとまりを指します。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

個人より先に集団を選ぶ

一段集落抽出では、最初に母集団を集落へ分けます。集落の名簿から一部を無作為に選び、その集落の全員を調査対象にします。選ばれた集落の中からさらに一部を選ぶ多段抽出とは区別し、ここでは集落内を全数対象とする単純な仕組みを考えます。

集落を重複なく全体を覆うように定義すると、一人がどの集落にいるかを特定できます。集落名簿を作る段階と、選ばれた集落の個人名簿を確認する段階は別です。集落だけの一覧が合っていても、その中の人が漏れていないかまで自動的に保証されません。

調査対象を地区のまとまりで計画したい場合、この選び方なら選ばれた地区へ対象が集まります。ただし、実施がまとまるという構造と、必要な精度が得られることは別です。一部の地区の全員を調べたという情報から、全国の全員を調べたと読み替えることはできません。

全ての区分から選ぶ方法と比べる

層化抽出は、全ての層から標本を取ります。集落抽出は一部の集落を選びます。どちらも地区という区分を使えるので、地区別という名称だけでは方法を判定できません。全地区で一部の人を選んだのか、一部の地区で全員を対象としたのかを方法書で確認します。

同じ200人を調べても、二地区に100人ずつ集まる標本と、二十地区に10人ずつ分かれる標本では、集団の数が違います。精度を読むときは個人数だけでなく、集落の数、規模、対象の特徴と抽出方法も必要です。全員が互いに独立な単純標本という計算を自動的に当てはめません。

同じ地区の人が似た状況を共有している場合、まとまりが推定のばらつきへ関わることがあります。その関わりの方向や大きさは変数と設計によるので、集落抽出なら必ず精度が悪いとは決めません。方法に合う分散の計算を使ったかを、報告の推定方法から読みます。

集団単位の実験とも区別する

集落を調査対象として選ぶことと、学校全体を新しい授業と通常授業へ無作為に割り付けることは、異なる操作です。前者は母集団から何を観測するかを選ぶ抽出、後者は介入の条件を割り当てる実験の設計です。どちらも集団単位ですが、答える問いが違います。

抽出した地区の全員が実際に回答したかも別に記録します。選んだ集落内を全数対象にしても、非回答や対象名簿の漏れがあれば、全員の正しい値を得たとはいえません。選択した集落数、対象人数、回答人数を区別すると、どの段階で情報が欠けたかが分かります。

報告で「無作為に選んだ1000人」とだけ示されていたら、個人1000人をばらばらに選んだのか、1000人のいる集落を選んだのかを確かめます。抽出の単位を明らかにしてから、母集団への換算や推定精度を読むことがこの方法の入口です。

架空の例同じ20人でも選び方が違う
  • 一部の地区の全員

    十地区から二地区を選び、各10人の全員を対象。

  • 全地区の一部

    全十地区でそれぞれ二人を選び、計20人を対象。

同じ対象100人の人数例。抽出の第一段階と地区の入り方を比較する。

十地区のうち二地区を選ぶ(架空の例)

各10人の十地区、計100人を対象とします。十地区に番号を付け、その中から二地区を無作為に選びます。選ばれた二地区の全員を対象にすると、対象人数は20人です。抽出の第一段階で選んだ単位は2地区で、観測する人は20人です。

全十地区からそれぞれ二人を選ぶ方法も計20人ですが、その方法は全地区の中で人を選ぶ別の設計です。同じ人数になることだけでは、地区の情報の入り方や推定のばらつきが同じとは言えません。

持ち帰る見方

  • 一段集落抽出は一部の集団を選び、その中の全員を対象にする。
  • 抽出した集落数、個人数、実際の回答人数を区別する。

次に広がる疑問

  • 集落のまとまりは、同じ人数の調査の精度へどう関わる?

順番に読んでいる方へ

学習地図で、ほかの分野とのつながりを見る

出典

  • OpenStax Introductory Statistics 2e: Data, Sampling, and Variation in Data and Sampling(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/1-2-data-sampling-and-variation-in-data-and-sampling

    確認日:2026-10-07

本文の出典・補足

個人より先に集団を選ぶ

一段集落抽出では母集団を集落に分け、その一部を無作為に選び、選ばれた集落の全員を対象にする。

対象
教材の一段集落抽出。
条件
集落を重複なく全体を覆うように定義する。
例外・限界
選ばれた集落内からさらに一部を選ぶ多段抽出はこの例の範囲外。
  • OpenStax Introductory Statistics 2e: Data, Sampling, and Variation in Data and Sampling(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/1-2-data-sampling-and-variation-in-data-and-sampling

全ての区分から選ぶ方法と比べる

集落抽出では全ての集落でなく、その一部の集落を無作為に選ぶ。

対象
集落の選択と個人の観測。
条件
選ぶ集落数と各集落の人数を区別する。
例外・限界
個人数だけで単純無作為標本と同じ精度とみなさない。
  • OpenStax Introductory Statistics 2e: Data, Sampling, and Variation in Data and Sampling(Barbara Illowsky / Susan Dean(著者原教材、OpenStax))https://openstax.org/books/introductory-statistics-2e/pages/1-2-data-sampling-and-variation-in-data-and-sampling