経済の基礎
共同事業の利益を、参加順による追加貢献から分けられる?
共同事業で生まれる価値を、参加順序ごとの追加貢献を平均して分けるのがシャープレイ値です。単独の成果だけでなく組合せの成果を指定し、実際の加入順や交渉の強さによる分配と分けます。
基本の用語
協力ゲームでは、どの参加者の集合が幾らの価値を作れるかを指定します。ここでは金銭として移転できる価値を置き、ある集合へ一人が加わったときの増加分を比較します。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- チームの成果だけに報酬を付けると、全員が努力する?共同成果を増やした人が、その増分の全額を受け取るとは限りません。
- 交渉で強いのは、相手を説得できる人だけ?実行できる不合意時の選択肢を、合意の便益と比べる。
参加順で追加貢献を測る
単独では成果がなくても、他人と組むと大きな価値を作る人がいます。各人の単独の売上だけを足して分けると、組合せから生まれる価値を捉えられません。誰が誰と組めるかを含めた集合ごとの価値が出発点です。
その集合が得る価値をv(S)と書き、空の集合は0と置きます。外の参加者が何をするかに価値が依存しない特性関数の模型です。組めば常に価値が増える、現実の利益が既知であるといった仮定は自動的には含みません。
移転可能効用では、合計価値を参加者へ振り分けられると置きます。お金で移せない便益や合意の制約が中心なら、同じ価値表だけで分配を決められるとは限りません。値の指定と移転可能性を先に確認します。
全ての順序を平均する
全員を一列に並べ、最初は空の集合から始めます。ある人が加わる直前の価値と、加わった後の価値の差が、その順序での限界貢献です。先に誰が入っていたかによって、同じ人の追加価値も変わります。
全ての参加順序を同じ重みで扱い、その人の限界貢献を平均します。これがシャープレイ値の計算です。実際に一回だけ起きた加入順を使うのでなく、仮想の順序を全て比べるため、偶然の先後を特別扱いしません。
各順序で増加分を全員に足すと、空の集合から全員の集合までの価値になります。その平均も全員の価値を分け切ります。二人が全ての集合に同じ追加価値を持つなら、名前だけを理由に違う値を付けません。
一つの基準と実際の配分を分ける
どの集合へ加わっても追加価値が0の人には0を配分するという性質もあります。単独の価値が0というだけでは足りず、他人と組む全ての場合の追加価値を見る条件です。
分配の原理として整った性質を持っても、各部分集団が離脱したいかは別の検査です。ある集団の配分合計が、その集団だけで作れる価値より少なければ、シャープレイ値でも離脱の誘因が残りえます。
現実の取り分をそのまま説明する法則ではありません。価値を誰が推定するか、交渉権や契約をどう置くかは追加の問題です。計算結果を読む際は、指定した価値表と、平均する順序のルールを一緒に示します。
- 集合の価値を指定
AB60、AC30、BC0、ABC90。単独は0。
- 六順序の貢献を足す
A270、B180、C90。
- 同じ重みで平均
A45、B30、C15。合計90。
三人の特性関数・移転可能効用を置く架空例です。順序は実際の加入履歴ではなく計算上の全順序です。価値表を変えれば配分も変わります。
架空の例:三人の六つの順序を平均する
A・B・Cの単独価値は0、ABは60、ACは30、BCは0、ABCは90とします。ABCの順なら追加価値はA0・B60・C30、BCAならB0・C0・A90です。同じAでも入る時点で貢献が変わります。
六順序での追加価値の合計はA270、B180、C90となり、各6で割るとA45・B30・C15です。合計90を分け切ります。BとCは単独では共に0ですが、Aと組んだ価値が違うため、単独額だけの均等配分にはなりません。
持ち帰る見方
- 単独の成果と、集合へ加わる追加価値を分ける。
- 平均貢献による分配と、集団の離脱誘因を別に調べる。
次に広がる疑問
- どの集団も離脱しない分配は?
- 二人だけの合意なら何を最大にする?
順番に読んでいる方へ
出典
Cooperative Games — MIT 14.126 notes (2017)(MIT OpenCourseWare / Mihai Manea)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/25c82e8213fd23daa72c9382e921a2b0_MIT14_126S16_cooperative.pdf
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
参加順で追加貢献を測る
Shapley値は、全ての参加順を等確率とし、その人が加わる直前の提携への追加価値を平均する。
- 対象
- 全ての参加順の限界貢献を平均するShapley値を三人例で計算し、利益配分の一つの基準と示す。
- 条件
- 有限人数、提携ごとの価値v(S)、v(空)=0、価値は移転可能な金銭、外部性なし、全員提携の価値を配分、全順序を等確率。
- 例外・限界
- 参加順は実際の契約順ではなく分配基準の仮想比較。価値の推定は別。実際の賃金/利益配分やコア所属を自動保証しない。
Cooperative Games — MIT 14.126 notes (2017)(MIT OpenCourseWare / Mihai Manea)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/25c82e8213fd23daa72c9382e921a2b0_MIT14_126S16_cooperative.pdf
全ての順序を平均する
各人のShapley値を足すと、全員提携の価値になる。
- 対象
- 全ての参加順の限界貢献を平均するShapley値を三人例で計算し、利益配分の一つの基準と示す。
- 条件
- 有限人数、提携ごとの価値v(S)、v(空)=0、価値は移転可能な金銭、外部性なし、全員提携の価値を配分、全順序を等確率。
- 例外・限界
- 参加順は実際の契約順ではなく分配基準の仮想比較。価値の推定は別。実際の賃金/利益配分やコア所属を自動保証しない。
Cooperative Games — MIT 14.126 notes (2017)(MIT OpenCourseWare / Mihai Manea)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/25c82e8213fd23daa72c9382e921a2b0_MIT14_126S16_cooperative.pdf
一つの基準と実際の配分を分ける
価値への役割が入替可能な人は同じ配分となり、どの提携にも価値を追加しないダミーはゼロとなる。
- 対象
- 全ての参加順の限界貢献を平均するShapley値を三人例で計算し、利益配分の一つの基準と示す。
- 条件
- 有限人数、提携ごとの価値v(S)、v(空)=0、価値は移転可能な金銭、外部性なし、全員提携の価値を配分、全順序を等確率。
- 例外・限界
- 参加順は実際の契約順ではなく分配基準の仮想比較。価値の推定は別。実際の賃金/利益配分やコア所属を自動保証しない。
Cooperative Games — MIT 14.126 notes (2017)(MIT OpenCourseWare / Mihai Manea)https://ocw.mit.edu/courses/14-126-game-theory-spring-2016/25c82e8213fd23daa72c9382e921a2b0_MIT14_126S16_cooperative.pdf