お金と金融
少ない元手で大きく取引すると、損失も元手までで済む?
元手までで済むとは限りません。借りた資金や株で取引を大きくすると、損益はその取引額にかかります。預けた保証金は返済を支える担保で、損失の上限ではありません。値動きや費用によって、追加のお金が必要になる場合があります。
基本の用語
自己資金より大きい取引をする働きをレバレッジといいます。ここでは日本の株式の信用取引を扱います。証券会社へ担保として預ける委託保証金と、買う株の代金は別の役割です。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 株価が上がると、会社にお金が入る?新規発行の代金と、投資家間売買の代金は行き先が違う。
- 金利は、何の値段?借入期間・リスクと名目実質
借りたお金や株を使って売買する
現物の株を買う場合は、基本的には買付代金を用意します。信用買いでは証券会社から資金を借りて株を買い、委託保証金も預けます。自分のお金だけで買う場合より大きな株式を持てますが、資金を返す義務や借入の費用が加わります。
信用売りでは株を借りて売り、後に同じ種類・数量の株を用意して返します。安く買い戻せれば価格差を得る一方、高くなれば買い戻す負担が増えます。買いでは値下がり、売りでは値上がりが不利な方向なので、二つを同じ値動きで考えないようにします。
制度信用と一般信用では、対象や返済期限などの決め方が異なります。借りられることだけでなく、いつ、どの方法で返すのかが契約の一部です。使える取引額や費用も、保証金の額だけから一律に決められるものではありません。
損益は、元手ではなく取引額にかかる
株価が10%動いたときの価格差は、保証金の10%ではなく、取引した株の金額の10%に対応します。少ない元手で大きい取引をすれば、元手に対する利益も損失も大きくなります。取引額を増やしても、有利に値動きする確率が高まるわけではありません。
借りたお金は、株が値下がりしただけで同じ割合に減りません。売却代金が少なくなっても、返済義務は残ります。値下がり分が元手を超える場合には、保証金を全部使っても不足が生じ得ます。保証金は預けた範囲だけで責任を終える代金ではなく、担保です。
買った株式を担保として預けていても、その株が下がれば担保価値も減ります。「株を持っているから返せる」という判断には、売る時点の値段が関わります。現物取引の損益だけを理解しても、信用取引の負担を全部説明したことにはならない理由です。
追加保証金は、損を消す支払いではない
価格が不利に動くと、当初の保証金から損失や費用を差し引いた担保の余裕が減ります。所定の条件に達すると、追加の委託保証金、いわゆる追い証を求められます。判定の割合や期限は、商品の種類や取引先の条件を確かめる必要があります。
追い証を入れると担保を補えますが、すでに起きた価格差の損失を帳消しにするものではありません。追加した資金も、自分が取引に使える財産から出します。手元で必要な現金と、最終的な損益を分けて見ることが大切です。
信用取引は、反対の売買や、現金・株を用意する方法などで借入を返して決済します。そのときの過不足も損益に関わります。保証金、保有株の評価、借入残高、追加資金、決済条件を合わせて確認すれば、元手だけが値動きする取引とは違うことが分かります。
30万円の保証金で90万円分の株を取引する
架空の例
保証金30万円を別に預け、90万円を借りて90万円分の株を買ったとします。途中の追い証や決済、利息・費用を省きます。株価が10%下がると株は81万円になり、価格差の損失9万円は元手30万円の30%に相当します。
40%下がると株は54万円です。売却代金54万円と保証金30万円を合わせても84万円で、借入90万円の返済には6万円不足します。現実の取引では途中の追い証や決済が関わりますが、保証金が損失上限でないことは、この単純計算からも分かります。
持ち帰る見方
- 損益は保証金の額ではなく、取引した額にかかる。
- 保証金は担保であり、損失の上限ではない。
- 追い証を入れても、価格差の損失は消えない。
次に広がる疑問
- 資金を借りる費用と返済を読む
- 希望した値段で売買できる条件を読む
順番に読んでいる方へ
出典
信用取引の目的・仕組み(日本取引所グループ/東京証券取引所)https://www.jpx.co.jp/equities/trading/margin/outline/01.html
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
借りたお金や株を使って売買する
信用取引は資金又は株を借りて売買し、委託保証金を担保として預ける。買付資金の借入と株の借入による売りでは不利な値動きの向きが異なる。
- 対象
- 日本の信用取引
- 条件
- 信用買いと信用売りを区別
- 例外・限界
- 一般信用と制度信用で期限・条件が異なり、倍率一律を示さない
信用取引の目的・仕組み(日本取引所グループ/東京証券取引所)https://www.jpx.co.jp/equities/trading/margin/outline/01.html
損益は、元手ではなく取引額にかかる
価格変動の損益は取引額にかかり、保証金は損失上限ではない。借入の返済を含めると自己資金を超える損失になり得る。
- 対象
- 借入付き取引の単純損益
- 条件
- 費用を省き資金借入の買いを架空計算
- 例外・限界
- 実際の制限・担保率・売買価格を再現しない
信用取引の目的・仕組み(日本取引所グループ/東京証券取引所)https://www.jpx.co.jp/equities/trading/margin/outline/01.html
追加保証金は、損を消す支払いではない
損失や費用で担保価値が不足すると追加保証金を求められ、返済や決済の条件もある。
- 対象
- 信用取引の委託保証金と決済
- 条件
- 契約と商品ごとの条件を確認
- 例外・限界
- 追証を入れても価格損失自体はなくならない。具体的な率や期限の助言はしない
信用取引の目的・仕組み(日本取引所グループ/東京証券取引所)https://www.jpx.co.jp/equities/trading/margin/outline/01.html