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VaRが100万円なら、損失は100万円までで済む?

VaRは最大損失ではありません。期間と信頼水準を決めた損失分布の、ある境界を表す指標です。その境界を超える結果もあり、超えた場合にどれだけ大きい損失になるかはVaRだけでは分かりません。数字と一緒に、期間、水準、モデルの前提を読みます。

基本の用語

将来の値動きは一つに確定せず、損失が小さい場合から大きい場合までを模型で表すことがあります。確率の模型と、現実の将来の保証は別です。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

期間と信頼水準が付いた境界を読む

VaRはValue at Riskの略です。ある保有の一定期間の損失について、模型の分布のどの位置を境界にするかを示します。例えば「一日・95%のVaRが100万円」という表示なら、期間が一日、信頼水準が95%、その分位点が100万円だと読みます。

この模型では、損失が100万円を超える側も分布に残ります。95%という水準を使っているのに、100万円で損失を止める契約があるわけではありません。95%と99%、一日と十日では、比較している境界が違うため、値だけを並べません。

また、95%は「これから100日間なら必ず95日はその額以内になる」という実際の回数の保証ではありません。分布と模型の前提に対する読み方です。将来の市場や保有条件が変われば、計算した分布が結果をうまく表さない可能性もあります。

境界を超えた損失の大きさは別にある

分布の95%の位置が同じでも、残りの大きな損失の側が似ているとは限りません。境界を少しだけ超える分布と、極端に大きな損失があり得る分布を、同じ一つのVaR数値だけで区別しきれないのです。

バーゼル銀行監督委員会の2013年相談文書は、VaRが損失分布の尾部のリスクを十分捉えないという問題を挙げています。尾部とは、大きな損失の側の、あまり頻繁ではない結果の部分です。境界の場所と、境界の向こうの大きさを分けて見る必要があります。

そこで、一定の境界を超えた損失の大きさまで考える期待ショートフォールなど、別の指標が使われます。VaRより広い問いに答えようとする方法ですが、どんな将来損失も確定できるという意味ではありません。どのリスクを測る指標かを確認します。

モデルの前提と、大きな損失も確かめる

計算では、どの保有を対象にし、どんな価格変化の情報や模型を使ったかが重要です。穏やかな市場の情報だけに合わせた指標を、強いストレス時にも同じ精度の保証として使うことはできません。前提の変化を含めて点検します。

分位点の指標に加え、厳しい市場条件で保有額や支払資金がどう変わるかを調べる視点もあります。分散の効き方や換金条件が変わる場面を、通常時の一つの数値だけで捉えきれるとは限りません。結果の数字と、その数字を作った条件を一緒に読みます。

ここでは2013年文書をVaRの限界の概念資料として使い、当時の制度案の水準を現在の銀行規制として示していません。ニュースにVaRが出たら、期間、信頼水準、対象、模型の前提、大きな損失側の検討を確認すると、損失上限との混同を避けられます。

同じ境界でも、その先の損失は違う

架空の二つの模型で、損失100万円ちょうどに95%の確率を割り当て、残り5%にはそれより大きい損失を置きます。どちらも一日の95%の分位点を100万円とする条件です。

残り5%がすべて110万円の模型と、すべて1000万円の模型では、大きな損失の側が異なります。95%のVaR100万円という一つの表示だけでは、その違いは分かりません。実測データや将来の回数を示した例ではありません。

持ち帰る見方

  • VaRに期間と信頼水準を添えて読む。
  • 分位点を最大損失や損失保証としない。
  • 境界の先の損失と模型の前提も確認する。

次に広がる疑問

  • 予測の幅と、複数のシナリオは何が違う?
  • 一つの銀行の問題が、なぜ経済全体に広がる?

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出典

  • Fundamental review of the trading book: A revised market risk framework(バーゼル銀行監督委員会(BCBS)/BIS)https://www.bis.org/publications/201310-consultation-fundamental-review-trading-book.pdf

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

期間と信頼水準が付いた境界を読む

VaRは所定期間の損失分布の信頼水準に対応する分位点として読む指標で、期間と水準の指定が必要である。

対象
期間と信頼水準を持つ損失分布の境界、超過損失とモデル前提を説明する。
条件
1日95%VaR100万円の架空模型
例外・限界
2013文書の現行制度案数値を採用せず、最大損失ではない
  • Fundamental review of the trading book: A revised market risk framework(バーゼル銀行監督委員会(BCBS)/BIS)https://www.bis.org/publications/201310-consultation-fundamental-review-trading-book.pdf

境界を超えた損失の大きさは別にある

VaRは閾値を超える尾部損失の大きさを十分捉えない。

対象
期間と信頼水準を持つ損失分布の境界、超過損失とモデル前提を説明する。
条件
分位点が同じでも尾部が異なる架空分布
例外・限界
95%は将来100日中必ず95回以内という保証でない
  • Fundamental review of the trading book: A revised market risk framework(バーゼル銀行監督委員会(BCBS)/BIS)https://www.bis.org/publications/201310-consultation-fundamental-review-trading-book.pdf

モデルの前提と、大きな損失も確かめる

穏やかな市場の情報だけで校正した指標には限界があり、尾部を見る期待ショートフォールやストレス検討は別の視点を与える。

対象
期間と信頼水準を持つ損失分布の境界、超過損失とモデル前提を説明する。
条件
2013相談文書p3/18の問題意識
例外・限界
特定手法で危機ゼロ/現在規制の必要資本が決まるとしない
  • Fundamental review of the trading book: A revised market risk framework(バーゼル銀行監督委員会(BCBS)/BIS)https://www.bis.org/publications/201310-consultation-fundamental-review-trading-book.pdf