お金と金融
株の注文を出すと、希望した値段ですぐ買える?
注文を出した時点では、売買はまだ成立していません。指定した値段で応じる相手がいるか、注文の量や取引所のルールがどうなっているかで、成立する値段と数量が決まります。成行注文も、画面の直前の株価で必ず買える約束ではありません。
基本の用語
取引所では、売りたい人と買いたい人の注文を集めて照合します。注文が合って売買契約が成立することを約定と呼びます。ここでは東京証券取引所の内国株の基本的な取引を見ます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 株価が上がると、会社にお金が入る?新規発行の代金と、投資家間売買の代金は行き先が違う。
値段を指定するか、成立を優先するか
株の注文は、何株買うかだけでなく、値段を指定するかも選びます。「1,000円以下で買う」「1,100円以上で売る」という指定が指値です。買い手は払ってよい上限、売り手は受け入れてよい下限を示します。指定した値段だけで売買する命令ではなく、条件より有利な値段で成立する場合もあります。
成行は、値段を指定せずに買う、または売る注文です。値段を指定した注文より優先されますが、直前に成立した値段を固定するものではありません。その時に応じる反対注文の値段と量が、次の取引へ関わります。
指値なら値段の条件を守れますが、その条件に合う相手がいなければ成立しません。成行も、売買停止や注文の偏り、特別気配などによってすぐには成立しない場合があります。値段を守ることと、希望した量をすぐ取引することは、同時に保証される条件ではありません。
早く出せば、必ず買えるわけではない
通常の売買時間中の照合をザラバといいます。買い注文では高い値段、売り注文では低い値段が優先されます。相手にとって有利な条件を示す注文が先です。同じ値段なら、通常は先に受け付けた注文から順に照合します。
したがって、早く注文を出しても、値段の条件が違えば後からの注文が先に成立し得ます。同じ値段でも先の注文が大量にあれば、自分の注文まで届かないことがあります。一部だけ成立し、残りが未成立になる場合も、全数量が成立した場合と区別します。
寄付きなどでは、注文をまとめて一つの値段を決める板寄せを使い、それまでの注文を同時に出されたものとして扱う場面があります。いつでも単純な早い者勝ちではありません。また、特別気配は注文の偏りを知らせて反対注文を呼び込む仕組みで、表示した値段で売買が済んだことを意味しません。
成立した日と、代金・株を渡す日
約定すると、いくらで何株を売買する契約が成立したかが決まります。その後に、株式と代金を受け渡して取引を済ませます。成立の記録と、受渡しが完了した記録は別です。注文が受け付けられたことだけでなく、売買が成立したかと受渡しが済んだかを別々に確かめます。
東証の内国株の普通取引では、約定日を含め、休業日を除く3日目に決済します。月曜日に約定し、途中に休業日がなければ水曜日です。「3日目」を月曜日の3日後と読まないようにします。休日を挟む場合は、単に暦の日付を二つ進めればよいわけでもありません。
当日決済取引など別の種類もあります。ここでの営業日の数え方を、外国株やすべての金融商品へそのまま移しません。取引をたどるときは、注文受付、約定した数量と値段、受渡し日という順で見ると、どこまで済んだのかを確かめられます。
- 注文を出す
数量と値段などの条件を指定
- 約定する
相手の注文と合い売買契約が成立
- 受渡しを行う
約定に沿って株式と代金を渡す
注文を出しても約定するとは限らない。普通取引の受渡し日は約定日を含め3営業日目。
1,000円で買いたい人と、1,010円で売りたい人
架空の例
ある銘柄について、Aさんが1,000円以下で100株買う注文を出し、売り手は1,010円以上で100株売る注文だけを出しているとします。他の注文や特別な売買条件は省きます。両者の条件が合わないので、Aさんの注文は成立しません。
Aさんが値段を指定しない注文に変えれば、この単純な状況では1,010円での売り注文と合います。ただし、現実には注文を変更する間にも値段や数量が動きます。この例は成行の約定価格を予告するものではなく、値段を指定する条件の違いを示しています。
持ち帰る見方
- 注文受付、約定、受渡しは別の段階。
- 指値は値段の条件、成行は価格を指定しない注文。
- 早さだけでなく、値段・数量・売買方式が成立を決める。
次に広がる疑問
- 取引所で売買するETFの二つの価格を読む
- 銀行間で代金を決済する仕組みを読む
順番に読んでいる方へ
出典
売買成立の方法(日本取引所グループ/東京証券取引所)https://www.jpx.co.jp/equities/trading/domestic/04.html
確認日:2026-10-04
売買の種類(日本取引所グループ/東京証券取引所)https://www.jpx.co.jp/equities/trading/domestic/02.html
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
値段を指定するか、成立を優先するか
東証の成行注文は値段を指定せず、指値買いは上限、指値売りは下限を指定する。注文と約定は違い、相手注文・数量・売買条件によって成立しない場合もある。
- 対象
- 東証内国株の注文と約定
- 条件
- 立会取引の基本的な二注文を比較
- 例外・限界
- 売買停止や特別気配、反対注文不足等により成行の即時成立も保証されない
売買成立の方法(日本取引所グループ/東京証券取引所)https://www.jpx.co.jp/equities/trading/domestic/04.html
早く出せば、必ず買えるわけではない
通常のザラバでは価格優先と同値の時間優先で照合し、寄付き等は板寄せで同時呼値を扱う。
- 対象
- 通常ザラバと板寄せの区別
- 条件
- 同じ銘柄の取引所注文
- 例外・限界
- 開始時等の時間優先の例外を残し、実価格の予測をしない
売買成立の方法(日本取引所グループ/東京証券取引所)https://www.jpx.co.jp/equities/trading/domestic/04.html
成立した日と、代金・株を渡す日
東証内国株の普通取引は約定日を含め休業日を除く3日目に決済する。
- 対象
- 日本の普通取引の受渡し日
- 条件
- 営業日で計算、通常取引
- 例外・限界
- 当日決済/発行日決済などは別
売買の種類(日本取引所グループ/東京証券取引所)https://www.jpx.co.jp/equities/trading/domestic/02.html