経済の基礎
選択肢が三つしかなくても、条件改善で大きい案へ進むと分かる?
高い案と低い案の利得差が、外から与えられる条件の上昇で小さくならないなら、高い案を選ぶ誘因が強まります。増加差分という性質です。離散的な三案でも全ての高低ペアを比べ、最適な選択の方向を調べられます。
基本の用語
高低は選ぶ量の順番です。ここでは相手の戦略ではなく、本人に与えられる一つの条件と、固定された候補集合を使います。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- もう一つ増やすかどうかは、何を比べる?限界費用と限界便益は、量を変える前後の差。
- 相手が増やしたら自分も増やす競争は、どう連鎖する?相手行動への最適反応の向きから模型を選ぶ。
水準ではなく、高い案を選ぶ得を比べる
ある条件で、案を大きくすると利得が増えるかを考えます。大きい案の利得から小さい案の利得を引いた差が、その変更の誘因です。条件が高くなると両案の利得水準が上がるだけでは、どちらを選ぶ得が強まるかは分かりません。
高い案x_Hと低い案x_Lについて、この差が条件θの上昇で小さくならないのが増加差分です。全ての高低案のペアと、全ての比較する条件で成り立つことを確かめます。一番大きい案と一番小さい案の一組だけでは足りません。
製品価格の高まりで多い産出の追加売上が増す例では、価格差に産出差を掛けると正になるため、この条件を確かめられます。価格が上がると総利益が上がるという水準だけの説明より、選択に直接関わる性質です。
滑らかな関数なら交差微分で表せますが、数個の案しかない場合には利得表の差を計算すれば十分です。微分できないこと自体を、方向が何も分からない理由にする必要はありません。
θx−費用の例では、条件は一人に与えられ、他人の選択で決まる均衡を解いていません。同じ利得差の考えでも、ゲームの相互反応とは別です。
離散的な案でも、比較できる
一つの順序付き選択変数で増加差分があれば、最適解の集合は強集合順序で増加します。特に最小の最適案と最大の最適案が、条件上昇で低い方へ戻らないという形で読めます。
この方向比較に、目的関数の凹性や費用の凸性を先に要求する必要はありません。固定された候補の最大値が存在し、利得差が条件とともに増えることを確認します。離散的な設備の大きさにも使える見方です。
三案0、1、2なら、0対1、1対2、0対2の三組があります。各組で高い案の利得から低い案の利得を引き、条件ごとに並べます。全三組で差が小さくならないことを見てから、最大利得の案を取り出します。
ある条件で全案が同率なら、どの案も最適です。弱い増加差分だけで、同率から任意に選んだ一要素が必ず単調になるとは限りません。最小・最大の選択を指定するか、集合のまま比較します。
三案の全ペアを調べた後に、それぞれの条件で利得最大を選びます。差の表は方向の根拠、最大値の表は実際に選ぶ案の答えです。
同率の最小案と最大案も残す
同率最適案が二つの条件で重なる場合、より高い条件で小さい方を選ぶこともありえます。その場合は選択が逆転する二案が両条件で共に最適であり、誘因の順位が逆転したこととは違います。
一定の案を長く選び、ある条件で大きい案へ飛び移っても単調性は成立します。弱い増加は毎回必ず量が増える意味ではなく、非減少の方向です。増え幅と切替えの条件は具体的な利得表で求めます。
選択集合も条件とともに変わる場合は、この固定集合の比較をそのまま使えません。新案の追加や利用禁止があるなら、条件の利得効果に加え、集合がどう動くかの情報を別に確認します。
ここで大きい案という順番は、社会的に望ましい順位ではありません。利益や満足の目的を指定した一人の選択の方向と、その結果をどう評価するかを分けます。
θ4では案0と2が同率0でも、案1の利得1に届かないので、最適の同率ではありません。単なる利得同率と最大値の同率を分けます。
- 利得水準
条件変更で、各案の結果がどれだけ変わるか。
- 高低の利得差
大きい案を選ぶ追加の得がどう変わるか。
- 全ペアの確認
一組だけでなく、高低の全比較に同じ条件を置く。
固定候補の全高低ペアで増加差分を確認する。
架空の例:三案の全ペアを比較する
案xは0、1、2、費用は0、3、8で、利得をθx−費用とします。θが2なら利得0、−1、−4で案0、θ=4なら0、1、0で案1、θ=6なら0、3、4で案2が最適です。
1対0の利得差はθ−3、2対1はθ−5、2対0は2θ−8です。条件2→4→6で順に−1→1→3、−3→−1→1、−4→0→4となり、全三組で非減少です。最適案も0→1→2へ進みます。
持ち帰る見方
- 一人の外生条件への選択は、全高低ペアの利得差で方向を検算する。
- 同率解では最小・最大または最適集合を残す。
次に広がる疑問
- 利得差の大きさが分からなくても、方向を調べられる?
順番に読んでいる方へ
出典
Producer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/098a320a59e36314b0456cd175a4e8eb_MIT14_121F15_4S.pdf
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
水準ではなく、高い案を選ぶ得を比べる
増加差分とは、高い案と低い案の利得差が外部条件の上昇で小さくならない性質である。
- 対象
- 一人の離散最適化で高低の案の利得差が条件とともに増える性質を比較し、微分を使わず単調性を判定する。
- 条件
- 一つの順序付き選択変数・固定された選択集合、最大化解存在、全高低案と条件の組で増加差分。
- 例外・限界
- 一組の比較だけでは全体の性質を証明しない。同率解では任意の選び方が必ず増えるとは限らない。
Producer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/098a320a59e36314b0456cd175a4e8eb_MIT14_121F15_4S.pdf
離散的な案でも、比較できる
一変数の問題で増加差分があれば最適解集合は強集合順序で増加する。
- 対象
- 一人の離散最適化で高低の案の利得差が条件とともに増える性質を比較し、微分を使わず単調性を判定する。
- 条件
- 一つの順序付き選択変数・固定された選択集合、最大化解存在、全高低案と条件の組で増加差分。
- 例外・限界
- 一組の比較だけでは全体の性質を証明しない。同率解では任意の選び方が必ず増えるとは限らない。
Producer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/098a320a59e36314b0456cd175a4e8eb_MIT14_121F15_4S.pdf
同率の最小案と最大案も残す
この方向比較では凹性・凸性・微分可能性を必要としない。
- 対象
- 一人の離散最適化で高低の案の利得差が条件とともに増える性質を比較し、微分を使わず単調性を判定する。
- 条件
- 一つの順序付き選択変数・固定された選択集合、最大化解存在、全高低案と条件の組で増加差分。
- 例外・限界
- 一組の比較だけでは全体の性質を証明しない。同率解では任意の選び方が必ず増えるとは限らない。
Producer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/098a320a59e36314b0456cd175a4e8eb_MIT14_121F15_4S.pdf