経済の基礎
最大利益の価格への傾きから、生産量や材料量が分かる?
価格受容企業の最大利益が滑らかなら、製品価格への傾きは最適供給量、正の投入単価への傾きは最適投入量の負値になります。Hotelling補題です。利益の変化から数量を読むため、出力と投入の符号を分けます。
基本の用語
ここでの利益関数は、固定された生産候補から選び直した最大利益です。決算の一つの利益額そのものを微分する話ではありません。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 費用と売値が分かれば、会社が選ぶ生産案は一つに決まる?価格受容企業の実行可能な生産案を丸ごと比較し、最大利益の同率解と生産技術の制約を示す。
- 必要な生活費の増え方から、どれだけ買う量か分かる?Shephard補題を支出関数の傾き・最安購入量・微小価格変化の対応として使う。
売値一円の増加は、選んだ量に効く
ある価格で最適な案が製品を三個作るなら、製品の単価がほんの少し上がったとき、最大利益の最初の増え方は三個に対応します。選び直しを含めた値の傾きへ、元の最適数量が現れます。
利益関数をπ、製品価格をpとすると、πのpへの微分が供給量qです。利益の金額を一個あたり価格で微分するので、結果の単位は個です。これがHotelling補題の製品側の読み方になります。
固定された実行可能集合、価格受容、最適案の一意性や値関数の微分可能性といった条件を確認します。同率の生産案が切り替わる点では、供給量に対応する傾きが一つに定まらない場合があります。
包絡線の考え方では、最適点から案を微小に変える余地は利益の一階の改善を残しません。価格の直接の変更が、最適値の最初の変化を決めます。生産量を永久に固定しているための式ではありません。
最適案で量が変わっていても、最適値の一点での傾きは元の量で測れます。量の変化までゼロと仮定した計算ではないことを確認します。
投入費用の傾きには負号が付く
材料の単価rを正の費用で表すと、利益からr×材料量を引きます。その価格への傾きは−材料量です。製品の売値を上げる場合と、支払う費用を上げる場合の向きが反対になります。
純生産計画を価格との内積で書く教材では、投入側を負の符号で扱います。投入を正の費用率で表示する本例でも同じ内容ですが、どちらの記法かをそろえます。微分が負だから負の人員を雇うという意味ではありません。
材料を九単位使う最適案なら、単価の小さい上昇は利益をおよそ九倍だけ下げます。同じ式で賃金への局所的な傾きから、最適な労働投入を読むこともできます。人数と労働時間のどちらを単位にしたかは別に指定します。
投入価格変更は、投入の代替や産出の調整も起こしえます。局所的な利益の傾きが元の投入量で測れることと、変更後も投入量を据え置くことは同じではありません。
材料の費用率を一円/単位として書けば、負の微分の単位は材料単位です。負号を除いた量を、製品の個数と同じ単位として足しません。
大きな価格変更では、選ぶ案も変わる
消費者の最低支出でも、価格への傾きから最安の購入量を得るShephard補題があります。固定候補を線形な価格で評価する最適化という構造が、二つの関係を結びます。
ただし企業は利益の最大値、消費者は指定した満足の最低支出です。目的の向きと投入の符号を区別して使います。同じ名称の数量復元でも、通常需要を求めるRoy恒等式の効用微分の比とは別です。
価格変更が大きければ、途中で最適な量も変わります。元の供給量に全値上げ幅を掛けると一次近似にはなっても、最大利益の全差額を正確に測るとは限りません。
企業の利益が価格と一緒に動いた観察だけから、供給量をこの式で推定することもできません。技術、他の投入価格、選べる案が同時に変化していないことを、まず模型の条件としてそろえます。
例の売値が6.1のとき最適量は3.05です。増分の0.0025が元の量3による一次近似との差で、再最適化した量の変更を含みます。
- 製品価格の微分
最適供給量に対応し、増加方向。
- 正の投入価格の微分
最適投入量の負値で、減少方向。
微分可能な最適値と一意の生産案を条件にする。
架空の例:売値と材料単価で逆の符号
産出qを作るため材料q²が必要で、利益はpq−rq²、pとrは正とします。最適q=p/(2r)、最大利益π=p²/(4r)です。p=6、r=1ならq=3、材料9、利益9になります。
製品価格への傾きp/(2r)は3、材料単価への傾き−p²/(4r²)は−9です。pを6.1へ動かすと最大利益9.3025で、増分0.3025は局所近似3×0.1=0.3に近くなります。有限の差が完全に同じという式ではありません。
持ち帰る見方
- 最大利益の傾きから量を戻すとき、製品と投入の符号をそろえる。
- 一点の微分と有限変更の全差額を分ける。
次に広がる疑問
- 離散的な生産案でも供給の方向を判断できる?
順番に読んでいる方へ
出典
Producer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/098a320a59e36314b0456cd175a4e8eb_MIT14_121F15_4S.pdf
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
売値一円の増加は、選んだ量に効く
微分可能な最大利益関数の製品価格微分は最適供給数量に等しい。
- 対象
- Hotelling補題の出力価格微分=供給量/投入費用微分=負の投入量を符号と単位で示す。
- 条件
- 固定技術・価格受容、最適生産案一意、最大利益が微分可能な点、投入は正の費用率で表す。
- 例外・限界
- 折れ点・同率最適案・有限価格変化を一つの傾きで処理しない。会計決算の価格微分の実測ではない。
Producer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/098a320a59e36314b0456cd175a4e8eb_MIT14_121F15_4S.pdf
投入費用の傾きには負号が付く
投入を正の費用率で表す場合、最大利益の投入価格微分は最適投入量の負値となる。
- 対象
- Hotelling補題の出力価格微分=供給量/投入費用微分=負の投入量を符号と単位で示す。
- 条件
- 固定技術・価格受容、最適生産案一意、最大利益が微分可能な点、投入は正の費用率で表す。
- 例外・限界
- 折れ点・同率最適案・有限価格変化を一つの傾きで処理しない。会計決算の価格微分の実測ではない。
Producer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/098a320a59e36314b0456cd175a4e8eb_MIT14_121F15_4S.pdf
大きな価格変更では、選ぶ案も変わる
同じ生産集合の線形評価を最大化する問題は、消費者の最低支出問題と符号を変えた対応を持つ。
- 対象
- Hotelling補題の出力価格微分=供給量/投入費用微分=負の投入量を符号と単位で示す。
- 条件
- 固定技術・価格受容、最適生産案一意、最大利益が微分可能な点、投入は正の費用率で表す。
- 例外・限界
- 折れ点・同率最適案・有限価格変化を一つの傾きで処理しない。会計決算の価格微分の実測ではない。
Producer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/098a320a59e36314b0456cd175a4e8eb_MIT14_121F15_4S.pdf