経済の基礎
費用と売値が分かれば、会社が選ぶ生産案は一つに決まる?
会社が作れる生産案を全て並べ、同じ期間の売上と投入費用の差を比較します。最も高い利益の案が同率なら、答えは一つではありません。売値と費用だけでなく、何が実行できる案かを指定することが必要です。
基本の用語
価格受容の企業模型では、自社の販売量で市場の単価を変えないとします。生産技術と全ての費用の範囲を固定して比較します。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 売上が増えれば、会社はもうかる?売上・費用・利益と現金の違い
- もう一つ増やすかどうかは、何を比べる?限界費用と限界便益は、量を変える前後の差。
作れる案の中から差額を比べる
生産案には、作る量とそれに必要な材料、人、設備を一緒に含めます。製品価格を数量へ掛けた売上から、各投入量にその期間の単価を掛けた費用を引きます。案全体の差額が、利益を最大にする比較の対象です。
実行可能な集合には、技術で作れること、利用できる投入や能力の制約が入ります。計算上の利益が高くても作れない組合せは候補ではありません。逆に休止が可能なら、休止案の収入と残る費用も同じ比較へ入れます。
滑らかな内点なら追加の収入と費用を釣り合わせる式が手掛かりになりますが、その式だけで全候補の最大を確認したことにはなりません。固定費や工場の不可分性があるなら、まとまりの案どうしの利益も比べます。
企業が何を作れるかを集合Y、価格一覧をpと書けば、各案の純収入p·yが最大の案をYの中から選ぶ問題です。ここでは費用を正の金額で書いて売上から引き、製品と投入の符号を取り違えないようにします。
候補を足すときは、追加案を無償で使えるという条件かも確かめます。設備の購入費を案の費用へ入れたなら、その差額を含めて順位を付けます。
価格を決める企業とは条件が違う
この模型の企業は製品価格も投入単価も所与として受け取ります。どの量を作っても同じ単価で売れるという比較なので、増産に伴って全商品の値札を下げる企業の売上計算とは違います。
販売量を増やすため値下げが必要なら、単価×追加数量だけが追加売上ではありません。元の販売分への値下げも含む収入の関係を使い、生産案ごとの総収入を比較し直します。価格受容の結論を独占企業へそのまま移しません。
費用にはどの資源の機会費用を入れたかもそろえます。会計上の費用だけの表と、代わりに使えた資源の機会費用を含む経済モデルの利益は、同じ数字になるとは限りません。比較する期間と費用範囲を統一します。
利益最大化はこの企業模型の目的として置いています。現実の組織にある品質目標や複数の担当者の事情が、利益の数字だけで消えるわけではありません。与えた目的と候補に対して最適かを計算します。
各候補の費用だけの順位では、作る量が違う案を比べられません。同じ単価でも量によって売上が異なるので、売上と費用を同時に表示します。
同率の案を、勝手に一つへ絞らない
二案の最大利益が同じなら、両方が最適です。その一方を勝手に唯一の答えにすると、価格変更に対する動き方も取り違えます。最適解を集合として残しておく意味があります。
さらに実行可能集合が凸なら、同率の二つの最適案を同じ割合で混ぜた案も最適です。価格の線形評価なので、同じ最大利益の平均も最大利益のままです。混合案を実際に作れるという技術の条件が必要です。
工場を丸ごと一つ選ぶだけで中間の案を作れないなら、同率二案の間の全数量まで最適とは言えません。同率の候補が複数あることと、連続した最適案があることは別の条件です。
新しい設備で候補が増えれば、同じ価格での最大利益は以前より低下しません。以前の最適案も残るからです。ただし導入費用や旧案の廃止を含めると、単純な候補の追加ではなく、比較問題自体を変更します。
例では5個案と10個案が違う投入を使うかもしれません。同じ利益になることだけでは、従業員数や設備量まで等しいとは言えません。
- 利益の評価
同じ価格で、各案の売上から全投入費用を引く。
- 実行可能性
高い評価でも、作れない案は候補にしない。
- 同率の最大
候補を全て残し、中間案は技術の条件を確認する。
混合案が可能かは生産集合の凸性を確かめる。
架空の例:利益5になる二つの案
作らない案は売上・費用とも0、5個作る案は費用5、10個作る案は費用15とします。製品単価2で全量を売れるなら、利益は順に0、5、5です。5個案と10個案が同率で最適です。費用は同じ期間の全費用とします。
両案を半分ずつ実行して7.5個、費用10にできる技術なら、利益も15−10=5です。一方、二つの設備を丸ごと一つ選ぶ条件なら7.5個案は候補にありません。同じ二案の利益表でも、可能な集合で最適案の範囲が変わります。
持ち帰る見方
- 最大利益の選択は、目的の式と実行可能集合の両方を必要とする。
- 同率の二案と、その間の混合案の可能性を分ける。
次に広がる疑問
- 価格が変わると、最大利益と最適な量はどう動く?
順番に読んでいる方へ
出典
Producer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/098a320a59e36314b0456cd175a4e8eb_MIT14_121F15_4S.pdf
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
作れる案の中から差額を比べる
価格受容企業は実現可能な生産集合の中で収入から投入費用を引いた利益を最大化する。
- 対象
- 価格受容企業の実行可能な生産案を丸ごと比較し、最大利益の同率解と生産技術の制約を示す。
- 条件
- 価格受容・固定された実現可能生産集合・期間と費用範囲を統一、最大化が存在する有限候補例。
- 例外・限界
- 最適案は複数ありうる。売値を自社で変える企業や内部の複数目的を同じ模型で説明しない。
Producer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/098a320a59e36314b0456cd175a4e8eb_MIT14_121F15_4S.pdf
価格を決める企業とは条件が違う
この企業模型では製品価格と投入価格は企業に与えられる。
- 対象
- 価格受容企業の実行可能な生産案を丸ごと比較し、最大利益の同率解と生産技術の制約を示す。
- 条件
- 価格受容・固定された実現可能生産集合・期間と費用範囲を統一、最大化が存在する有限候補例。
- 例外・限界
- 最適案は複数ありうる。売値を自社で変える企業や内部の複数目的を同じ模型で説明しない。
Producer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/098a320a59e36314b0456cd175a4e8eb_MIT14_121F15_4S.pdf
同率の案を、勝手に一つへ絞らない
最適生産案は集合として表せ、凸な実行可能集合では最適案の集合も凸である。
- 対象
- 価格受容企業の実行可能な生産案を丸ごと比較し、最大利益の同率解と生産技術の制約を示す。
- 条件
- 価格受容・固定された実現可能生産集合・期間と費用範囲を統一、最大化が存在する有限候補例。
- 例外・限界
- 最適案は複数ありうる。売値を自社で変える企業や内部の複数目的を同じ模型で説明しない。
Producer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/098a320a59e36314b0456cd175a4e8eb_MIT14_121F15_4S.pdf