経済の基礎
二人が物を交換するとき、改善できなくなる組合せは一つ?
二人二財の総量を固定しても、改善余地のない配分は一つとは限りません。内点では二人の交換評価を比べ、効率的な配分を集めた契約曲線と、双方が初期配分よりよくなる範囲を分けます。
基本の用語
パレート改善は誰も悪くせず誰かを良くする変更です。そのような変更が実現できなくなるのがパレート効率です。ここでは生産を変えず、二人が既存の二財を分ける交換経済を考えます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 誰も損をしない改善だけで、公平な社会になる?合計の得と、各人が悪くならないことを分ける。
- 各自が自分の得を選ぶ市場で、無駄のない配分になる条件は?価格を受け入れる人々が自分の好みと採算で選ぶと、一定の条件では、誰も悪くせず誰かをよくする余地のない配分になります。
二人の配分を一つの点にする
食べ物xと飲み物yがそれぞれ合計10あるとします。Aへxを3、yを7渡す点を決めれば、Bの量はxを7、yを3と決まります。二人の配分を別々の四つの数字で並べなくても、Aの二量で全配分を表せます。
横幅をxの総量、縦幅をyの総量とする箱がEdgeworth箱です。Aは一方の角から、Bは反対側の角から自分の量を読みます。箱の点は全量を配り切った状態であり、各財の残りが相手へ渡ることを表しています。
箱の中の別の点へ移ることが交換です。箱の広さは固定した総量なので、量を増産する効果はこの図に入りません。実現できる配分の集合と、それぞれが好む方向を重ねて、交換の余地を調べます。
交換したい比率を比べる
各人の限界代替率MRSは、評価を同じに保ちながら一財と他財を少量交換したい比率です。二人の比率が違えば、間の交換比率を使って双方を改善できる余地があります。滑らかな凸の好みの内点では、効率的な点でこの比率がそろいます。
独自例で二人ともu=√(xy)なら、MRSはy÷xです。Aの量が(x,y)、Bが(10−x,10−y)なので、一致はy÷x=(10−y)÷(10−x)です。内点で整理するとx=yとなり、Aの二財の量が同じになる点が効率的な候補です。
接線条件を使うのは両財が正の内点です。全財を一人が持つ角では分母ゼロや微分の限界にぶつかるため、別の配分で誰も悪くせず改善できるかという定義に戻ります。式の適用範囲を超えて角を捨てません。
効率的でも取り分は一つでない
効率的な点をつないだ契約曲線は、この同じ好みの例なら箱の対角線です。Aが2/2、Bが8/8でも、Aが5/5、Bが5/5でも効率的です。取り分は大きく違っても、誰も悪くせず誰かを良くする追加交換は残りません。
初期配分がAの3/7、Bの7/3なら、双方の効用は√21です。交換後Aがt/tを取る対角線上では、Aの効用はt、Bは10−tです。双方が初めより悪くならない範囲は、√21≤t≤10−√21に限られます。
契約曲線全体が、初期配分から自発的に受け入れられる範囲ではありません。効率性、初期配分からの改善、取り分の公平さは別の判定です。市場の価格や交渉ルールを入れれば、どの点を選ぶかという次の問題が残ります。
- 5/5ずつ
効率的。初期3/7・7/3から双方改善する。
- A2/2・B8/8
効率的。Aは初期配分より悪くなる。
- 初期3/7・7/3
全量配分済みだが、双方改善する交換が残る。
総量各10、両者の好み√(xy)という架空例です。x/y表記です。端点はMRS一致ではなく改善の定義で判定します。
架空の例:効率的な点と受け入れられる点
総量はxもyも10、双方の効用は√(xy)です。初めの3/7と7/3から5/5ずつへ移ると、効用は双方約4.58から5へ上がります。改善後は対角線上なので追加の双方改善はありません。
対角線上でもAを2/2、Bを8/8にすればAは初めより悪くなります。効率的であっても、初期配分から全員が受け入れる移動とは限りません。角の0/0と10/10も効率的ですが、その分配をよいと評価する結論ではありません。
持ち帰る見方
- 総量を配り切っただけで効率的とは限らない。
- 契約曲線の全点と、初期配分から双方が受け入れる範囲を分ける。
次に広がる疑問
- 望む効率的配分を価格で支える条件は?
- 一部の人が抜けて別の配分を作れる?
順番に読んでいる方へ
出典
Intermediate Microeconomics, Chapter 14: General Equilibrium(Oregon State University / Patrick M. Emerson)https://open.oregonstate.education/intermediatemicroeconomics/chapter/module-14/
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
二人の配分を一つの点にする
Edgeworth箱の一つの点は、総量を二人へ配り切った二財の配分を表す。
- 対象
- 二財の固定総量から契約曲線を考え、効率的配分の集合と初期配分の違いを示す。
- 条件
- 二人二財、総量固定、財可分、双方の選好は同じ滑らかな厳密準凹・増加、内点ではMRS一致。独自例u=√(xy)、総量各10。
- 例外・限界
- 端点ではMRSの式を使わず改善の定義で判定。契約曲線の全点が初期配分から双方受入可能とは限らない。教材方位・式添字誤記は不採用。
Intermediate Microeconomics, Chapter 14: General Equilibrium(Oregon State University / Patrick M. Emerson)https://open.oregonstate.education/intermediatemicroeconomics/chapter/module-14/
交換したい比率を比べる
滑らかな凸選好の内点で双方のMRSが異なれば、相互改善する交換余地がある。
- 対象
- 二財の固定総量から契約曲線を考え、効率的配分の集合と初期配分の違いを示す。
- 条件
- 二人二財、総量固定、財可分、双方の選好は同じ滑らかな厳密準凹・増加、内点ではMRS一致。独自例u=√(xy)、総量各10。
- 例外・限界
- 端点ではMRSの式を使わず改善の定義で判定。契約曲線の全点が初期配分から双方受入可能とは限らない。教材方位・式添字誤記は不採用。
Intermediate Microeconomics, Chapter 14: General Equilibrium(Oregon State University / Patrick M. Emerson)https://open.oregonstate.education/intermediatemicroeconomics/chapter/module-14/
効率的でも取り分は一つでない
契約曲線はパレート効率的な配分をつなぎ、効率的配分が複数あることを示す。
- 対象
- 二財の固定総量から契約曲線を考え、効率的配分の集合と初期配分の違いを示す。
- 条件
- 二人二財、総量固定、財可分、双方の選好は同じ滑らかな厳密準凹・増加、内点ではMRS一致。独自例u=√(xy)、総量各10。
- 例外・限界
- 端点ではMRSの式を使わず改善の定義で判定。契約曲線の全点が初期配分から双方受入可能とは限らない。教材方位・式添字誤記は不採用。
Intermediate Microeconomics, Chapter 14: General Equilibrium(Oregon State University / Patrick M. Emerson)https://open.oregonstate.education/intermediatemicroeconomics/chapter/module-14/