経済の基礎

一個を最も安く作る方法なら、会社全体の利益も最大になる?

同じ生産量を最も安く作っても、その量が会社全体の利益を最大にするとは限りません。まず各量の最低費用を求め、次に売上からその最低費用を引いて、どの量を作るかを選びます。費用最小化と利益最大化の二段階です。

基本の用語

投入の組合せを変えて同じ量を安く作る問題と、作る量そのものを変える問題を分けます。製品価格は企業に与えられます。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

まず、同じ量を安く作る

一日に20個作れる投入の候補がいくつかあるとします。費用120の案と100の案で、品質と量が同じなら、価格に関係なく100の案の方が利益を高くできます。この比較では20個という産出を固定しています。

各産出qについて、技術的にqを作れる投入を並べて最低費用C(q)を求めます。賃金や材料単価が変われば、この費用関数も変わります。投入価格を固定した一枚のC(q)を作ってから、産出選択へ進みます。

効率のよい投入比率を選ぶことと、設備を大きくすることは違います。生産量を固定した費用最小化で「人を機械へ替える」という答えが出ても、全体の最適な産出量までそのまま決まるわけではありません。

最低費用を選ぶ案が複数なら、どの案でも同じC(q)です。二段階目はこの最低額を使うため、投入案の同率と産出量の同率を別々に管理できます。

C(q)は一個あたり費用でなく、q個を最安で作る総費用です。pqから平均費用を引くと単位がそろわず、会社全体の利益になりません。

次に、何個作るかを選ぶ

製品価格pが与えられるなら、産出qの売上はpqです。利益を最大にする量は、pq−C(q)が最大のqとして選べます。各産出では最安の方法を使うので、無駄に高い投入費用の案を残す必要はありません。

候補に休止を含めるなら、その収入と費用も並べます。固定費が残る条件では休止の利益がゼロとは限らず、その額を他の産出と同じ期間で比較します。費用関数のどこに固定費を含めたかを明記します。

滑らかな内点ならpと限界費用の一致が候補を探す条件になります。ただし全体の最大化には、端点、容量上限、離散的な案も比べます。微分がゼロという一点の条件だけで全案の最適が保証されるわけではありません。

投入を選ぶ元の問題を、この最低費用を使った一産出の問題へ書き換えるのが要点です。最安の技術を決める段階と、売値を使って規模を決める段階に、情報の役割を分けられます。

量を選んだあと、最安の投入案へ戻すことで元の企業問題の答えを作れます。二段階目の産出だけでは、人と設備の組合せはまだ表示されません。

平均費用の最小点とは違う

平均費用C(q)/qが最低になる量は、一個あたりの費用を最小にする量です。一方、利益最大の量は総売上と総費用の差を最大にします。比べている目的が違うため、両者は一致しなくてもかまいません。

平均費用が少し高くなる量でも、増えた産出の売上が追加費用より大きければ、総利益は増えます。単価の低さだけで規模を止めると、この追加の利益を落とすことがあります。

同じ費用関数を保って製品価格だけを上げると、この産出の利益最大化には供給の法則を使えます。ただし賃金や材料費も上がってC(q)が変わる場合は、価格だけの比較ではありません。

会社の規模を評価する際は、一個を安く作れたという情報と、選んだ量で最大利益を得たという情報を分けます。販売可能性や容量、固定費の条件をそろえた利益表で、量の選択まで確かめます。

例で20から30個へ増やす追加費用は80、価格9での追加売上は90です。平均費用が上がる一方で、追加利益10は正になっています。

最安の技術、最大利益の量、最小平均費用
  • 費用最小化

    産出を固定し、同じ量を最も安く作る。

  • 利益最大化

    最低費用と売値を使い、産出量も選ぶ。

  • 平均費用最小

    一個あたりの費用を比べる別の目的。

どの量でも先に投入の費用を最小化する。

架空の例:最安の平均費用は20個、最大利益は30個

各量の最低費用が、10個で60、20個で100、30個で180、休止で0とします。平均費用は6、5、6なので20個が最も低いです。これは各量の投入を既に最安化した表です。

製品価格9なら総利益は30、80、90、休止0で30個を選びます。平均費用は20個より高くても、総利益は高いです。価格5.5なら利益−5、10、−15、0となり20個を選びます。平均費用だけの順位では、売値による規模の違いを読めません。

持ち帰る見方

  • 投入の費用最小化と、産出の利益最大化を二段階で行う。
  • 平均費用が最低の量が、利益最大の量とは限らない。

次に広がる疑問

  • 選択肢が離散でも、条件による量の方向を調べられる?

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出典

  • Producer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/098a320a59e36314b0456cd175a4e8eb_MIT14_121F15_4S.pdf

    確認日:2026-10-07

本文の出典・補足

まず、同じ量を安く作る

所定の産出を実現する投入の最低費用を費用関数として定められる。

対象
産出ごとの費用最小化と、最低費用を用いた産出の利益最大化を二段階で分ける。
条件
一製品・価格受容・各産出で費用最小化解存在、固定技術・全費用を同期間で比較。
例外・限界
平均費用が最小の産出が利益最大とは限らない。容量上限や固定費による非凸性も全案で比較する。
  • Producer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/098a320a59e36314b0456cd175a4e8eb_MIT14_121F15_4S.pdf

次に、何個作るかを選ぶ

企業の利益最大化は、産出に製品価格を掛け最低費用を引いた値の最大化へ書き換えられる。

対象
産出ごとの費用最小化と、最低費用を用いた産出の利益最大化を二段階で分ける。
条件
一製品・価格受容・各産出で費用最小化解存在、固定技術・全費用を同期間で比較。
例外・限界
平均費用が最小の産出が利益最大とは限らない。容量上限や固定費による非凸性も全案で比較する。
  • Producer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/098a320a59e36314b0456cd175a4e8eb_MIT14_121F15_4S.pdf

平均費用の最小点とは違う

費用を最小化したうえで選ぶ産出量は価格上昇で弱く増加する。

対象
産出ごとの費用最小化と、最低費用を用いた産出の利益最大化を二段階で分ける。
条件
一製品・価格受容・各産出で費用最小化解存在、固定技術・全費用を同期間で比較。
例外・限界
平均費用が最小の産出が利益最大とは限らない。容量上限や固定費による非凸性も全案で比較する。
  • Producer Theory — MIT 14.121 (2015)(MIT OpenCourseWare / Alexander Wolitzky)https://ocw.mit.edu/courses/14-121-microeconomic-theory-i-fall-2015/098a320a59e36314b0456cd175a4e8eb_MIT14_121F15_4S.pdf