国際関係

安保理で賛成が多くても、決議が成立しないのはなぜ?

安保理の決定は賛成票の多さだけでは成立しません。手続事項では9票の賛成、その他の事項では9票に加え常任理事国の反対がないことが関わります。常任理事国の棄権は、実務では拒否権と同じではありません。決定の種類と各国の票を確認します。

基本の用語

安全保障理事会は15理事国で構成され、5か国が常任理事国です。国連総会と安保理には、異なる投票の仕組みがあります。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

まず決定の種類と賛成票を数える

国連憲章第27条は、各理事国が一票を持ち、手続事項の決定には9理事国の賛成を要すると定めています。会議の進め方などを扱う手続事項と、それ以外の事項を分けることが投票を読む出発点です。安保理の全ての決定を同じ票の条件で説明することはできません。

その他の事項では、常任理事国の同意投票を含む9理事国の賛成という条件があります。単に「15か国の過半数なら決まる」という多数決ではありません。賛成が8票しかない場合には、常任理事国の反対がなくても、必要な9票を満たしていません。

ニュースの票数を読むときは、どんな決定か、賛成は何票か、そのうえで常任理事国がどう投票したかを調べます。「多くの国が賛成した」ことは支持の広さを示す情報ですが、それだけで採択の条件が全部そろったとは分かりません。

常任理事国の反対と棄権は違う

国連の投票説明では、非手続事項で常任理事国の一国が反対票を投じると、決議案は承認されないとしています。この特別な力が拒否権です。賛成が多数でも常任理事国の反対があると成立しないため、反対した国の立場が重要になります。

一方、常任理事国が反対でなく棄権する場合、実務では必要な9票の賛成があれば採択できます。憲章の「同意投票」という文言だけから、全常任理事国の明示的な賛成票が常に必要だと読むと、実際の棄権の扱いを取り違えます。反対、棄権、賛成を別々に数えます。

非常任理事国の反対には、同じ意味の拒否権はありません。ただし、その反対で賛成数が9に届かなくなる場合は、採択に関わります。棄権も賛成票へ加えるものではありません。拒否権があるかと、賛成票数が足りるかという二つの条件を確認します。

採択後の効力は別の問いになる

第27条には、第6章や第52条3に基づく決定について、紛争当事国が棄権しなければならないという規定もあります。どの章や条項に基づく決定かが条件で、紛争に関係する投票なら全て一律に棄権義務があるという説明にはできません。

また、採択されたことと、その決議が誰にどんな法的効果を持つかは別です。勧告なのか、具体的な行動を決めているのか、対象は誰かを決議本文と憲章から読みます。票の仕組みを知っても、決議の全ての文章が同じ強さの義務になるわけではありません。

逆に、案が採択されなかった場合、その案の法的効果が発生したとは扱いません。しかし反対理由や各国の支持の情報は残ります。報道を説明するときは、提案した内容、投票、採択の成否、採択後の実施を分け、どの段階について話しているかを示します。

非手続事項で確認する二つの条件
  • 賛成数

    9理事国以上が賛成したか

  • 常任理事国の投票

    反対による拒否権があるか。棄権は実務上それと異なる

手続事項の決定は9賛成による。

同じ賛成数で結果が違う場合

非手続事項の決議案に10か国が賛成したとする架空の例です。残り5か国のうち常任理事国が一国反対した場合、賛成は9票以上でも拒否権により採択されません。

別の案に10か国が賛成し、常任理事国の一国は棄権、他の常任理事国は賛成だったとします。この場合、常任理事国の棄権だけで拒否権が使われたとは言いません。実際の案件では、非手続事項か、全投票の内訳は何かも確認します。

持ち帰る見方

  • 手続事項とそれ以外を分け、まず9賛成の条件を確認する。
  • 非手続事項では常任理事国の反対と棄権を区別する。
  • 採択の成否と、決議の法的効果や実施は別に読む。

次に広がる疑問

  • 国連決議の機関と法的性質
  • 安保理と安全保障の手段
  • 制裁決定から実施への経路

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出典

  • 国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/

    確認日:2026-10-04

  • Voting System(国連安全保障理事会)https://main.un.org/securitycouncil/en/content/voting-system

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

まず決定の種類と賛成票を数える

安保理は15理事国で構成され、手続事項の決定は9理事国の賛成による。それ以外は常任理事国の同意投票を含む9賛成を要する。

対象
15理事国による安保理決定の採択と常任理事国の投票:まず決定の種類と賛成票を数える
条件
15理事国各1票。手続事項と実質事項の分類
例外・限界
総会の多数決へ同じ規則を流用しない
  • 国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/

  • Voting System(国連安全保障理事会)https://main.un.org/securitycouncil/en/content/voting-system

常任理事国の反対と棄権は違う

実務では非手続事項で常任理事国が反対すると拒否権となり採択されないが、常任理事国の棄権は必要な9賛成があれば採択を妨げない。

対象
15理事国による安保理決定の採択と常任理事国の投票:常任理事国の反対と棄権は違う
条件
非手続事項での反対、棄権だけで賛成数が増えるわけではない
例外・限界
非常任理事国の反対に同じ拒否権はない
  • Voting System(国連安全保障理事会)https://main.un.org/securitycouncil/en/content/voting-system

採択後の効力は別の問いになる

憲章第27条3は第6章及び第52条3に基づく決定で紛争当事国の棄権を規定する。採択と決議の法的性質・実施は別に確認する。

対象
15理事国による安保理決定の採択と常任理事国の投票:採択後の効力は別の問いになる
条件
適用対象の章・条文を限定して示す
例外・限界
どの紛争に関する投票でも一律に棄権義務があるとしない
  • 国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/