国際関係
国連への加盟は、総会の多数決だけで決まる?
国連への加盟には、安保理の勧告に基づく総会の決定が必要です。総会で多くの国が支持したことだけで加盟は成立しません。加盟資格の判断、安保理での勧告、総会での承認という別々の条件を追います。
基本の用語
国連は憲章に基づく国際機構です。ある国が加盟を望むことと、機構が加盟を承認することは別です。ここでは憲章第4条と投票の規定を組み合わせます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 国連の決議は、全部の国を同じように拘束する?機関名と文書の内容を合わせて読む。
加盟資格と申請を分ける
国連憲章第4条は、憲章の義務を受諾し、それを履行する能力と意思があると国連が認める、他のすべての平和愛好国に加盟を開放しています。国であることに加え、義務の受諾と履行についての資格判断が含まれます。
国連に参加したいという意思を示すことは、機構から地位を承認されることと同じではありません。申請した、支持する国が増えた、審議が行われた、承認されたというニュースを同じ段階として読まないようにします。
資格について意見があることと、所定の機関で決定が成立することも区別します。政治的な支持の広がりは判断材料ですが、支持国数がそのまま加盟国数や手続の完了を表すわけではありません。決定した機関と文書を確認します。
安保理の勧告が必要になる
第4条2項では、加盟の承認は安保理の勧告に基づく総会の決定によると定めています。この二つは別の機関の判断です。総会で支持が多いからといって、加盟承認のための安保理の勧告という段階を省けません。
安保理の投票では、第27条の手続事項とそれ以外の事項で条件が違います。加盟勧告は手続事項以外の決定として確認します。常任理事国の反対があると採択が妨げられるため、賛成の数だけで結果を決めることはできません。
したがって「安保理で投票した」という見出しだけでは、勧告が成立したかが不明です。賛成票、反対票、どの国の反対か、文書が勧告として採択されたかを確かめます。棄権と反対の実務上の違いは、安保理の投票の記事も併せて読みます。
総会の票は投票した国で数える
第18条は、新加盟国の承認を重要問題に含めています。重要問題の決定には、出席し、かつ投票する構成国の3分の2の多数が必要です。「国連加盟国全体の3分の2」と同じ分母ではないことに注意します。
「出席した国」と「出席し、かつ投票した国」を同じ数と決めず、決議の投票記録と分母を確認します。加盟国全体の数をそのまま使うと、採択に必要な数を取り違える可能性があります。分母を含めた規定の言葉を読んでから、賛成の数を比べます。
総会の票条件を満たすことだけでも手続の全体は説明できません。安保理の勧告があり、それに基づいて総会が加盟承認を決定したかを読みます。機関ごとの投票規則と、機関どうしのつながりの両方が必要です。
加盟のどの段階の報道かを読む
最初に申請の対象を確認し、次に安保理の勧告の有無、総会の加盟承認決定を探します。国連についての別の決議が採択されたことを、加盟承認決定が出たことと入れ替えません。文書が何を決めたかを確かめます。
実在の申請の成否はその時の採択文書と投票記録で読みます。この手続の説明だけで、特定の地域が加盟資格を満たすかを裁定したことにはなりません。申請、支持、勧告、承認を分けると、未了の条件を具体的に示せます。
- 加盟資格
憲章義務の受諾と履行の能力・意思等を検討
- 安保理
投票条件を満たして加盟を勧告
- 総会
勧告に基づき重要問題の多数条件で承認
総会の支持多数だけで安保理の勧告を省けない。
出席した180か国すべてが投票する場合
架空の総会で、出席した180か国すべてが投票し、賛成120か国、反対60か国だったとします。出席し投票した国の3分の2は180×2/3=120です。この票だけを見れば、重要問題の多数条件を満たします。
ただし、加盟承認には安保理の勧告も必要です。総会の票の計算ができることと、加盟手続全体の条件がそろうことは別です。総会で多数が成立したという情報を、安保理の勧告まで成立したという情報へ置き換えません。
持ち帰る見方
- 加盟には安保理の勧告と総会の決定が必要。
- 総会の分母は出席して投票した国。
- 申請、政治的支持、正式な承認を分ける。
次に広がる疑問
- 国連の決議は、全部の国を同じように拘束する?
- 安保理で賛成が多くても、決議が成立しないのはなぜ?
- 条約に署名したら、すぐその国の義務になる?
順番に読んでいる方へ
出典
国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
加盟資格と申請を分ける
加盟は憲章義務を受諾し、履行の能力と意思があると機構が認める平和愛好国に開放される。
- 対象
- 第4条1項
- 条件
- 機構による資格判断
- 例外・限界
- 申請の提出だけで加盟地位は得られない
国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/
安保理の勧告が必要になる
国連加盟の承認は安保理の勧告に基づく総会の決定で行われる。
- 対象
- 第4条2項・27条
- 条件
- 加盟勧告は手続事項以外の投票条件も読む
- 例外・限界
- 総会の支持多数だけで安保理段階を飛び越えない
国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/
総会の票は投票した国で数える
新加盟国の承認は重要問題で、総会の出席し投票する国の3分の2が必要である。
- 対象
- 第18条2項
- 条件
- 投票する国の分母。加盟国総数ではない
- 例外・限界
- 加盟国全体の3分の2という分母に置き換えない
国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/