国際関係

国連に入った国は、総会だけで追放されることがある?

総会だけで加盟国を自由に追放できる制度ではありません。国連憲章は権利・特権の行使停止と除名を分け、どちらも安保理の勧告に基づく総会の決定を定めます。停止からの回復は安保理の権限で、加盟を終わらせる除名とは効果も違います。

基本の用語

加盟の承認、加盟後の権利の行使、機構からの除名は別の問いです。国連憲章第5・6条と総会の重要問題の票条件を合わせて読みます。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

権利の停止と加盟の終了を分ける

第5条は、安保理の防止行動又は強制行動の対象となった加盟国について、加盟国としての権利と特権の行使を停止できるとします。対象国、安保理の行動、停止する権利の行使を具体的に結び付けて読みます。

停止を決めるのは、安保理の勧告に基づく総会です。安保理が何らかの措置をとったことだけでも、総会で多数が支持したことだけでも、この二つの機関の関係をすべて説明したことにはなりません。

停止された権利と特権の行使は安保理が回復できます。停止と回復でどの機関が何をするかは違います。権利の行使を止めることを、機構から除名して加盟そのものを終わらせることと同じ表現にしません。

除名には固有の条件と二つの機関がある

第6条では、憲章に掲げる原則に執ように違反した加盟国を、安保理の勧告に基づいて総会が除名できます。停止の条項が扱う安保理の行動対象という条件と、除名の条項が扱う原則への違反という条件を混ぜないことが必要です。

国際政治上の批判が強いことや、ある会議で多数の国が非難したことを、そのまま第6条の除名が行われた証拠にはしません。提案、勧告、総会の決定がそれぞれどの文書で示されているかを調べます。

権利の停止を求める発表なのか、除名を求める発表なのかによって、確認する条件と効果は変わります。「国連から外す」という見出しだけなら、何の地位や権利が対象かを本文で確かめる必要があります。

効果の違いは、その後の問いにも現れます。権利行使の停止なら回復の権限を読む必要がありますが、除名の話をそのまま第5条の回復として説明することはできません。停止、除名、回復の動詞を文書の中で確かめれば、各機関が何を決めたかを、国への批判の強さと混同せずに追えます。

総会の多数決の数え方を確かめる

第18条は、権利と特権の停止、加盟国の除名を総会の重要問題に含めます。決定には出席し、かつ投票する構成国の3分の2の多数を要します。加盟国全体の数をそのまま分母にする表現とは違います。

この多数条件だけを満たしても、安保理の勧告が必要という機関間の関係は消えません。総会の票を読む欄と、先行する勧告を読む欄を分けると、どの手続が済み、どの段階が残っているかを整理できます。

また、ここでの権利停止や除名を、分担金の滞納に関する総会投票権の扱いや、代表の資格の問題と一括しません。用語が似ていても根拠と対象を確認します。特定国の現在の状態は、この制度の説明だけで判定できません。

国連の会議で発言できるか、票を投じられるか、加盟国としてどんな地位を持つかは、それぞれ調べる対象が違います。停止又は除名を理解する出発点は、ニュースがそのうち何を変更する決定を指しているかを確かめることです。

停止と除名、回復の主体を分ける
  • 権利特権の行使停止

    所定の安保理行動を受けた加盟国について安保理勧告→総会決定

  • 除名

    憲章原則への執ような違反について安保理勧告→総会決定

  • 停止からの回復

    安保理が権利特権の行使を回復できる

停止と除名は総会の重要問題。

勧告と総会の票を分ける架空の例

総会で、出席し投票した150か国のうち100か国が、ある加盟国の権利行使停止に賛成したとします。150の3分の2は100なので、票の多数条件を満たす設定です。

ただし第5条の対象となる安保理の行動と、その停止についての安保理勧告も別に確認します。この票の計算だけで停止の全条件がそろったとはいえません。また停止を除名に読み替えません。

持ち帰る見方

  • 停止・除名・回復を分け、対象条件、安保理の勧告、総会の票をつなげて読みます。

次に広がる疑問

  • 加盟の承認と比べる
  • 総会の票の分母を読む
  • 安保理の勧告に関わる票条件を読む

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出典

  • 国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

権利の停止と加盟の終了を分ける

安保理の防止又は強制行動の対象となった加盟国の権利特権の行使は、安保理勧告に基づく総会決定で停止でき、安保理はその行使を回復できる。

対象
国連憲章第5・6・18条
条件
加盟国としての権利特権の行使停止と除名の憲章上の制度
例外・限界
停止・除名とも安保理勧告と総会決定。分担金滞納による総会投票権喪失や代表資格と混同しない。特定国の実施事実は扱わない。
  • 国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/

除名には固有の条件と二つの機関がある

憲章の原則に執ように違反した加盟国は、安保理勧告に基づく総会決定で除名できる。総会のみが自由に除名できる制度ではない。

対象
国連憲章第5・6・18条
条件
加盟国としての権利特権の行使停止と除名の憲章上の制度
例外・限界
停止・除名とも安保理勧告と総会決定。分担金滞納による総会投票権喪失や代表資格と混同しない。特定国の実施事実は扱わない。
  • 国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/

総会の多数決の数え方を確かめる

権利特権の停止と除名は総会の重要問題で、出席し且つ投票する構成国の3分の2多数による。

対象
国連憲章第5・6・18条
条件
加盟国としての権利特権の行使停止と除名の憲章上の制度
例外・限界
停止・除名とも安保理勧告と総会決定。分担金滞納による総会投票権喪失や代表資格と混同しない。特定国の実施事実は扱わない。
  • 国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/