国際関係

国連総会では、人口が多い国ほど多くの票を持つ?

人口が多くても、国連への分担金が大きくても、総会の票数は加盟国ごとに一票です。ただし、決定に必要な多数は問題の種類で異なり、棄権は「出席し投票する国」の分母に入りません。

基本の用語

多数決を見るときは、一国が何票を持つか、何を決める採決か、どの国を分母に入れるかを分けます。国連総会の一国一票は、会議に出席した国全てを分母にするという意味ではありません。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

人口が違っても加盟国の票は一票

国連憲章第18条1項と総会議事規則第82規則は、加盟国それぞれが一票を持つと定めています。二つの国の人口が大きく違っても、片方の票を何倍かに増やす規則ではありません。分担金の大きさに比例して票を配る仕組みでもありません。

ここで扱うのは総会の採決です。安全保障理事会の常任理事国の拒否権を、総会のある国が持つ特別な票と考えることはできません。一国一票という規則と、別の機関の議決方法を分けると、同じ国連の中でも何が違うかが分かります。

何を決めるかで必要な多数が変わる

平和・安全に関する勧告、新規加盟、予算問題などの重要問題は、出席し投票する加盟国の3分の2多数で決定します。重要問題の修正提案や分割して行う採決についても、第84規則は3分の2多数を求めます。

その他の問題は、出席し投票する加盟国の過半数です。3分の2多数で扱う問題の追加カテゴリーを決める採決自体は、こちらの過半数で決めます。何でも3分の2が必要なのでも、何でも賛成票が反対票を上回れば足りるのでもありません。

棄権は賛成票にも反対票にも数えない

第86規則の「出席し投票する」とは、賛成票か反対票を投じる加盟国のことです。棄権した国は投票しなかったものとして扱われ、この定義による多数計算の分母には入りません。欠席、棄権、反対を、同じ数の反対票としてまとめることはできません。

そのため、会議に出席した国の数だけを見ても、可決に必要な賛成票は求められません。賛成と反対の合計を確かめ、その採決で必要な割合と比べます。棄権は賛成票を一つ増やす行動でもないので、分母から外れることと賛成することを分けます。

滞納がある国の一票をどう扱うか

一国一票には、分担金滞納による投票権の扱いも関わります。憲章第19条では、滞納額が直前の満2年間に支払うべき分担金の合計以上となる加盟国は、総会で投票権を失います。支払いが少し遅れたことだけで、この額の条件を満たすとは限りません。

総会が、支払いをしなかったことがその国にとってやむを得ない事情によると認める場合は、投票を許可できます。これは自動的な免除ではなく総会の判断を要する例外です。人口や分担金で票数を増減させる規則と、一定の滞納条件で投票権を扱う規則は、仕組みが違います。

架空の例10か国出席でも、賛成と反対の合計は9
  • 重要問題

    賛成6・反対3。分母9の3分の2は6。必要多数を満たす。

  • その他の問題

    同じ分母9の過半数は5以上。賛成6は必要多数を満たす。

棄権1は賛成・反対の合計へ加えない。問題の種類で必要な多数を変える。

出席数と投票数を分けて計算する

架空の例

10か国が出席し、賛成6、反対3、棄権1となった採決を考えます。「出席し投票する」国は9か国です。重要問題ならその3分の2は6で、賛成6は必要な多数に達します。

その他の問題なら、9の半分を超える5票以上が必要です。賛成6ならこちらも満たします。棄権1を反対票として足して分母を10にすると重要問題で必要な票が変わりますが、それは第86規則の数え方ではありません。

持ち帰る見方

  • 一国の票数、問題ごとの必要多数、採決の分母を別々に確かめる。
  • 棄権は反対票でも賛成票でもなく、多数計算の分母から外れる。

次に広がる疑問

  • 総会と他の国連機関の役割を読む
  • 安全保障理事会の投票と拒否権を比べる
  • 分担金の決まり方と滞納による投票権を読む

学習地図で、ほかの分野とのつながりを見る

出典

  • 国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/

    確認日:2026-10-04

  • Rules of Procedure of the General Assembly, A/520/Rev.21(United Nations)https://digitallibrary.un.org/record/4087783/files/A_520_Rev.21-EN.pdf

    確認日:2026-10-05

本文の出典・補足

人口が違っても加盟国の票は一票

国連総会では加盟国ごとに一票を持ち、人口や国連への分担金の大きさで票数が増える仕組みではない。

対象
国連総会の加盟国の採決。憲章第18–19条と総会議事規則A/520/Rev.21。
条件
憲章第18条1項と議事規則第82規則による加盟国の投票権。
例外・限界
第19条の滞納による投票権喪失が適用される場合は別に判断する。
  • 国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/

  • Rules of Procedure of the General Assembly, A/520/Rev.21(United Nations)https://digitallibrary.un.org/record/4087783/files/A_520_Rev.21-EN.pdf

何を決めるかで必要な多数が変わる

重要問題の決定は出席し投票する加盟国の3分の2多数、その他の問題は出席し投票する加盟国の過半数で決める。

対象
国連総会の加盟国の採決。憲章第18–19条と総会議事規則A/520/Rev.21。
条件
重要問題には平和・安全に関する勧告、新規加盟、予算問題などが含まれる。重要問題の修正提案や分割採決も3分の2多数による。
例外・限界
3分の2多数で扱う問題の追加カテゴリーを決める採決自体は、その他の問題として過半数で決める。
  • 国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/

  • Rules of Procedure of the General Assembly, A/520/Rev.21(United Nations)https://digitallibrary.un.org/record/4087783/files/A_520_Rev.21-EN.pdf

棄権は賛成票にも反対票にも数えない

「出席し投票する」加盟国とは賛成票または反対票を投じる加盟国を指し、棄権した加盟国は採決の分母に入れない。

対象
国連総会の加盟国の採決。憲章第18–19条と総会議事規則A/520/Rev.21。
条件
第86規則のpresent and votingの定義を、第83–85規則の多数計算に用いる。
例外・限界
会議に出席している全加盟国の数や全加盟国数を、そのまま採決の分母にする規則ではない。
  • Rules of Procedure of the General Assembly, A/520/Rev.21(United Nations)https://digitallibrary.un.org/record/4087783/files/A_520_Rev.21-EN.pdf

滞納がある国の一票をどう扱うか

分担金の滞納額が直前の満2年間に支払うべき分担金の合計以上になる加盟国は総会で投票権を失うが、総会が支払の不履行はその国にとってやむを得ない事情によると認める場合、投票を許可できる。

対象
国連総会の加盟国の採決。憲章第18–19条と総会議事規則A/520/Rev.21。
条件
憲章第19条の額の基準と総会の判断による。単に支払いが少し遅れたというだけで同じ基準を満たすとは限らない。
例外・限界
例外の投票許可は総会がやむを得ない事情と認める場合であり、自動的な免除ではない。
  • 国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/