国際関係
国連憲章は、多数の国が賛成すれば変更できる?
国連憲章の変更は、総会で多数が賛成しただけでは発効しません。第108条では総会構成国の3分の2の採択に加え、すべての常任理事国を含む加盟国の3分の2の批准が要ります。その条件を満たす改正は、批准しなかった国も含む全加盟国へ効力を生じます。
基本の用語
通常の決議を採択することと、国連の基本的な制度を定める憲章自体を変更することは別です。総会での賛成票と、各国が憲法上の手続で行う批准も別の出来事です。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 国連総会では、人口が多い国ほど多くの票を持つ?一国の票数、問題ごとの必要多数、採決の分母を別々に確かめる。
- 安保理で賛成が多くても、決議が成立しないのはなぜ?手続事項とそれ以外を分け、まず9賛成の条件を確認する。
総会の採択だけでは変更は発効しない
憲章第108条は、総会の構成国の3分の2の多数で改正を採択し、その後、加盟国の3分の2が各自の憲法上の手続に従って批准する条件を置きます。さらに、批准する国には安保理のすべての常任理事国を含まなければなりません。
通常の総会の重要問題は「出席し、かつ投票する」国を分母にしますが、憲章改正の第108条は総会の構成国を分母にします。同じ「3分の2」という表現でも、何の数から計算するかが違います。欠席や棄権をした国を自動的に分母から除く説明にはしません。
採択の条件を満たしても、必要な批准がそろっていなければ改正はまだ発効しません。「総会が改正を採択」と「憲章改正が発効」は別の見出しです。採択文書と各国の批准の状況を別々に追います。
一方、すべての条件を満たして発効すれば、その改正はすべての加盟国に効力を生じます。一般の多国間条約の改正で参加しない国を原則拘束しない規則を、この憲章の特別な改正条項へそのまま上書きしません。
常任理事国の批准は安保理の票と違う
ここで必要なのは各常任理事国による批准です。安保理会議で反対したか棄権したかという票の扱いだけを調べても、批准の要件を満たしたかは分かりません。どの機関の何の手続を見ているかを明確にします。
安保理の通常の非手続事項で、常任理事国の棄権が拒否権と同じではないという実務があります。しかしそこから「憲章改正も、常任理事国が明確に反対しなければ批准なしで足りる」とは結論できません。第108条の批准の条件は別です。
再審議会議にも二段階がある
第109条は、憲章を再審議する全体会議について別の経路を定めます。総会構成国の3分の2と、安保理のいずれか9理事国の投票で、会議の日時と場所を決定できます。各加盟国はその会議で一票を持ちます。
会議で3分の2の多数により勧告された変更にも、全常任理事国を含む加盟国3分の2の批准が必要です。会議の開催、変更の勧告、批准、発効は一つの決定ではありません。会議を開けることだけで変更が成立したとしません。
第109条3項には第10通常総会に関する歴史的な規定もあります。現在の一般的な会議開催条件と混ぜず、どの項のどの手続を説明しているかを確認します。第109条1項の安保理9票と、変更のための全常任理事国の批准も、違う要件です。
国連改革についての提言や外交上の合意を見る場合も、提案した主体と採用された手続を確かめます。多くの国が支持を表明することは政治的な支持の情報ですが、憲章の採択と批准の条件を代わりに満たすものではありません。変えたい条文と手続の段階をそろえると、改革の目標と現在の法的な到達点を分けられます。
- 総会で採択
総会構成国の3分の2の多数。
- 各国が批准
全常任理事国を含む加盟国3分の2。各国の憲法上の手続による。
- 発効
条件がそろうと全加盟国に効力を生じる。
総会の賛成票と各国の批准は別の手続。第109条の再審議会議の経路は本文で区別する。
票数が足りても批准を確認する
架空の検討として、第108条に基づく案が総会構成国の3分の2の賛成で採択されたとします。その後、加盟国3分の2の批准があっても、常任理事国の一国が批准していなければ、この条項の条件はそろいません。
支持国や賛成票だけで改正の実現を見積もらず、批准国の数と内訳を読みます。この例は実在の改革案の可否を予測するものではなく、採択と発効を分けるための条件の整理です。
持ち帰る見方
- 第108条は採択と批准の二つを要する。
- 分母と、全常任理事国の批准を確認する。
- 会議開催や勧告は憲章変更の発効とは別。
次に広がる疑問
- 国連総会では、人口が多い国ほど多くの票を持つ?
- 安保理で賛成が多くても、決議が成立しないのはなぜ?
- 条約を改正したら、参加国全部の義務が一度に変わる?
- 国連の決議は、全部の国を同じように拘束する?
順番に読んでいる方へ
出典
国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
総会の採択だけでは変更は発効しない
憲章第108条の改正は総会構成国の3分の2で採択し、常任理事国すべてを含む加盟国の3分の2が各自の憲法上の手続で批准したとき、全加盟国に発効する。
- 対象
- 国連憲章現掲載条文。第108条の総会構成国/加盟国の分母を区別。
- 条件
- 採択は総会構成国、批准は加盟国の分母。
- 例外・限界
- 出席し投票する国の3分の2ではない。批准しなかった国にも発効する特則。
国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/
常任理事国の批准は安保理の票と違う
第108条の常任理事国の批准要件は、その国の憲法上の手続による批准であり、安保理決議での反対・棄権の扱いとは別である。
- 対象
- 国連憲章現掲載条文。第108条の総会構成国/加盟国の分母を区別。
- 条件
- 全常任理事国の批准を要する。
- 例外・限界
- 安保理で棄権が採択を妨げない実務から、憲章改正にも批准なしで足りるとしない。
国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/
再審議会議にも二段階がある
第109条では総会構成国の3分の2と安保理のいずれか9理事国の投票で憲章再審議会議の日時・場所を決定でき、会議の3分の2が勧告する変更も全常任理事国を含む加盟国3分の2の批准を要する。
- 対象
- 国連憲章現掲載条文。第108条の総会構成国/加盟国の分母を区別。
- 条件
- 会議開催と変更勧告、各国批准を区別。
- 例外・限界
- 第109条3項は第10通常総会に関する歴史的規定。第109条1項の安保理投票を全常任理事国の賛成要件としない。
国連憲章テキスト(日本語)(国際連合広報センター)https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/