政治の仕組み

最高裁判所の国民審査は、何を決める投票?

国民審査は、最高裁判所の裁判官を辞めさせるべきかを問う投票です。通常の国内用紙では、罷免を可とする裁判官に×を付け、可としない裁判官の欄は空欄にします。無記入は、集計上の棄権と同じ意味ではありません。

基本の用語

罷免は、職を辞めさせることです。国民審査は最高裁裁判官の任命を審査する制度で、議員を候補者の中から選ぶ選挙や、個別の判決への賛否投票とは異なります。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

国民審査は最高裁裁判官の罷免を問う

最高裁の裁判官は、任命後初めて行われる衆議院総選挙の際に国民審査を受けます。その後は、最初の審査から十年を経過した後の最初の衆院総選挙で再び審査され、以後も同様です。全ての裁判官が総選挙のたびに一律に対象になる仕組みではありません。

衆議院議員の選挙権を持つ人には審査権があります。ただし、国民審査で新しい裁判官を直接選ぶわけではありません。議員選挙と同じ日に行われても、選ぶ対象と問いが異なります。また、全国の全裁判官を審査する制度として読むこともできません。

×印と空欄は別の意思として扱われる

通常の国内用紙には、審査対象となる裁判官の氏名と記載欄が印刷されます。罷免を可とする人の欄には×を記入し、可としない人の欄には何も書きません。空欄で投票したとき、集計上はその裁判官の罷免を可としない側へ数えられます。

「よく知らないので何も書かなかった」という個人の理由と、用紙が制度上どう扱われるかは別です。○や文章など×以外の記載には無効となる規定があります。点字、在外、洋上投票等には別の方式があるため、この通常用紙の説明をそのまま当てはめません。

裁判官ごとに票を比べ、判断材料を読む

裁判官ごとに、罷免を可とする票と、可としない票を比べます。前者が後者より多い場合、その裁判官は罷免を可とされたものとされます。全有権者の過半数が×を付けなければならない、という基準ではありません。

ただし、総投票数が法律に定める名簿登録者総数の100分の1に達しない場合には、この扱いの例外があります。判断の材料として、選管は氏名・経歴などを載せた審査公報を発行します。裁判官を知る資料と、投票結果の集計方法を分けて確認します。

審査結果と、判決の内容は違う情報

×が付いた割合を見たら、どの裁判官の、どの審査で、何を分母にした割合かを確認します。それだけで、ある判決を何人が支持したか、どの争点が評価されたかを読み取ることはできません。審査は個々の判決への賛否を記入する投票ではないからです。

判決を評価したい場合は、事件の事実、結論、判断の理由を読みます。審査公報の経歴を知ることと、特定事件の法律判断を理解することは別の作業です。裁判官の職務に関する判断と、自分の政策上の好みも分けると、考える対象が具体的になります。

審査公報に書かれた経歴を読み、関心のある事件について調べる場合も、対象裁判官が関わった範囲を確かめます。一般的な司法への不満を、その人がその事件で行った判断と同一視せず、具体的に何を評価するのかを言葉にすると判断材料を探しやすくなります。

通常の国内用紙での二つの扱い
  • 罷免を可とする

    対象裁判官の欄に×を付ける

  • 罷免を可としない

    対象裁判官の欄に何も書かない

裁判官ごとに二種類の票を比べます。点字・在外・洋上投票等は方式が異なります。

架空の裁判官AとBの投票欄

裁判官Aは罷免を可とし、Bは可としないと考える人が、通常の国内用紙でA欄に×を付け、B欄は空欄にして投票したとします。B欄が空欄だから、その人はBについて何の票も投じなかった、と集計を読むのは誤りです。

また、Aの欄に意見の文章を加えるのは、×を付ける方式とは異なります。投票用紙の方式と、そう判断した理由を話し合うことを分けます。この例は裁判官の実在名や実際の審査結果を使っていません。

持ち帰る見方

  • 国民審査は裁判官を新しく選ぶ投票ではない。
  • 通常用紙の空欄は、罷免を可としない扱い。
  • 裁判官ごとの票と、審査公報の判断材料を読む。

次に広がる疑問

  • 投票日に行けない場合の制度を比べる
  • 市民が刑事裁判に参加する制度を知る
  • 代表を選ぶ選挙との違いを確かめる

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出典

  • 最高裁判所裁判官国民審査法(2025年6月1日施行版)(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/322AC1000000136_20250601_504AC0000000068

    確認日:2026-10-04

  • 日本国憲法(衆議院掲載本文)(衆議院)https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/dl-constitution.htm

    確認日:2026-10-04

本文の出典・補足

国民審査は最高裁裁判官の罷免を問う

国民審査は最高裁裁判官任命後最初の衆院総選挙時と、その後十年経過後最初の総選挙時等に行い、衆院選挙権者が審査権を持つ。裁判官を一から選ぶ選挙ではない。

対象
国民審査法2・4条、憲法79条
条件
最高裁の裁判官を対象とする。
例外・限界
全裁判官が毎回一律審査されるとはしない。下級裁判官の任命・審査と区別。
  • 最高裁判所裁判官国民審査法(2025年6月1日施行版)(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/322AC1000000136_20250601_504AC0000000068

  • 日本国憲法(衆議院掲載本文)(衆議院)https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/dl-constitution.htm

×印と空欄は別の意思として扱われる

国内通常用紙では罷免可の裁判官欄に×、罷免可としない欄は無記入。×以外の記載は無効事由であり、空欄を棄権票と同一視できない。

対象
国民審査法14–16・22条
条件
国内通常の氏名印刷用紙の方式。
例外・限界
点字、在外、洋上投票等の方式は異なる。欄別の無効も法定の区別がある。
  • 最高裁判所裁判官国民審査法(2025年6月1日施行版)(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/322AC1000000136_20250601_504AC0000000068

裁判官ごとに票を比べ、判断材料を読む

罷免可の票が罷免可としない票より多い裁判官が罷免可とされる。ただし総投票数が所定名簿登録者総数の1/100に満たないときは例外。選管は経歴等を掲載する審査公報を発行する。

対象
国民審査法32・53条
条件
裁判官ごとに有効投票の二種類を比較。
例外・限界
全有権者の過半数という基準ではない。審査の結果から個別判決の支持・違法を断定しない。
  • 最高裁判所裁判官国民審査法(2025年6月1日施行版)(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/322AC1000000136_20250601_504AC0000000068