政治の仕組み

問題を起こした裁判官は、誰が辞めさせられる?

裁判官の重大な職務違反や非行については、裁判官訴追委員会による訴追と、弾劾裁判所による裁判を経て罷免する制度があります。訴追を求めたことや、判決への不満があることだけで裁判官が辞めさせられるわけではありません。訴追と裁判は別の機関が担います。

基本の用語

弾劾は、裁判官の地位を失わせる罷免を判断する手続です。事件の判決を上級裁判所で争うことや、最高裁裁判官の国民審査と混同しません。

もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。

判決への不満と罷免事由は別

裁判官弾劾法は、職務上の義務に著しく違反したり、職務を甚だしく怠ったりした場合を罷免事由とします。職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があった場合も対象です。単に意見が違うとか、期待した判決にならなかったということと、法が定める重大な事由を分けます。

何人も、罷免事由があると思う場合には、訴追委員会へ訴追を求めることができます。事由を記載した書面を提出する手続です。しかし、請求をした人自身が罷免を決めるのではありません。申し出があったこと、訴追が行われること、弾劾裁判で事由が認められることには段階があります。

判決の内容を変えてほしいという目的と、裁判官の職務違反等について責任を問いたいという目的を言葉にします。弾劾の請求を、元の訴訟の控訴や上告の代わりに使えば判決が変更されるという理解は避けます。それぞれ何を対象に、どの結果を求める手続かが異なります。

訴追と裁判を別の機関が担う

訴追委員会の訴追委員は、衆議院議員と参議院議員それぞれ10人です。弾劾裁判所の裁判員は、両議院からそれぞれ7人です。どちらも国会議員が担う制度ですが、訴追する側と裁判する側の役割を別にしています。一つの委員会が告発を受けて直ちに自分で罷免を決める仕組みではありません。

ここでいう裁判員は、一般の刑事裁判に市民が参加する裁判員制度の裁判員とは異なります。最高裁裁判官を対象に有権者が投票する国民審査とも、判断主体と手続が違います。報道に裁判員や審査という語が出ても、何の制度における誰の判断かを確かめる必要があります。

罷免には特別多数の裁判が必要

弾劾裁判の裁判は原則として審理に関与した裁判員の過半数の意見によりますが、罷免の裁判にはその3分の2以上の多数が必要です。重大な地位の変更について、通常の過半数とは異なる条件があります。罷免裁判の宣告により裁判官は罷免されます。

したがって、訴追のニュースだけで罷免が決まったと読めません。非行が報じられたこと、訴追を求める請求があったこと、訴追、罷免裁判の宣告を区別します。制度の存在は、個別の裁判官に事由がある証明ではありません。実際の責任を評価するときは、対象行為と法定事由、手続で認定された内容を対応させます。

判決への不満と職務違反の申出(架空の例)

訴訟当事者が、判決に不満を持つとともに、担当裁判官に重大な職務違反があったと考えたとします。判決を争う上訴の問いと、訴追委員会に罷免の訴追を求める問いを分けて整理します。

訴追請求の提出を、罷免が認められたという結果には置き換えません。その後の訴追と裁判で、どの事実が何の要件に当たるとされたかを確認します。

持ち帰る見方

  • 判決を争う上訴と、裁判官を罷免する弾劾は別。
  • 訴追請求、訴追、罷免の裁判を分ける。

次に広がる疑問

  • 裁判官を内閣が任命するなら、判決も政府が決める?
  • 最高裁判所の国民審査は、何を決める投票?
  • 民事裁判の控訴と上告は、理由と期限が同じ?

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出典

  • 裁判官弾劾法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/322AC1000000137

    確認日:2026-10-05

本文の出典・補足

判決への不満と罷免事由は別

著しい職務義務違反・甚だしい職務懈怠又は職務内外の著しく威信を失う非行が弾劾罷免の事由で、何人も訴追委員会へ書面で訴追を請求できる。

対象
裁判官弾劾法対象施行版 322AC1000000137_20250601_504AC0000000068
条件
裁判官弾劾法2・15条。
例外・限界
請求しただけで訴追・罷免は決まらない。個別判決への上訴と区別。
  • 裁判官弾劾法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/322AC1000000137

訴追と裁判を別の機関が担う

訴追委員は衆参各10人、弾劾裁判所の裁判員は衆参各7人で組織され、訴追側と裁判側を分ける。

対象
裁判官弾劾法対象施行版 322AC1000000137_20250601_504AC0000000068
条件
5・16条。
例外・限界
一般刑事事件の裁判員制度や最高裁国民審査とは別。
  • 裁判官弾劾法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/322AC1000000137

罷免には特別多数の裁判が必要

罷免の裁判には審理に関与した裁判員の3分の2以上の意見が必要で、罷免裁判の宣告により罷免される。

対象
裁判官弾劾法対象施行版 322AC1000000137_20250601_504AC0000000068
条件
31・37条。
例外・限界
国会本会議の単純多数や報道での非難を罷免としない。
  • 裁判官弾劾法(e-Gov法令検索(日本))https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/322AC1000000137