経済の基礎
競争相手より先に生産量を決めると、有利になる?
先に決めた生産量を変更できず、後の企業がその量を見て選ぶなら、先行企業は相手の反応を計算に入れられます。標準的な線形の数量競争では、先行企業は同時に選ぶ場合より多く作り、高い利益を得ます。先に発表するだけでは、この条件を満たしません。
基本の用語
数量競争の最適反応は、相手量に対して利益が最大となる量です。順番があるゲームは後の選択から考えます。
先に決めた量を、相手が見てから選ぶ
Cournot模型では二社が同時に数量を選びます。Stackelberg模型では先行企業が量を決め、後続企業がそれを観察してから量を選びます。どちらも同じ商品を作る二社でも、決める順番と、後の企業が知る情報が違います。
後続企業の判断では、先行企業の量は既に固定されているため、その量に対する最適反応を求めます。線形需要と同じ一定限界費用の単純な模型なら、相手が多く作るほど自分は少なく作る反応になります。この後続の式は、同時数量競争で使う一社の反応と同じです。
先行企業の計算は違います。後続量を一定として扱うのではなく、自分が変えると相手も反応して変わることを織り込みます。ゲームを後ろから解くことで、選べる量と予想される相手量を一緒に比較できるのです。
計算に必要な情報は、先行量だけではありません。先行者が後続者の費用や需要条件を知っていることも、反応を予測する根拠です。相手の費用が不明なら、どの反応式を使うかという不確実性を別に扱う必要があり、ここでの一意な反応は置けません。
相手の反応を、先行企業の計算に入れる
自分が多く作ると市場価格は下がりますが、後続企業が減産する分だけ合計量の増加は抑えられます。先行企業はこの反応まで含め、自社の利益を最大にする量を選びます。単純な線形・同費用の模型では、同時に選ぶ場合より大きい数量となります。
後続企業は、その大きい先行量を見て、同時競争より少ない量を選びます。標準的な内点解では総数量が同時競争より多くなり、価格は低くなります。それでも先行企業は数量増加で補い、同時競争より高い利益を得ます。
これは先行者がいつでも有利という法則ではありません。需要や費用の形、選ぶ変数を価格へ変更するかなどで結果は異なります。先行する量、後続の反応、価格、両社の利益を別々に計算し、どの条件で有利なのかを確かめます。
先に発表するだけでは、同じ利益を得られない
先行企業が「多く作る」と宣言しても、後で簡単に少ない量へ戻せるなら、後続企業はその宣言を固定量として扱わないかもしれません。先に決めることには、自分の後の選択肢を拘束できるという条件が含まれます。発表の早さだけを有利さの証拠にはできません。
生産契約や設備の選択が量を拘束することも考えられますが、その行動が本当に変更できないか、後続企業が観察できるかを別途調べます。設備投資があるだけで、数量のコミットメントが模型と完全に同じになるわけではありません。
競争の順番を読むときは、誰が何を先に決めたか、その決定を変更できるか、後の企業がどの情報を使えるかを確認します。同時競争の式を一方だけ先に計算するのではなく、後続の最善反応を先行者の計算へ入れることが重要です。
- 後続の反応を求める
先行量が固定されたとき、後続は(90−先行量)÷2を選ぶ。
- 先行者が反応を織り込む
量45を選ぶと後続22.5、先行利益1,012.5。
- 量を実行する
先行量を変更しない条件で後続が選び、価格52.5となる。
P=120−Q、限界費用30。先行量を変更できず、後続が観察する設定です。
先行企業の量を拘束する架空の競争
P=120−Q、両社の限界費用30とします。後続企業の反応はq後=(90−q先)÷2。先行企業が45を選ぶと後続は22.5、総量67.5、価格52.5です。先行利益は22.5×45=1,012.5、後続利益は22.5×22.5=506.25です。
同時数量競争なら両社30、価格60、各利益900。先行者は価格が低くても利益が増え、後続者は減ります。先行者の利益はq先×(45−q先÷2)なので、その最大は45で検算できます。数量は連続的に選べる設定です。
持ち帰る見方
- 後続の最適反応を、先行者の利益計算へ入れる。
- 先行量を拘束し、後続が観察できることが条件。
- 順番が早いだけで、全ての競争で有利とはならない。
次に広がる疑問
- 順番のある交渉を後ろから解くには?
- 設備投資で参入を変える場合との違いは?
順番に読んでいる方へ
出典
Intermediate Microeconomics, Chapter 18: Models of Oligopoly(Oregon State University Open Educational Resources / Patrick M. Emerson)https://open.oregonstate.education/intermediatemicroeconomics/chapter/module-18/
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
先に決めた量を、相手が見てから選ぶ
Stackelberg数量競争では一社が数量を先に決め、その観察後に他社が数量を選ぶ。
- 対象
- 相手の数量反応を見越した先行企業の拘束可能な数量選択と後続反応を逆算する。
- 条件
- 同質財、線形逆需要、同じ一定限界費用、先行者の数量は拘束され後続者が観察、両社内点。先行者は後続の最適反応を知る。
- 例外・限界
- 教材導入と用語集のsimultaneously、式の脱落は§18.3本文/正しい反応式と照合し不採用。先に発言しただけで量を変えられるなら先行者の拘束はない。
Intermediate Microeconomics, Chapter 18: Models of Oligopoly(Oregon State University Open Educational Resources / Patrick M. Emerson)https://open.oregonstate.education/intermediatemicroeconomics/chapter/module-18/
相手の反応を、先行企業の計算に入れる
先行企業は後続企業の最適反応を自社の利益関数へ入れて数量を選ぶ。
- 対象
- 相手の数量反応を見越した先行企業の拘束可能な数量選択と後続反応を逆算する。
- 条件
- 同質財、線形逆需要、同じ一定限界費用、先行者の数量は拘束され後続者が観察、両社内点。先行者は後続の最適反応を知る。
- 例外・限界
- 教材導入と用語集のsimultaneously、式の脱落は§18.3本文/正しい反応式と照合し不採用。先に発言しただけで量を変えられるなら先行者の拘束はない。
Intermediate Microeconomics, Chapter 18: Models of Oligopoly(Oregon State University Open Educational Resources / Patrick M. Emerson)https://open.oregonstate.education/intermediatemicroeconomics/chapter/module-18/
先に発表するだけでは、同じ利益を得られない
標準的な線形需要・同費用の内点模型では先行量は同時数量競争より大きく、後続量は小さく、先行利益は高い。
- 対象
- 相手の数量反応を見越した先行企業の拘束可能な数量選択と後続反応を逆算する。
- 条件
- 同質財、線形逆需要、同じ一定限界費用、先行者の数量は拘束され後続者が観察、両社内点。先行者は後続の最適反応を知る。
- 例外・限界
- 教材導入と用語集のsimultaneously、式の脱落は§18.3本文/正しい反応式と照合し不採用。先に発言しただけで量を変えられるなら先行者の拘束はない。
Intermediate Microeconomics, Chapter 18: Models of Oligopoly(Oregon State University Open Educational Resources / Patrick M. Emerson)https://open.oregonstate.education/intermediatemicroeconomics/chapter/module-18/