経済の基礎
皆が使う設備の量は、一人の便益と費用を比べればよい?
皆が同じ追加量を享受する純粋公共財では、その量への各人の限界便益を足して費用と比べます。個人需要の数量を足す私的財と違い、同じ数量で便益を縦に足す比較です。
基本の用語
公共財は非競合性と非排除性を持つ財です。ここでは同じ設備の追加量が二人に同時に役立つと置き、金額で評価した便益と費用から供給量を考えます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 公共財と、役所が提供するサービスは同じ?提供者と、非競合性・排除可能性を分ける。
- もう一つ増やすかどうかは、何を比べる?限界費用と限界便益は、量を変える前後の差。
同じ追加量への便益を足す
一つの共用表示設備を少し充実させると、AにもBにも同じ追加分の便益が届くとします。Aの追加評価が6、Bが4なら、追加分の合計評価は10です。どちらかへ一個を配ったためもう一人の分がなくなる私的財とは違います。
この追加一単位への評価が限界便益です。評価の足し算は、一人の便益を二度数える操作ではありません。同じ設備量から二人が別々に受ける便益を、二人の目的に沿って金額で評価して足しています。
金額換算には、支払意思額などの尺度を置きます。資力の違いや評価の把握には別の問題があるため、合計が大きければそれだけで公平な優先順位が決まるとはしません。何人のどの便益を数えたかも確認します。
私的財とは足す向きが違う
私的財の市場需要では、同じ価格でAが何個、Bが何個欲しいかという数量を横方向に足します。公共財では二人に供給される設備量qが同じなので、そのqでのAとBの限界評価を縦方向に足します。
公共設備を二人が「それぞれ10だけ欲しい」と言っても、合計20作る必要があるとは限りません。同じ量10を二人が使う条件だからです。数量の希望と、その共通数量への評価を取り違えないことが重要です。
混雑すると一人の使用がもう一人を妨げる財なら、この純粋な同時享受の模型を変える必要があります。道路や座席のような名前だけで足し方を固定せず、何を一単位として誰が同時に使うかを指定します。
費用との交点は負担の合意と別
便益が量とともに下がり、追加費用が一定の内点例なら、合計限界便益と限界費用が一致する量が効率的な候補になります。それより少ない範囲で合計便益が費用を上回れば、追加供給によって全体の純便益を増やせます。
一致する量を計算できても、AとBがその費用をどう分担し、正直に評価を伝えるかは決まりません。他の人が払えば自分も便益を受けられる条件では、ただ乗りの誘因が残ります。効率的な量の判定と実際にその量を提供する仕組みを分けます。
行政の事業でも同じ区別が役立ちます。供給量の根拠があるか、便益を受ける範囲を数えたか、費用と負担の調整が実行できるかを順に確かめます。政策の提供目標から、便益や合意が実際に成立したとは結論しません。
- Aだけを数える
限界便益12−qと費用8の一致はq=4。
- AとBを数える
限界便益(12−q)+(8−q)と費用8の一致はq=6。
- q=6の内訳
A6+B2=8。二人は同じ量6を享受する。
0≤q≤8の範囲の純粋公共財の架空例です。供給量の判定であり、費用分担や正直申告を実現する仕組みは含みません。
架空の例:二人の追加便益を足す
共用設備量qに対しAの限界便益を12−q、Bを8−q、0≤q≤8と置きます。追加費用は8です。合計便益は20−2qなので、費用8と一致するq=6を選びます。
q=6でAの追加評価は6、Bは2、合計8です。Aだけの便益と費用を比べるなら12−q=8からq=4となり、二人を数えた量とは違います。どちらの計算も実際の施設需要の測定ではなく、数える便益の範囲を比べる設定です。
持ち帰る見方
- 同じ公共財の量を全員が使うなら、その量への便益を足す。
- 効率的供給量と、費用を集める方法は別の問題。
次に広がる疑問
- 正直に便益を申告する誘因はどう作る?
- 共同利益を参加者へ分ける基準は?
順番に読んでいる方へ
出典
Intermediate Microeconomics, Chapter 21: Public Goods(Oregon State University / Patrick M. Emerson)https://open.oregonstate.education/intermediatemicroeconomics/chapter/module-21/
確認日:2026-10-07
本文の出典・補足
同じ追加量への便益を足す
同じ一単位の公共財が全員に便益を与えるため、その一単位への各人の限界便益を足す。
- 対象
- 純粋公共財で同じ追加量への各人の限界便益を縦に足し、私的財との違いを計算する。
- 条件
- 同じ量を全員が同時享受する純粋公共財、金額換算した限界便益、限界費用、便益減少・費用一定の内点例。
- 例外・限界
- 限界便益の足し算は支払意思額の把握・費用負担合意を保証しない。混雑財・競合財では同じ数量を全員に使う前提が変わる。
Intermediate Microeconomics, Chapter 21: Public Goods(Oregon State University / Patrick M. Emerson)https://open.oregonstate.education/intermediatemicroeconomics/chapter/module-21/
私的財とは足す向きが違う
公共財の社会的限界便益は個人需要の縦の合計であり、私的財の数量の横の合計と区別する。
- 対象
- 純粋公共財で同じ追加量への各人の限界便益を縦に足し、私的財との違いを計算する。
- 条件
- 同じ量を全員が同時享受する純粋公共財、金額換算した限界便益、限界費用、便益減少・費用一定の内点例。
- 例外・限界
- 限界便益の足し算は支払意思額の把握・費用負担合意を保証しない。混雑財・競合財では同じ数量を全員に使う前提が変わる。
Intermediate Microeconomics, Chapter 21: Public Goods(Oregon State University / Patrick M. Emerson)https://open.oregonstate.education/intermediatemicroeconomics/chapter/module-21/
費用との交点は負担の合意と別
この模型の内点の効率的供給量は、合計限界便益と限界費用が一致する点である。
- 対象
- 純粋公共財で同じ追加量への各人の限界便益を縦に足し、私的財との違いを計算する。
- 条件
- 同じ量を全員が同時享受する純粋公共財、金額換算した限界便益、限界費用、便益減少・費用一定の内点例。
- 例外・限界
- 限界便益の足し算は支払意思額の把握・費用負担合意を保証しない。混雑財・競合財では同じ数量を全員に使う前提が変わる。
Intermediate Microeconomics, Chapter 21: Public Goods(Oregon State University / Patrick M. Emerson)https://open.oregonstate.education/intermediatemicroeconomics/chapter/module-21/