数字と報道
将来の人口は、出生・死亡・移動からどう推計する?
将来人口は、今いる男女・年齢別の集団を起点に、生き残る人数と国際移動を反映し、新しく生まれる集団を加えて推計します。出生、死亡、移動の将来条件を仮定する計算です。推計の年、出発点と仮定を読み、将来の値を既に数えた人口とは区別します。
基本の用語
コーホートは、同じ年など一定の期間に生まれた集団です。集団が年を取る変化を追うと、総人口だけでなく年齢構成も考えられます。
もう少し詳しく知りたいときは、次の基礎で補えます。
- 少子高齢化は、なぜ財政や働き方に関わる?人口の人数と年齢構成を分ける。
同じ出生年の集団を一年ずつ進める
国立社会保障・人口問題研究所の2023年公表版は、2020年の男女・年齢別人口を起点とするコーホート要因法を使っています。外国人を含む日本に常住する総人口が対象です。ここで読むのはこの版の作成方法で、現在の人口実測値を示す話ではありません。
既にいる集団は、一年後に一歳上になります。その間に死亡した人数を反映し、国際的な転入と転出も考慮して、次の年の集団を求めます。全員を同じ割合で単純に増減させるのでなく、男女や年齢に応じた条件を使います。
新たに生まれる人数は、年齢別の女性人口と出生率などから求め、出生性比で分け、生残や移動を反映して次年の0歳人口に組み入れます。今いる人が年を取る経路と、新しく生まれる集団が加わる経路を合わせることで、人口の規模と構成を推計します。
実績から置く仮定は将来の事実ではない
必要な将来の仮定には、出生率、出生性比、生残率、国際人口移動率や人数があります。生残率はある年齢の集団が次の年齢へ生き残る割合です。過去の統計を土台に、各要因が将来どう進むかを投影します。
実績を使って仮定を作ったことと、その仮定が将来の実測値であることは違います。出生や移動の行動が変われば、実際の将来人口は計算の条件と異なる可能性があります。結果の線だけでなく、どの要因をどう置いたかを読む必要があります。
例えば総人口が同じ推計でも、出生が少ない場合と、若い人の転出が多い場合では年齢構成が違い得ます。医療や学校などについて考えるなら、総人口の線だけでなく必要な年齢層も見ます。人口の計算結果から、将来の給付額や就業状況まで自動的に決まるわけではありません。
複数の線は仮定の組合せを読む
2023年版は、出生と死亡について複数の仮定を置いた推計を示します。また、出生や国際移動の条件を機械的に変えた条件付推計もあります。複数の線は、どの条件の組合せで計算したかの違いを表します。
中位と名付けた線を、必ず起こる実測値とは読みません。高位と低位も、採用した仮定の違いであり、実際の人口が必ずその間に入る絶対的な上下限と決めつけられません。三つの線があることだけで、それぞれ三分の一の確率を意味するわけでもありません。
公表年、基準人口の日付、実績と推計の境目、使った仮定をセットで確認します。新しい実績に接した場合にも、昔の推計の過去部分を実績へ読み替えず、どの版がどんな情報で作られたかを分けます。条件付きの見通しとして使うと、必要な備えを具体的に検討できます。
同じ年齢の100人を一年進める
ある年齢の100人について、次年までに98人が生き残り、国際移動は転入から転出を引いて3人増えるとする架空の例です。翌年の一歳上の集団は98+3=101人になります。出生によって加わる0歳の集団は別に計算します。
この計算を男女・年齢別に進めれば、集団の加齢と人数の変化を一緒に追えます。ただし98人と3人はこの例の条件で、将来の事実ではありません。生残や移動の仮定を変えれば、計算結果も変わります。
持ち帰る見方
- 年齢別の集団を進め、生残・出生・国際移動を組み合わせる。
- 基準人口の実績、将来の仮定、計算結果を分ける。
- 複数の推計線は仮定を読み、実測や確率付きの上下限と混同しない。
次に広がる疑問
- 人数と高齢化率、財政との関係
- 予測区間とシナリオの違い
- 同じ人を追うことと集団の変化の違い
順番に読んでいる方へ
出典
日本の将来推計人口(令和5年推計)結果の概要(国立社会保障・人口問題研究所)https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2023/pp2023_gaiyou.pdf
確認日:2026-10-04
本文の出典・補足
同じ出生年の集団を一年ずつ進める
2023年版日本の将来推計人口は、2020年の男女年齢別基準人口を起点として出生・生残・国際移動を積むコーホート要因法を使う。
- 対象
- 2023年公表版の全国将来人口の作成方法
- 条件
- 日本に常住する外国人を含む総人口、2020年基準
- 例外・限界
- 現在の人口実測や最新の出生実績を示す数字として使わない
日本の将来推計人口(令和5年推計)結果の概要(国立社会保障・人口問題研究所)https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2023/pp2023_gaiyou.pdf
実績から置く仮定は将来の事実ではない
出生率、出生性比、生残率、国際人口移動の将来仮定が必要で、実績を使うことと将来の仮定が実測であることは別。
- 対象
- コーホート要因法の人口変動要因の仮定
- 条件
- 男女・年齢別の仮定を使用し、基準/仮定/結果を区別
- 例外・限界
- 仮定に含まれない政策・行動変化まで確定予測としない
日本の将来推計人口(令和5年推計)結果の概要(国立社会保障・人口問題研究所)https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2023/pp2023_gaiyou.pdf
複数の線は仮定の組合せを読む
2023年版は出生・死亡の複数仮定による推計や条件付推計を示す。複数線は仮定の違いであって、その数だけで確率が決まるわけではない。
- 対象
- 2023年版の複数仮定による見通しの読み方
- 条件
- 公表年、出発点、実績と推計の境目、採用仮定を確認
- 例外・限界
- 中位を必ず当たる値、高低を絶対上下限、三通りを等確率としない
日本の将来推計人口(令和5年推計)結果の概要(国立社会保障・人口問題研究所)https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2023/pp2023_gaiyou.pdf